第1節 教育再生の基本的考え方

2.教育再生の視点

 現在の日本の最重要課題は教育の再生です。教育再生の実現のためには,社会総がかりで教育の根本にさかのぼった改革を行うとともに,日本の教育が本来有している潜在力を十分発揮できるよう,条件整備を行っていくことが必要です。
 また,教育は,人格の完成を目指すと同時に,活力と優しさに満ちあふれ,自由と自律の精神を大事にする人間を育て,国民の幸福を追求していく上で重要な役割を果たします。従来の心豊かで創造性に富んだ有為な人材をはぐくむという教育の理念に加えて,日本が大切にしてきた伝統的社会規範の価値や,公共の精神を,もう一度見直すことが大切です。
 こうしたことを踏まえ,約60年ぶりに教育基本法が改正され,新しい時代に求められる教育理念が明確になったことで,教育再生の第一歩を踏み出しました。
 しかし,新しい教育基本法の成立により,教育を取り巻く様々な問題がすぐに解決できるわけではありません。文部科学省では,新しい教育基本法に示された理念の下,関連諸法の改正や教育振興基本計画の策定を進めていきます。具体的には,21世紀の教育改革の目標として,1自ら考え行動するたくましい日本人の育成,2知の世紀をリードするトップレベルの人材の育成,3心豊かな文化と社会を継承・創造する日本人の育成,4国際社会を生きる教養ある日本人の育成,を掲げ,確かな学力の育成,倫理観,公共心と思いやりの心など豊かな心の育成,健やかな体の育成の一層の充実を図るとともに,大学改革の推進などの諸改革を推進します。

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