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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章 研究開発の戦略的重点化
第5節  海洋分野の研究開発の推進


 海洋は,生物資源や鉱物資源など膨大な資源を包蔵するとともに,広大な空間を有しており,その開発利用は,国土が狭く四方を海に囲まれた我が国にとって重要な課題です。また,海洋は地球環境変動に大きな影響を有するとともに,海洋底プレートの動きは地震や火山活動の大きな要因と考えられていることから,その実態解明が急がれています。このような背景の下で,1990年代に入り,海洋の諸現象を地球規模で総合的に観測・研究するためのシステム構築を目指した全球海洋観測システム(GOOS)が,国連教育科学文化機関(UNESCO)における政府間海洋学委員会(IOC)によって提唱され,世界気象機関(WMO)などと連携して推進されています。

 我が国の海洋開発は,科学技術・学術審議会海洋開発分科会の答申を尊重しつつ,総務省,農林水産省,経済産業省,国土交通省,環境省など関係府省の連携の下にそれぞれの所掌に応じて研究開発を推進しており,平成14年8月には「長期的展望に立つ海洋開発の基本的構想及び推進方策について」(答申)が,文部科学大臣に提出されました。答申の中では,「今後の海洋政策の展開にあたっては,『海洋を知る』『海洋を守る』『海洋を利用する』という三つの観点をバランスよく調和させながら,持続可能な利用の実現に向けた戦略的な政策及び推進方策を示すことが重要である」とされており,これらを踏まえて海洋政策を推進しています。各府省における海洋開発に関する具体的施策は,海洋開発関係省庁連絡会議が毎年取りまとめる海洋開発推進計画に基づき実施されています。

 海洋科学技術センター(平成16年4月より海洋研究開発機構。以下同じ。)をはじめとした各研究機関において,海洋科学技術に関する先導的・基盤的な研究開発を進めるとともに,総務省,農林水産省,経済産業省,国土交通省,環境省など関係各府省・大学などの協力の下で,総合的なプロジェクトを推進しています。

 このうち,海洋科学技術センターにおいては,エルニーニョ現象をはじめとする大気・海洋間の相互作用や気候変動への影響解明などのため,北太平洋,インド洋などで海洋地球研究船「みらい」などを用いた観測を行いました。また,平成15年7月からは,1990年代前半に実施された世界海洋循環実験計画(WOCE)で観測された測線を再観測し,大洋スケールでの貯熱量・溶存物質量の分布や輸送について明らかにするため,「みらい」による南半球周航航海「BEAGLE2003」を行いました(参照: 第2部第6章第2節(2)(イ)(i) )。深海調査研究については,海洋プレートのダイナミクスなどの海底下で起こる様々な地殻活動を研究するため,有人潜水船「しんかい6500」,無人探査機「ハイパードルフィン」などを用いた海域調査を実施しました。また,従来,潜航が難しかった海域においても,自律航行によりデータの採取が可能な深海巡航探査機「うらしま」が,15年8月に世界で初めて燃料電池を搭載した潜航試験を実施し,16年6月には燃料電池を動力とした220kmの連続自律潜航に無事成功しました。今後,航続距離の更なる延長が期待されます。

 深海地球ドリリング計画については,海底下7,000mの掘削が可能な最新鋭の科学掘削船である地球深部探査船「ちきゅう」の掘削部分の艤装が長崎において進められています。建造完成後,性能確認試験,慣熟訓練などを経て国際科学プロジェクト「統合国際深海掘削計画(IODP)」の主力船として国際運用される予定となっています。

 また,東京大学海洋研究所などが中心となり,地球環境変動の解明・予測,保全のための海洋の総合的観測システムの構築を目指したGOOSに関する基礎研究,西太平洋海域を中心とする国際共同調査への参画と実行,特に海洋の生物,化学,物理的諸過程を統合した物質循環の解明などの海洋に関する学術研究を引き続き行っています。

▲地球深部探査船「ちきゅう」(写真提供:海洋研究開発機構)


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