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第2節 政策課題対応型研究開発における重点化

1.戦略重点科学技術の推進

 第2期基本計画において重点的な資源配分がなされた「重点4分野」(ライフサイエンス,情報通信,環境及びナノテクノロジー・材料)については,第3期基本計画においても「重点推進4分野」として,各分野内での重点化の考えに基づきつつ,引き続き優先的な資源配分を行います。また,国の存立にとって基盤的であり,国として取り組むことが不可欠なエネルギー,ものづくり技術,社会基盤,フロンティア分野を「推進4分野」と位置付け,適切な資源配分を行うこととしています。

2.国家基幹技術の推進

(1)宇宙輸送システム

 通信・放送・気象衛星等,私たちの生活の中で宇宙利用の成果が不可欠なものとなっている今日において,我が国が必要な時に,独自に宇宙空間に必要な人工衛星などを打ち上げる能力を確保・維持することは,我が国の総合的な安全保障や国際社会における我が国の自律性を維持する上で不可欠です。このような観点から,H-2Aロケットの開発・製作・打上げ,H-2Bロケット,宇宙ステーション補給機(HTV)の開発等を構成要素とする宇宙輸送システムが,国家的な長期戦略の下に進められています(参照:本章第3節5(2)1)。
 また,宇宙輸送システム技術は極めて高い信頼性が求められることから,その技術力向上のための活動自体が広範な分野における技術革新をもたらし,産業の高度化や社会経済の発展につながります。
 さらに,世界最高水準のロケットエンジン技術の開発等を通じて,世界をリードする人材育成にも貢献しています。

H-2Aロケット13号機打上げ
提供:三菱重工業株式会社

(2)海洋地球観測探査システム

 地球環境変動予測や災害監視を行うため,海洋・陸域を含めた全球観測網の整備やそのデータの管理・提供の必要性が指摘されています。また,我が国周辺には広大な海洋が広がっており,詳細地形の調査や資源探査は,我が国の総合的な安全を確保する観点から必要です。
 このシステムは,海洋における地球観測・探査と宇宙からの地球観測によって得られるデータを統合・解析して提供することを目指しており,地球環境分野,災害監視分野,資源探査分野などにおける社会的貢献が期待されます。

海洋地球観測探査システムの概念図

(3)高速増殖炉サイクル技術

 エネルギー資源の乏しい我が国においては,長期的なエネルギーの安定供給を確保していくことが,大変重要な課題です。我が国では,原子力発電所で発電に利用した使用済燃料を再処理し,回収されるウラン・プルトニウムなどを再利用できる核燃料サイクル(図表2−6−6)を推進することを基本方針としています。特に,消費した燃料より多く新しい燃料が生み出される高速増殖炉やそれに関連する核燃料サイクル技術(以下「高速増殖炉サイクル技術」という。)は,長期的なエネルギー安定供給や放射性廃棄物の低減につながる重要な技術です。第3期科学技術基本計画に基づく分野別推進戦略にも位置付けられており,引き続き,「原子力政策大綱(平成17年10月 原子力委員会決定)」,「エネルギー基本計画(19年3月 閣議決定)」等を踏まえ,2050年よりも前からの商業炉の開発を目指し,その実用化に向けた研究開発に着実に取り組んでいます。

図表2−6−6 核燃料サイクル

(4)次世代スーパーコンピュータ

 スーパーコンピュータを用いたシミュレーション(注)は,理論,実験と並び,現代の科学技術の方法として確固たる地位を築きつつあります。スーパーコンピュータは,大規模なシミュレーションを高速に行うことができるため,自動車の衝突損傷の解析,台風の進路や集中豪雨の発生予測などに利用されています。
 文部科学省では,平成18年度から「次世代スーパーコンピュータの開発・利用」プロジェクトを実施しています。19年3月に,開発主体である理化学研究所が神戸市に次世代スーパーコンピュータ施設を建設することを決定しました。19年度は,施設(計算機棟,研究棟)の整備やシステムの設計,次世代スーパーコンピュータを最大限利活用するためのソフトウェアの開発等を進めており,22年度の稼働(24年の完成)を目指し,理化学研究所を中心に産学官の密接な連携の下,同プロジェクトを一体として推進しています。

  • (注)シミュレーション
     コンピュータなどを使用して模擬的に実験を行うこと。

(5)X線自由電子レーザー

 理化学研究所は,放射光とレーザーの性質を併せ持つ光を発振するX線自由電子レーザー(XFEL)装置を,我が国独自の技術によりコンパクト化・低コスト化を実現して,平成22年度中の完成を目指して整備しています。
 XFELは,結晶化が困難な膜タンパク質の解析,触媒反応のリアルタイム観察,新機能材料の創成など,生命科学やナノ領域をはじめとする広範な科学技術分野において新しい研究領域の開拓に貢献することが期待されています。

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