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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第7章 科学技術システムの改革

トピックス 特集記事

1 「科学技術と社会」

 今日,科学技術の発展により,我々の生活は豊かになり,また,人間の活動の可能性も大きく広がるなど,科学技術は我々の日常生活に深くかかわってきています。一方で,地球環境問題や生命倫理問題などの科学技術の発展に伴う新たな社会的課題も顕在化しています。このような科学技術と社会のかかわりは,今後ますます密接になっていくとともに,科学技術に対する国民の考え方も多様化していくことが予想されます。このため,これからの科学技術には,「社会のための,社会における科学技術」という視点が必要になっていきます。

2 産学官連携の推進

 我が国では,科学技術創造立国,知的財産立国の実現に向けて,産学官連携の推進に積極的に取り組んでいます。特に,平成16年4月からは国立大学の法人化により,各大学の自主性・独自性を生かした産学官連携が活発に行われ,魅力ある大学づくりが進められています。

トピックス1 「科学技術と社会」

  科学技術と社会の関係を考える上で,これからの科学技術に必要となる視点とは,例えば,科学技術とは,新たな発見が新しい文明や価値観を切り開いたように,基礎研究などによる新たな知の創造を図っていくものであり,また,それら“新たな知”を経済の活性化にもつなげていく道をつくる,という視点です。さらには,科学技術の進歩に伴って集積化・高度化した都市における新たな災害対策や,新興感染症のような未知のリスクへの対応など,安全・安心のための科学技術,地域の活性化のための科学技術,自然科学分野と人文・社会科学分野や文化・芸術との連携など,新たな社会的ニーズに対応していく,という視点です。このほか,科学技術の進展に伴う倫理的・法的・社会的課題への対応,国際貢献などへの取組なども重要な視点です。

 また,こうした科学技術の在り方と並んで,科学技術と国民,あるいは研究者と国民との関係も重要な課題となっています。具体的には,科学技術に対する国民意識を醸成するための取組や研究者自身による情報発信などにより,科学技術と国民の双方向のコミュニケーションを図ることが科学技術そのもののみならず社会の健全な発展にとって不可欠です。

 このように,「社会のための,社会における科学技術」をキーワードに,新しい科学技術と社会の関係を構築することが重要となっています。

1.安全・安心のための科学技術

 最近,「テラヘルツ波」という特殊な電磁波を使い,封筒に入っている化学物質を,封筒を開けずに検知する技術が,理化学研究所と警察庁科学警察研究所の共同研究によって開発されました。この技術を応用すれば,封筒等の郵便物に隠された違法薬物,爆薬,生物剤等の犯罪テロ関連物質を開封せずに探知することが可能となり,犯罪テロ関連物質の氾はん濫らんやその使用による犯罪・テロ活動の防止が期待されます。

2.科学技術コミュニケータ

 科学技術コミュニケータとは,科学技術系研究者をはじめとする専門家と国民一般とを結ぶ役割を果たす人々のことをいいます。例えば,マスメディアの科学記者,サイエンスライター,科学館・博物館関係者,大学・研究機関・企業等の広報担当者,理科教師,科学技術リテラシー(活用能力)向上にかかわるボランティアなどが考えられます。これからの科学技術の振興においては,その役割の重要性を認識し,専門家の養成システムや活躍の場を設定することが求められています。

 具体的な例として,日本科学未来館では,新しいタイプの科学館スタッフとして,科学技術スペシャリスト(最先端の科学技術と一般市民との間に立ち,科学技術についての情報をわかりやすく発信する役割をもったスタッフ)の育成を行うこととしており,今後,経験を積んだ科学技術スペシャリストが科学技術と社会をつなぐ様々な場面で活躍することが期待されています。

▲左:ビニール小袋に左から順にMDMA(麻薬),アスピリン(解熱鎮痛薬)メタンフェタミン(覚せい剤)が封入されている(検査の際には封筒の内部に隠た)。黄戦の内側が検査エリア。 右:テラヘルツ波を検査エリアに照射し分析すると,封筒に隠された3種の薬物が明瞭に識別される。(資料提供:理化学研究所)

トピックス2 産学官連携の推進

 近年,我が国では,科学技術創造立国,知的財産立国の実現に向けた大きな柱の一つとして,国を挙げて産学官連携の推進に取り組んでいます。これは,大学等の優れた研究成果の社会還元を促進することにより,新技術,新産業を創出し,国際競争力の強化を目指すものです。特に平成16年4月からは国立大学の法人化により,各大学の自主性・独自性を発揮した産学官連携の実施が可能になり,魅力ある大学づくりが進められています。

 これまでの多種多様な産学官連携の取組の中から,成功事例を紹介します。

1.大学と企業との共同研究の成功事例

 東京大学における基礎研究成果(光触媒反応の発見)に基づき,平成2年ごろより同大学と多数の企業が応用開発研究に取り組みました。その過程で発見された,酸化チタン光触媒の光誘起分解反応,光誘起親水化反応を活用し,セルフクリーニング効果,抗菌効果,防曇効果などを示す材料の開発,設計に成功しました。

 セルフクリーニング建材,防曇ミラーなどの製品化により,数百億円規模にのぼる光触媒関連製品市場を創生しました。

◆大学と企業との共同研究の成功事例

2.地域における産学官連携の成功事例

 福井県の地元中小企業の経営者により設立された協同組合「プロード」では,周囲の環境に配慮した風力発電機の開発に取り組みました。福井大学や福井県工業技術センター等との共同研究を通じて,モニュメント型風力発電機の開発に成功しました。

◆モニュメント型風力発電機


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