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第2節 芸術創造活動の推進

1.芸術創造活動の活性化支援

(1)文化芸術創造プランにおける芸術創造活動の活性化支援施策

 我が国の文化芸術の振興を図るために,世界水準の舞台芸術,世界に誇れる日本映画・映像,世界に羽ばたく新進芸術家,感性豊かな文化の担い手の育成を総合的に行うことを目的として,文化庁では,従来の支援施策を再構築して,平成14年度に「文化芸術創造プラン」を創設し,創造活動に対する支援を行っています。

1最高水準の舞台芸術公演・伝統芸能等への重点支援等

 最高水準の舞台芸術公演・伝統芸能等に対しての重点支援や音楽・舞踊・演劇の国際フェスティバル,芸術による国際交流を推進しています(図表2−9−3)。

図表2−9−3 最高水準・舞台芸術公演・伝統芸能等に対する重点支援

2「日本映画・映像」振興プラン(参照:本章本節2(1)

 我が国の映画・映像水準の向上を図るため,国内における製作・上映,海外への発信,人材養成事業などを支援するほか,映画フィルムの収集・保管を進め,世界に誇れる映画・映像の振興を推進しています。

3世界に羽ばたく新進芸術家等の人材育成

 多様な文化芸術を継承し,発展させ,創造していくためには,その担い手として優秀な人材を得ることが不可欠です。そうした人材を育成するには,充実した活動環境が必要であることから,「文化芸術創造プラン」の一環として,「新進芸術家の海外留学」や「芸術家等の育成等の事業への支援」を実施し,新進芸術家の養成を図っています。特に,新進芸術家海外留学制度では,これまで多数の優秀な芸術家を輩出しています(図表2−9−4図表2−9−5)。

図表2−9−4 新進芸術家海外留学制度のこれまでの派遣者の例
若杉弘 (音楽:指揮 昭和42年度)
森下洋子 (舞踊:バレエ 昭和50年度)
絹谷幸二 (美術:洋画 昭和52年度)
佐藤しのぶ (音楽:声楽 昭和59年度)
野田秀樹 (演劇:演出 平成4年度)
諏訪内晶子 (音楽:器楽 平成6年度)
野村萬斎 (演劇:狂言師 平成6年度)
崔洋一 (映画:監督 平成8年度)
鴻上尚史 (演劇:演出 平成9年度)
図表2−9−5 世界に羽ばたく新進芸術家等の育成
1新進芸術家の養成・発表への支援 ・新進芸術家海外留学制度 美術,音楽,舞踊,演劇等の各分野における新進芸術家の海外の大学や芸術団体等への留学を支援することにより,実践的な研修の機会を提供しています。
1年派遣,2年派遣,3年派遣,特別派遣(80日間)があり,平成18年度は,1年派遣:110名,2年派遣:18名,3年派遣:3名,特別派遣:31名,15歳以上18歳未満の部:3名の165名を派遣しています。
・新進芸術家の育成公演事業

新進芸術家海外留学制度により研修を行った若手芸術家に研修成果を発表する機会を提供するとともに,各芸術団体の新進芸術家にも発表の機会を提供しています。

平成18年度の公演事業
  • 〈美術分野〉「『DOMANI・明日』展2007」
  • 〈音楽分野〉「明日を担う音楽家による特別演奏会」
  • 〈舞踊分野〉「Dance in Circulation」
  • 〈演劇分野〉「メアリー・スチュアート」
2芸術団体等が行う養成発表機会の充実 ・芸術団体人材育成支援事業 芸術団体,大学等の教育機関等が行う人材育成・調査研究事業等を支援しています。

4感性豊かな文化の担い手育成プラン

 子どもたちが本物の舞台芸術や伝統文化に触れ,日頃味わえない感動や刺激を直接体験することにより,豊かな感性と創造性をはぐくむとともに,我が国文化を継承・発展させる環境の充実を図っています。

(2)芸術文化振興基金

 芸術文化振興基金は,政府の出資金と民間からの出えん金を原資として,多様な芸術文化活動に対して,安定的・継続的に幅広く援助を行うため,平成2年3月に設けられました。現在,約653億円(国からの出資金約541億円,民間からの出えん金約112億円)の運用益により,芸術家及び芸術団体が行う芸術の創造や普及活動,地域の文化施設における公演・展示活動などに対して助成を行っています。

〈芸術文化振興基金からの助成額〉

  • 芸術家及び芸術団体が行う芸術の創造又は普及を図るための活動約11億3,500万円
  • 地域の文化の振興を目的として行う活動約2億6,800万円
  • 文化に関する団体が行う文化の振興又は普及を図るための活動約1億6,300万円

