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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第7章 科学技術システムの改革
第4節 優れた研究者・技術者の養成・確保
1 新しい「知」の創造による社会貢献



(1) 新たな「知」を創造し,未知の分野を切り拓く質の高い研究者の養成・確保

{1}世界をリードする質の高い研究者の養成

 我が国において世界をリードする質の高い自立した研究者を養成するためには,大学院博士課程において国際的に魅力のある教育が展開されることが重要です。また,激化する各国の高度な研究者の養成,人材獲得競争など,世界の学生や研究者が競うような国際競争力のある高度な人材養成の拠点整備が重要です。文部科学省では,「21世紀COEプログラム」による世界最高水準の大学づくりを促進しているほか(参照: 第2部第3章第1節 ),平成16年度より,科学技術振興調整費「戦略的研究拠点育成」を活用して,我が国における本格的な国際研究環境の実現に向けて,国際競争力のある高度な人材養成に向けた組織的な取組に対する支援を行っています。

{2}若手研究者等の海外派遣の充実や最先端分野の若手研究者交流等の充実

 我が国と外国の若手研究者がともに議論し,互いに触発し合えるような,国内外の優秀な研究人材の「知の出会い」の場を充実させること,及び我が国の若手研究者に国際的研究環境で「武者修行」する機会を提供することは,国際的に活躍できる研究人材を養成する観点から重要です。

 このため,若手研究者を対象としたサマースクール形式の多国間セミナー(ドイツ・米国・ヨーロッパとの先端科学シンポジウム,アジア学術セミナー,アジア・太平洋地域先端科学セミナー:日本学術振興会)や,ポストドクター レベルの若手研究者を海外の優れた大学などの研究機関に派遣して長期間研究に専念させる海外特別研究員事業(日本学術振興会)を実施するなど,国際的な視野を持った研究者の養成に努めています。

{3}新興分野・融合分野における高度人材の養成

 科学技術の振興にとって重要な領域であるが,人材が不足しており,戦略的な人材養成により世界における我が国の地位を確保する必要がある新興研究分野や,産業競争力の強化の観点から人材の養成・拡充が不可欠な研究分野において,プロフェッショナル(専門家)を早期に育成するための講座・部門規模のユニット(講座・部門規模の組織)を設置し,大学院修士課程以上のレベルの実務者・研究者などを対象として,研究人材の養成を機動的に進めています。

 平成16年度より,企業などの研究者,技術者に向けて,企業ニーズの高い知識や実務的能力を短期間で向上させる人材養成ユニットを新たに対象に追加しました。これにより,企業等のニーズを把握し,需要に的確に対応した人材養成を行っています( 図表2-7-9 )。


(2) 多様な研究者が活躍できる環境整備

意欲や能力のある多様な研究者の活躍を促進するためには,各大学や研究機関において,個々の研究者の自由な発想を大事にし,質の高い研究成果が創出される環境づくりに積極的に取り組むことが重要です。

{1}多様性をはぐくむ創造的・競争的環境の醸成

(ア)多様性向上に向けた各機関の自主的取組の推進と流動性向上

 創造性豊かで広い視野を有する研究者を養成し,競争的で活力ある研究開発環境を実現するためには,任期制の導入などにより,研究者の流動性の向上を図り,研究者が様々な研究の場を経験することが重要です。第2期科学技術基本計画において,国の研究機関等は,若手研究者については広く任期付きで雇用するように努めるとともに,研究職については原則公募とすることとされており,各機関において任期制の導入が進められています( 図表2-7-10 ),( 図表2-7-11 )。

図表◆2-7-9 新興分野人材養成プログラムによって新規に設置された人材養成ユニット一覧(平成16年度)

図表◆2-7-10 「一般職の任期付研究員の採用,給与及び勤務時間の特例に関する法律」に基づく採用状況

図表◆2-7-11 「大学の教員等の任期に関する法律」に基づく任期制の導入状況

 また,同基本計画に基づき,文部科学省では,平成14年2月に「研究者の流動性向上に関する基本的指針」(13年12月総合科学技術会議決定)を国の研究機関等に通知しています。各研究機関においては既に任期制や公募の適用方針を明示した計画が作成されるなど,任期制や公募の実施に向けた組織的・計画的な取組が推進されており,任期制や公募の実施が普及することが期待されます。

(イ)競争的資金等による若手研究者への支援

 世界的に優れた研究成果を上げた研究者の多くは,30歳代に,その後の研究の基礎となる研究を行っています。文部科学省では,柔軟な発想とチャレンジ精神を持った若手研究者が自立して研究できる体制を整備するため,科学研究費補助金において,若手研究者を対象とした研究費として約243億円を計上するなど,若手研究者を対象とした競争的資金の拡充に努めています。

 また,競争的資金による研究や,国公私立大学や大学共同利用機関が行う研究プロジェクトにおいて,ポストドクターや大学院学生などを参加させるなど,次代を担う若手研究者の資質向上に向けた取組を推進しています。

{2} 多様な研究者が活躍できる研究環境の構築

(ア)女性研究者の参画促進と能力発揮

 研究分野における男女共同参画の促進に向けて,女性研究者が働きやすい環境整備に向けた取組が必要です。 文部科学省では,出産・育児に伴い研究を中断する女性研究者を支援するため,科学研究費補助金及び特別研究員事業・海外特別研究員事業(日本学術振興会)において,中断の後に研究の再開を可能とする弾力的運用を図っています。

(イ)ポストドクター等の若手研究者に対する支援

 ポストドクターなどの時期は,様々な指導者の下で経験を積む,自らに最も適した研究環境を探す,研究の幅を広げたり新たな分野にチャレンジするなど,主体性や創造性の涵養といった観点から,研究者を養成する上で重要な時期です。第2期科学技術基本計画では,若手研究者の自立性向上に向けて,研究費によるポストドクターの雇用機会の充実や,優秀な博士課程学生への支援充実等によるポストドクトラル制度等の質的充実を図ることとされています。

 文部科学省では,ポストドクターなどの若手研究者が主体的に研究に専念できるよう支援する特別研究員事業(日本学術振興会)において,将来の研究活動を担う優秀な博士課程学生に対する支援の拡充を図るとともに,支援対象者の選考審査や評価体制の充実を図るなど,質的な面での充実に努めています。

 このほか,理化学研究所においては,独創性に富むポストドクターなどの若手研究者に対し,同研究所において自発的かつ主体的に研究できる場を提供する基礎科学特別研究員制度を導入するなど,ポストドクターなどの自立性の向上に向けた多様な支援制度を推進しています。

(ウ)優れた外国人研究者の受入促進

 少子高齢化の進展等により,将来の研究人材の減少が見込まれる我が国においては,優秀な外国人研究者を重要な研究人材として積極的にとらえることが必要です。そのため,外国人特別研究員事業(日本学術振興会)などにより,諸外国の若手研究者を我が国の大学などの研究機関に招聘し,共同研究に従事する機会を提供するよう努めています。


* ポストドクター

 主に博士課程修了後,研究者としての能力を更に向上させるため,引き続き大学などの研究機関で研究事業に従事する者。


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