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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第8章 心豊かで元気のある社会を実現するための「文化力」の向上

トピックス 特集記事

トピックス1 文化財保護制度の改善について

 文化財保護制度の改善を図るため,平成16年5月,文化財保護法の一部を改正し,人と自然のかかわりの中で作り出されてきた文化的景観及び生活や生産に関する用具,用品などの製作技術など地域において伝承されてきた民俗技術を新たに保護の対象とするとともに,近代の文化財などを保護するため建造物以外の有形の文化財にも登録制度を拡充することとしました(17年4月1日から施行)。

2 著作権法の改正

 政府は「知的財産立国」を実現するために,「知的財産戦略」を推進していますが,重要な知的財産権の一つである著作権についても,適切な保護と活用を図るため,平成16年の通常国会において,音楽レコードの還流防止措置などを内容とする,著作権法の改正を行いました(17年1月1日から施行)。

3 日本映画の振興

 文化庁では「映画振興に関する懇談会」の報告に基づき,多様で優れた日本映画作品が継続して生産できるような自律的な創造のサイクルを確立することを目指して,平成16年度より「日本映画・映像」振興プランを推進しています。

1 文化財保護制度の改善について

 今日の社会構造や国民の意識の変化を踏まえ,国民の生活に密接に関係した文化的所産として新たに保護対象の拡大が求められる分野や,保存及び活用のための措置が特に必要とされる分野への対応など,文化財保護制度の改善が求められています。

 このため,平成14年12月に閣議決定された「文化芸術の振興に関する基本的な方針」や文化審議会答申等における指摘を踏まえ,16年の通常国会に「文化財保護法の一部を改正する法律案」が提出され,5月21日に成立しました(16年5月28日公布,17年4月1日施行)。

 具体的には,棚田や里山など,人と自然のかかわりの中で作り出された「文化的景観」を新たに保護の対象とし,国は都道府県又は市町村の申出に基づき,特に重要なものを重要文化的景観として選定し,支援することとしています。

 また,鍛冶や船大工などの生活や生産のための用具,用品等に関する製作技術など地域において伝承されてきた「民俗技術」を民俗文化財として新たに保護の対象とすることとしています。

 さらに,開発などにより保護の必要性が高まっている近代の文化財などの保護を図るため,届出制と指導・助言・勧告を基本とする緩やかな保護措置を講ずる登録制度を,従来の建造物に加え,他の有形の文化財(建造物以外の有形文化財,有形の民俗文化財及び記念物)にも拡充することとしています。

◆文化的景観の事例

◆民俗技術の事例

トピックス2 著作権法の改正

 平成16年の通常国会において行われた著作権法改正の概要は次のとおりです。

1.音楽レコードの還流防止措置

 アジアなどにおいて我が国の音楽の人気が上昇するのに伴い,現地で廉価に発売された我が国の音楽レコードが,我が国に輸入され,販売されることにより,作詞家・作曲家などの著作者,歌手などの実演家や,レコード製作者の経済的利益に大きな影響を与えています。そこで,我が国における販売を禁止した音楽レコードがアジアなど物価水準の異なる地域から還流しないような措置を取ることにより,我が国の音楽文化の積極的な海外普及を促進しようとするものです(図1)。

2.書籍・雑誌の貸与権(無断で貸与されない権利)の付与

 CDやビデオについては貸与権が付与されており,原則として無断で貸与することはできませんが,書籍・雑誌については,貸本業の実態などを考慮して貸与権を付与していませんでした。しかし,人気のある漫画などを中心に大規模にレンタル業を展開する事業者の出現により,漫画家・作家などの著作者の経済的利益に大きな影響を与える事態が生じてきています。そこで,我が国の出版文化が衰退することなく発展できるよう,書籍・雑誌にも貸与権を付与しました。今後は漫画などのレンタル業による利益も著作者に還元され,更なる創作活動につながると考えられます(図2)。

3.罰則の強化

 著作権等の侵害に対する抑止効果を高めるため,懲役刑及び罰金刑の上限を次のように引き上げるとともに,他の知的財産制度に先駆けて懲役及び罰金を同時に科すること(併科)ができるようにしました。

・懲役刑:3年以下 → 5年以下

・罰金刑:300万円以下 → 500万円以下   等

◆音楽レコードの還流防止措置

◆書籍・雑誌の「貸与権(無断で貸与されない権利」の付与

トピックス3 日本映画の振興

 近年,日本映画に対する映画祭などでの高い評価や,日本人映画俳優の国内外での活躍など,日本映画に対する注目が高まっています。また,映画の国際共同制作や海外での上映を通じた国際交流や,地域において映画の制作やプロモーションを支援する「フィルム・コミッション」の全国的な組織化など,映画の製作・流通・上映に関する多様な取組が展開されるようになっています。

 こうした状況を受け,文化庁では平成15年4月の「映画振興に関する懇談会」報告に基づき,多様で優れた日本映画作品が継続して生産できるような自律的な創造のサイクルを確立することを目指して,16年度より「魅力ある日本映画・映像の創造」,「日本映画・映像の流通の促進」,「映画・映像人材の育成と普及等」,「日本映画フィルムの保存・継承」の四つの具体的方策からなる「日本映画・映像」振興プランを推進しています(参照: 本章第2節 )。

 本プランに基づき,例えば,映画関係団体等が映画関係の教育機関や製作現場と連携して,学生に製作現場での実践的な実習などの機会を提供し,映画製作の各過程を担う専門性の高い人材の育成を行う事業に対する支援が行われています。また,平成16年5月のカンヌ映画祭においては,日本映画に関する最新の情報提供や,出品作品の関係者による記者会見やレセプション,その他映画関係者のミーティングスペースとして活用するための場である「ジャパンパビリオン」の設置など,多様な取組が展開されています。本映画祭に出品された「誰も知らない」に主演した柳楽優弥さんが主演男優賞を受賞したことをはじめとして,世界各国での映画祭における日本映画の受賞が相次いでおり,今後の日本映画の海外も含めた一層の展開が期待されます。

ジャパンパビリオン「誰も知らない」のレセプション


*1

 山腹から山裾にかけて水が張られた田が幾重にも重なって昔ながらの姿で残っている独特の景観。


*2

 長期間植林されて,太さや高さがそろった畑のような樹木が連続して展開している独特の景観 。


*3

 舟釘など,伝統的な和釘を製作する技術。


*4

 各地の伝統的な木造和船を製作,修理する技術。


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