2.メディア芸術の振興

(1)映画の振興

 映画は,国民の多くに支持され親しまれている総合芸術であり,かつ海外に日本文化を発信する上でも極めて効果的な映像媒体です。映画・映像振興の重要性については,平成15年4月に「映画振興に関する懇談会」で取りまとめられた「これからの日本映画の振興について−日本映画の再生のために−」や,19年5月の知的財産戦略本部決定「知的財産推進計画2007」においても言及されています。また,16年6月には「コンテンツの創造,保護及び活用の促進に関する法律」も成立し,国全体として映画・映像振興に取り組んでいます。
 文化庁では,平成16年度から,1魅力ある日本映画・映像の創造,2日本映画・映像の流通の促進,3映画・映像人材の育成と普及等,4日本映画フィルムの保存・継承を四つの柱とする「『日本映画・映像』振興プラン」を総合的に推進しています(図表2−9−6)。

図表2−9−6 「『日本映画・映像』振興プラン」の具体的な取組

1 魅力ある日本映画・映像の創造
  • 1映画製作への支援
    • 意欲的な企画作品の製作支援
    • 新人監督やシナリオ作家を起用した作品の製作支援
    • 地域において企画・制作される作品の製作支援
  • 2映画撮影・編集の高度化
    • フィルムコミッションの活動支援
  • 3映画・映像等の顕彰
    • 文化映画賞
2 日本映画・映像の流通の促進
  • 1海外映画祭への出品等支援
  • 2国内上映・映画祭の支援
    • 新たな上映機会の提供
    • 国内映画祭支援
  • 3アジアにおける日本映画特集上映
  • 4「日本映画情報システム」の整備
3 映画・映像人材の育成と普及等
  • 1短編映画作品支援による若手映画作家の育成
  • 2映画関係団体等の人材育成事業の支援
  • 3子どもへの日本映画の普及
4 メディア芸術振興総合プログラム
  • 1メディア芸術の総合的発信
    • メディア芸術祭
    • メディア芸術プラザ
    • メディア芸術海外展
  • 2創造的人材の育成・若手クリエイター創作支援事業
  • 3推進拠点とネットワーク形成
    • メディア芸術ラボラトリー支援事業
5 日本映画フィルムの保存・継承 東京国立近代美術館フィルムセンターにおける保存・継承の機能の充実

(2)アニメ,マンガ等のメディア芸術の振興

 メディア芸術の振興を図るため,文化庁では,優れたメディア芸術作品の発表や顕彰,鑑賞の場である「文化庁メディア芸術祭」を開催しています。来場者数,応募作品数ともに増加傾向にあり,平成19年2月に開催した受賞作品展の際は,約6万7,000人の来場者と,約1,800作品の応募がありました。また,海外のメディア芸術祭への参加などを支援し,我が国の優れたメディア芸術作品を海外において発表する場を提供しています。
 さらに,メディア芸術プラザ(参照:http://plaza.bunka.go.jp(※文化庁メディア芸術プラザホームページへリンク))において,メディア芸術祭の作品募集や受賞作品発表,受賞作品展情報のほか,アーティストや評論家へのインタビュー,国内外のメディア芸術関連のフェスティバル・展覧会情報などを掲載しています。平成18年度のサイトアクセス数は,月平均47万356件(対前年度比約175パーセント)で,メディア芸術の情報提供の場として,重要な役割を果たしています。

3.芸術祭の開催

 芸術祭は,内外の優れた芸術作品を鑑賞する機会を広く一般に提供するとともに,芸術の創造とその発展を図ることを目的に,昭和21年度から毎年秋に開催しています。

〈平成18年度(第10回)文化庁メディア芸術祭 受賞作品〉

【アート部門・大賞】

Imaginary・Numbers 2006
作者:木本恵子 ©Keiko Kimoto

【エンターテインメント部門・大賞】

大神 作者:神谷英樹 ©Clover Studio Co.,Ltd.2006 All Rights
Reserved. DISTRIBUTED BY CAPCOM CO.,LTD

【アニメーション部門・大賞】

時をかける少女 作者:細田守
©「時をかける少女」製作委員会2006

【マンガ部門・大賞】

太陽の黙示録 作者:かわぐちかいじ
©かわぐちかいじ/小学館

 平成19年度は,皇太子同妃両殿下の御臨席の下,芸術祭祝典として,新国立劇場10周年,国際音楽の日記念,「オペラ・バレエ ガラ公演」を行うとともに,オペラやバレエ,歌舞伎,文楽,能楽,組踊の主催公演を実施しました。演劇,音楽,舞踊,大衆芸能の参加公演部門及びテレビ,ラジオ,レコードの参加作品部門では,それぞれの部門に設置した審査委員会で審査を行い,優れた公演・作品に対して,文部科学大臣から芸術祭大賞などが授与されました。

