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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第9章 国際交流・強力の充実に向けて
第6節 国際文化交流を通じた日本文化の振興と国際協力への取組
5 文化財分野における国際交流・協力



(1) 海外展

 文化庁は,従来から諸外国において,国宝・重要文化財を含む大規模な展覧会を開催しています。平成15年度は,ニューサウス・ウェールズ州立美術館(オーストラリア)において,「日本美術における四季」展を,トルコ国立美術館及び絵画と彫刻美術館(トルコ)において,「日本陶磁の至宝5000年」展を開催しました。また,16年度は,中国国家博物館(中華人民共和国)において,「日本名宝」展を,ライス・エンゲルホルン博物館及びマルチン・グロピウス・バウ展示館(ドイツ)において,「日本の考古−曙光の時代−」展を開催しています。

 また,国立博物館では,諸外国の博物館美術館において「海外交流展」を実施しており,平成15年度は,ドイツ国立芸術展覧会ホール(ボン)において,東京国立博物館の所蔵品による「日本の美 日本のこころ」展を,韓国国立慶州博物館(韓国)において,奈良国立博物館の収蔵品による「日本の仏教美術」展を開催しました。16年度は,「日本名宝」展を文化庁と共催するとともに,中国国家博物館(中華人民共和国)において,東京国立博物館の収蔵品による「日本東京国立博物館所蔵 西川寧書法芸術」展を開催します。

▲平成15年度海外展「日本陶磁の至宝5000年」(於 トルコ共和国)


* 条約難民

 「出入国管理及び難民認定法」第61条の2によって難民である旨法務省によって認定された者のこと。


(2) 国際民俗芸能フェスティバル

 文化庁では,我が国の民俗芸能と関連の深い芸能を外国から招き,国内の民俗芸能とともに公開する「国際民俗芸能フェスティバル」を行っており,平成16年度は東京で開催します(15年度は宮崎県で開催しました)。


(3) 韓国との文化財交流

 平成15年4月に,文化庁長官と韓国の文化財庁長は,日韓の文化財全般の交流に関する討議の記録に署名を行いました。合意された討議の記録を踏まえつつ,現在,建造物の分野において交流・協力に関する協議が進んでいます。今後も,専門家などの交流,有形・無形の文化財の交流,国際機関の取組への協力などを推進していきます。


(4) 地方公共団体における国際協力の支援

 文化庁では,総務省と(財)自治体国際化協会が行う「自治体職員協力交流事業」に協力し,地方公共団体が受け入れる諸外国の文化財保護行政担当者,遺跡発掘技術者,博物館・美術館の専門職員などに対する研修を行っています。


(5) 在外日本古美術品の修復

 文化財研究所などでは,欧米諸国を中心とする諸外国の博物館・美術館が所蔵する日本古美術品の修復協力を進めてきており,平成15年度は,絵画7件,工芸品3件を修復しました。16年度は,ギメ東洋美術館所蔵の大政威徳天縁起絵巻6巻及びキヨソネ東洋美術館所蔵の勝川春章筆春駒図1面などの絵画5件,メトロポリタン美術館所蔵の黒韋腰取威筋兜1頭及びロサンゼルス・カウンティ美術館所蔵の耕作図蒔絵料紙箱1基などの工芸品4件の修復を行います。


(6) 海外の文化遺産の保護への協力

 文化庁では,アジア・太平洋地域の文化財建造物の保護に協力しています。

 平成16年度は,ベトナムの農村集落の共同調査,インドネシアの歴史的建造物の保存修復事業への技術協力を実施し,韓国とは,「第1回日韓文化財建造物保存協力協議会」を開催しました。また,相手国の文化財専門家・技術者を招しょう聘へいしての研修を実施しています。文化財研究所では,平成16年度に,東京文化財研究所において,第28回文化財の保存及び修復に関する国際シンポジウム「文化財の非破壊調査法−X線分析の最前線−」を開催します。

 このほか,西アジア諸国等の文化財修復に関して,16年度は主にアフガニスタンとイラクの文化財保存修復協力事業等を行います。奈良文化財研究所では,16年度は「アンコール遺跡近隣の文化遺産の保護協力」など8件の協力事業を行っています。

 また,我が国は,政府間国際機関である文化財保存修復研究国際センター的な研究事業などに協力を行っており,平成12年度からは同センターに文化庁の職員を派遣しています。

 さらに,アジア太平洋地域の世界遺産などの文化財保護に関する国際協力の充実強化を図るため,平成11年8月に(財)ユネスコ・アジア文化センター文化遺産保護協力事務所が開設されました。同事務所は,世界遺産をはじめとする遺跡などの保護を主な対象としており,15年度には,アジア太平洋地域諸国の文化遺産保護担当者を招聘し,遺産の保護,調査,修復などをテーマとした集団研修や個人研修などを実施するとともに,アジア太平洋地域の文化財保護関連の資料収集やデータベースの構築,国際会議の開催を行いました。

▲第1回日韓文化財建造物保存協力協議会での日光における修復工事現場の視察


(7) アフガニスタンとイラクへの文化財協力

 文化庁では,「アフガニスタン等文化財国際協力会議」(平成14年9月〜15年8月)による,具体的な協力分野を提言する報告書に基づき,アフガニスタンなどにおける文化財保存修復に関する国際的な協力を行っています。

 また,イラクにおいても,ユネスコをはじめとする国際的な支援体制を踏まえ,イラクの文化財を盗難・破壊から守り,その保存修復が図られるとともに,盗取された文化財が海外へ流出しないようにするため,我が国の経験や技術を生かした,可能な限りの協力・支援を実施しています。


(8) 文化財国際協力等推進会議

 「アフガニスタン等文化財国際協力会議」において,「本会議において議論を重ねたアフガニスタンにおける文化財の保存・修復協力を我が国における文化財分野の国際協力の一つのモデルケースとして,今後の国際的な文化財の保存修復協力の在り方を考える契機としていく必要がある」との指摘がなされたことを受け,文化財分野における国際協力等を行うための総合的な対応の在り方について検討を行うため,平成16年1月から,「文化財国際協力等推進会議」(座長 平山郁夫東京芸術大学長)を新たに開催しました。

 会議では,平成16年8月,{1}研究機関間の連携強化と文化財国際協力コンソーシアム(仮称)の構築,{2}文化財の国際協力における専門的識見の活用,{3}継続的な国際協力のための体制の整備,{4}文化財の保存修復などの専門家養成の充実,など文化財の国際協力の在り方に関する報告を文化庁長官に提出しました。

 今後,文化庁としては,これらの提言内容を踏まえ,より効果的な文化財保存修復協力・交流を推進するための施策の実施に向けて取り組んでいく予定です。


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