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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第9章 国際交流・強力の充実に向けて
第3節 相互理解を進める国際交流相互理解を進める国際交流
4 国際機関を通じた協力



(1) ユネスコ事業への参加・協力

 ユネスコ(国際連合教育科学文化機関,事務局長:松浦晃一郎氏)は,教育・科学・文化の分野における国際協力の促進を通じて平和に貢献することを目的とする国連専門機関です。2003(平成15)年10月,第32回ユネスコ総会において,米国が19年ぶりに再加盟し,加盟国は190か国になりました。また,ユネスコは,「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)」に基づき,人類の共通財産である世界の文化や自然遺産の保存,保護のための国際協力・援助を推進しています。2004(平成16)年6月末から蘇州(中国)で開催された第28回世界遺産委員会において,「紀伊山地の霊場と参詣道」が我が国の12番目の世界遺産として登録されました。

 我が国では,ユネスコの目的を実現していくため,国・地方公共団体・民間がそれぞれ協力して,あるいは独自に活発な活動を行っています( 図表2-9-12 )。特に,教育分野においては,我が国は,初等教育の普遍化,教育の場における男女格差の是正,識字率の改善などを目標とした「万人のための教育」の実現に向け,信託基金の拠出などを通じユネスコと連携して事業を実施しています。また,科学分野では,国際水文学計画(IHP)をはじめとする持続可能な開発のための科学振興事業や,生命科学の倫理的側面に関する考察などのユネスコの諸活動に積極的に参加・協力しています。文化分野では,第32回ユネスコ総会で採択された,演劇,音楽,風俗慣習,工芸技術等の無形文化遺産の保護を目的とする「無形文化遺産の保護に関する条約」を2004(平成16)年6月に締結しました(参照: 本章第6節6 )。

図表◆2-9-12 我が国が協力しているユネスコの主な事業


* アソシエート・エキスパート

ユネスコ職員の指揮の下で職務に従事する,正規職員以外の若干の行政官・研修者などの専門家。


(2) OECD(経済協力開発機構)教育事業への参加

 OECDは,先進30か国を加盟国として,様々な分野における政策調整・協力,意見交換などを行っています。教育分野に関しては,教育委員会と教育研究・革新センター(CERI)を設置し,加盟各国における教育改革の推進や施策の実践に寄与することを目的として,教育政策の比較分析や調査・研究などの事業活動を行っています。また,おおむね5年ごとに教育大臣会議を開催し,OECDの教育分野の事業活動に関する基本方針を策定しています。2002(平成14)年からは,2001(平成13)年4月に,「万人のための能力への投資」をテーマに開催された教育大臣会議で合意された方針に基づき,教育統計や指標の開発と政策分析,生徒の学習到達度調査(PISA),教員政策,情報通信技術(ICT)の教育政策,学習科学と脳研究,高等教育の国際化などのプロジェクトを実施しており,文部科学省も参加・協力しています。

 平成16(2004)年3月には,アイルランド・ダブリンにおいて,OECD教育大臣会合(全体テーマ:「万人のための学習の質の向上」)が開催され,原田文部科学副大臣(当時)が参加しました。会議は,上記全体テーマの下,「全ての者の達成水準の向上」及び「教員の供給と能力の改善」の二つをメインテーマとし,積極的な意見交換が行われました。また,ユネスコとOECDが共同で実施する高等教育の国際的な質保証に関する指針策定のための合同作業会合の第2回専門家会合を,平成16(2004)年10月に東京で開催しました。


(3) APEC(アジア・太平洋経済協力)教育事業への協力

 APECは,アジア・太平洋の21か国・地域が参加する地域協力の枠組みです。貿易・投資の自由化・円滑化などの経済問題とともに,人材養成などの分野に積極的に取り組んでいます。

 教育分野については,人材養成ワーキング・グループの下に,教育ネットワークを設置し,加盟国・地域の主導により,教育政策上の様々な課題に関する調査・研究活動,交流・協力プロジェクトを実施しています。

 また,2004(平成16)年4月には,チリ・サンチャゴにおいて第3回教育大臣会合(全体テーマ:「来るべき時代に求められる能力」)が開催され,河村文部科学大臣(当時)が出席しました。会合の成果である共同声明においては,四つのサブテーマ「英語とその他の外国語教育」,「数学・理科学習の活性化」,「教授・学習のための技術(ICT)の活用」,「ガバナンスと制度改革」について,各国・地域が成功事例を共有することの必要性が再認識されました。


(4) EU(欧州連合)との協力

EUは,それまでのEC(欧州共同体)を発展させる形で1992(平成4)年に創設され,現在,ヨーロッパの25か国が加盟しています。EUは,域内協力・統合を推進すると同時に,域外国との対話・協力も積極的に推進しています。教育分野においても,日本・EU間の対話の継続とともに,学生・教職員交流,研究協力,インターネットを活用した学校間の交流など様々なプログラムの拡充・強化に取り組んでいます。


(5) 国連大学への協力

 国連大学は東京(青山)に本部を置く国連機関で,人類の存続や発展,福祉に関する世界的規模の諸課題についての研究や研修,知識の普及を目的として,他の国際機関や世界各地の高等教育・研究機関とネットワークを形成し,国連のシンクタンクとして,国際社会が直面する重要な課題に取り組んでいます。2004(平成16)年は,「平和とガバナンス」及び「環境と持続可能な開発」の2領域を中心に活動を行っています。また,国連大学は,世界各地に附属機関である研究・研修センターを持っており,その一つである「高等研究所」は我が国(横浜)に設置されています。高等研究所では我が国の大学や研究機関と協力して,研究活動や研修プログラムを展開しています。

 我が国は,国連大学本部施設の提供や大学基金への拠出などの支援を行うとともに,国連大学本部及び高等研究所に対して事業費の拠出を行っています。


(6)

 WIPO(World Intellectual property Organization:世界知的所有権機関)との協力WIPOは,知的財産権の国際的保護の促進などを目的として1970(昭和45)年に設立された国連の専門機関です。WIPOは,国際条約の作成・管理を行うとともに,各国の法令整備の支援や開発途上国に対する法律・技術上の援助,情報の収集・提供などを行っています。WIPOでは,デジタル化・ネットワーク化に対応して著作権,著作隣接権を保護するため,1996(平成8)年にWCT(WIPO Copyright Treaty:著作権に関する世界知的所有権機関条約)及びWPPT(WIPO performances and phonograms Treaty:実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約)を採択し,現在は視聴覚的実演や放送機関に関する新条約の策定に向けた議論を行っています。我が国はこれらの議論を推進させるため,積極的な役割を果たすとともに,アジア諸国を中心に,WCT,WPPTをはじめとする,著作権などに関する条約の締結を働きかけています。

 我が国は,著作権分野において,1993(平成5)年以来毎年信託基金を拠出しています。この拠出金は,WIPOの開発協力プログラムとして,アジア・太平洋地域における著作権保護のための諸活動(国際セミナーの開催,研修の実施,専門家の派遣など)に活用されています。


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