4.国立劇場の充実

(1)伝統芸能の保存・振興

 我が国の伝統芸能の保存と振興を目的として,国立劇場(東京・隼町),国立演芸場(国立劇場隣接),国立能楽堂(東京・千駄ヶ谷),国立文楽劇場(大阪・日本橋),国立劇場おきなわ(沖縄・浦添市)において,歌舞伎,能楽,文楽など伝統芸能の公開や,伝統芸能の伝承者の養成,伝統芸能に関する調査研究,資料の収集・展示などを実施しています(参照:http://www.ntj.jac.go.jp(※日本芸術文化振興会ホームページへリンク))。
 平成18年度は,歌舞伎,能,文楽など計180公演(903回)の自主公演,青少年等を対象とした伝統芸能の鑑賞教室5公演(154回)を行いました。また,伝承者養成事業では,歌舞伎及び大衆芸能の分野で10名が研修を修了しました。

(2)現代舞台芸術の振興・普及

 我が国の現代舞台芸術振興の拠点として,平成9年10月に新国立劇場が開場し,現代舞台芸術の公演,実演家等の研修などを実施しています。
 平成18年度は,オペラ,バレエ,現代舞踊,現代演劇の主催公演を計31公演(257回),青少年などを対象としたオペラ鑑賞教室2公演(12回)を行いました。また,現代舞台芸術研修事業では,オペラ研修生5名,バレエ研修生8名が研修を修了しました。

新国立劇場オペラ「ドン・カルロ」
(平成18年9月)撮影:三枝近志

5.企業からの文化発信の取組への支援

(1)メセナ活動への支援

 社団法人企業メセナ協議会は,企業によるメセナ(芸術文化支援)活動の推進のために,芸術文化支援を行う企業相互の連携を図ることを目的として平成2年に設立されました。同協議会は,特定公益増進法人として認定されており,主要事業の一つとして,民間の芸術文化支援を促進する「助成認定制度」を実施しています。
 この制度の認定を受けた文化芸術活動に対して寄附を行う場合,個人の場合には所得控除,企業などの法人の場合には一般の寄附金とは別枠での損金算入が認められます(図表2−9−7)。
 平成14年度には,助成の対象となる分野をメディア芸術・文学など,活動主体をアマチュアのうちプロ並みの芸術活動を行う文化芸術団体・個人など,活動形態をセミナーのワークショップなどにも拡大しました。また15年度からは,各都道府県の文化振興財団などとの提携を進め,芸術文化支援に関する相談窓口の全国展開を進めています。
 この制度を利用して,平成18年度には,206件の芸術活動が認定を受け,法人・個人から1,515件,約12億382万円の寄附が同協議会を通じて行われました。

図表2−9−7 社団法人企業メセナ協議会の助成認定制度

(2)企業の取組の顕彰

 文化庁では,自らの企業に働く人々やその家族が芸術文化に親しみ参加できる環境を率先して作っている企業の取組を積極的に評価・顕彰するため,社団法人企業メセナ協議会との連携の下,企業で働く人々や,地域住民,子どもたちなどに芸術文化活動への参加・鑑賞の機会を提供し支援することにより,企業を取りまく人々の「文化力」の向上を図る企業の取組に対して表彰を行っています。

6.著作物の再販制度

 再販売価格維持行為(注)は,原則独占禁止法違反となる行為ですが,新聞,書籍・雑誌,レコード盤,音楽用テープ,音楽用CDといった著作物については,昭和28年以来,例外的に独占禁止法の適用が除外されています(著作物再販適用除外(いわゆる再販制度))。著作物再販制度により,新聞社,出版社,レコード会社などが取引先である卸売業者や小売業者などに対して,卸売価格や小売価格を示して,これを維持させることができます。この制度の下で,新聞販売店,書店,レコード店で,これらの著作物の全国的な定価販売が可能となっています。
 文化庁では,再販制度は,国民のニーズ(需要)の多様化・高度化に応じた多種多様な著作物を,身近な場所において容易に確実に入手することを可能にしているとの考えから,文字・活字文化や音楽文化の振興普及のため,その維持・存続に向けて取り組んでいます。公正取引委員会は,平成13年3月に,競争政策の観点からは再販制度を廃止するべきであるが,同制度の廃止について国民的合意が形成されるに至っていない状況にあるとして,当面この制度を存置することとし,再販制度の廃止について,国民的合意が得られるよう努力を傾注するとともに,著作物の取引実態の調査・検証に努めることとしています。

  • (注)再販売価格維持行為
     小売店等による販売価格をメーカー等が拘束する行為。

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