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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章 研究開発の戦略的重点化
第4節  原子力の研究開発の推進
3  高速増殖炉サイクル技術の研究開発



(1) 高速増殖炉サイクル技術の位置付けと将来展望

 エネルギー資源に乏しい我が国は,原子力発電に用いられるウラン資源を含め,ほとんどの資源を輸入に頼っていますが,このウラン資源も,石油や石炭などの化石燃料と同様に限りのある資源です。しかし,ウラン資源は,石油や石炭と異なり,原子力発電所で発電に利用した使用済燃料に残存するウランやプルトニウムを再処理して回収することにより再利用できることなどから,安定供給が期待されています。このように,ウラン資源を使い捨てにせずリサイクルして使用することを核燃料サイクルといいます( 図2-6-11 )。

 我が国では,核燃料サイクルを推進することでウラン資源の有効活用を図っていますが,中でも高速増殖炉や関連する核燃料サイクル技術(以下「高速増殖炉サイクル技術」という。)は,貴重なウラン資源の利用効率を飛躍的に高めることができ,現在知られている技術的・経済的に利用可能なウラン資源だけでも数百年にわたって原子力エネルギーを利用し続けることができるようにする可能性があります。また,高レベル放射性廃棄物に長期に残留する放射能を少なくして,環境負荷を更に低減させるようにする可能性もあります。したがって,将来のエネルギーの有力な選択肢を確保しておく観点から,高速増殖炉サイクル技術の研究開発に着実に取り組むことが重要であると考えています。

図表◆2-6-11 核燃料サイクル


(2) 高速増殖原型炉「もんじゅ」

 高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市,電気出力28万kw)は,高速増殖炉サイクル技術のうち最も研究開発が進んでいるMOX燃料(酸化ウランと酸化プルトニウムの混合燃料)とナトリウム冷却を基本とする技術を用いた原子炉で,かつ発電設備を有する我が国唯一の高速増殖炉プラントです。しかし,平成7年12月に2次冷却材のナトリウムが漏洩するという事故を起こし,それ以来その運転を停止しています。

 「原子力長期計画」にもあるとおり,「もんじゅ」は我が国における高速増殖炉サイクル技術の研究開発の場の中核として位置付けられます。発電プラントとしての信頼性の実証とその運転経験を通じたナトリウム取扱い技術の確立という「もんじゅ」の所期の目的を達成することは,他の技術的選択肢との比較評価のベースともなることから,まず優先して取り組むことが今後の技術開発において特に重要です。

 そのための運転再開に向けた安全性向上のための改造工事について,平成14年12月に原子炉設置変更許可が,16年1月には設計及び工事の方法の変更に関する認可が経済産業省よりなされたところです。

 なお,昭和58年5月に国より出された高速増殖原型炉「もんじゅ」の原子炉設置許可に関する裁判において,許可を無効とする高等裁判所の判決が,平成15年1月27日に出されました。これに対して国は,判決を不服として,同年1月31日に,最高裁判所へ上告受理申立て(上訴)をしました。これを受けて,最高裁判所は,16年12月2日に同申立てを上告審として受理し,17年3月17日を口頭弁論期日に指定しました。

 また,高裁判決を受けて,文部科学省は「もんじゅ」プロジェクトチームを設置し,福井県での「もんじゅ」説明会の開催など,国民への説明責任を果たすことに重点を置いた取組を継続的に実施しています。

 今後は,地元の了解を得た上で改造工事に着手し,所期の目的を達成するため,早期の運転再開を目指します。


(3) 高速増殖炉開発実用化戦略調査研究

 高速増殖炉サイクル技術の研究開発については,その技術の多様性に着目し,柔軟性を持った研究開発を行うことが重要です。核燃料サイクル開発機構では,平成11年7月から,高速増殖炉サイクル技術として適切な実用化像とそこに至るための研究開発計画を提示することを目的に,炉型選択,再処理法,燃料製造法など高速増殖炉サイクル技術に関する多様な選択肢について,電気事業者など関連する機関の協力を得つつ,「実用化戦略調査研究」を実施しています( 図2-6-12 )。13年度から17年度は,フェーズII(第2段階)として高速増殖炉サイクルの実用化候補概念の明確化を行っており,16年7月にはフェーズ2の中間取りまとめを行いました。

 今後は,この中間取りまとめの成果を踏まえ,実用化に向けた研究開発を更に進める予定です。

図表◆2-6-12 実用化戦略調査研究


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