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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章 研究開発の戦略的重点化
第3節  宇宙・航空分野の研究・開発及び利用の促進
3  宇宙活動基盤の強化



(1) 基礎的・基盤的研究

 宇宙活動の自律性を確保し,また,宇宙分野にとどまらず,他の分野への波及効果をもたらし,技術革新と新産業創出に貢献するため,長期的な視点に立ち,基礎的・基盤的研究に取り組んでいます。

 過酷な環境にさらされる宇宙用の機器・部品は,高い信頼性を確保することが極めて重要です。そのため,自律性の確保に不可欠な基幹部品の選定,部品認定制度の維持・改善,宇宙用部品の拡大などの宇宙開発利用活動を支える基盤技術の研究開発を継続的かつ戦略的に推進しています。

 また,従来の人工衛星やロケットの設計・開発手法について,宇宙実証による技術データの取得・蓄積,シミュレーションの高度化,最新の情報技術を用いた新たな設計・開発手法の構築などの研究開発にも取り組んでいます。

 さらに,将来的なプロジェクトへの展開,宇宙分野にとどまらない他の分野への波及,技術革新や新産業創出に貢献するため,既存の技術・システムの延長線上にない,新たな宇宙ミッション及び先端技術の研究に取り組んでいます。


(2) 宇宙輸送システム

 我が国が自律的に宇宙開発を推進していくためには,必要なときに必要な物資や機器を,宇宙空間の所定の位置に展開する能力を確保することが重要です。

 このため,我が国においては,使い切り型ロケットとしてH−2IIロケット,M−Vロケットを開発してきました。また,米国のスペースシャトルのように何度も使用できる再使用型輸送系に関する研究開発も行っています。

{1}H−IIAロケット

 H−IIロケットは,人工衛星の打上げなどの輸送需要に柔軟に対応できるよう,信頼性の向上と大幅な費用低減を目指した我が国の基幹ロケットであり,静止トランスファー軌道へ4トンの打上げ能力を有し,世界の主要ロケットと比肩し得るロケットです。平成13年8月の試験機1号機以来,その後の本格運用段階を含め5機連続して打上げに成功しましたが,15年11月の6号機打上げでは,固体ロケットブースタの分離失敗により,情報収集衛星の打上げに失敗しました。

 その後,宇宙開発委員会における原因究明結果等に基づき,打上げ失敗の直接の原因である固体ロケットブースタの対策等,信頼性向上のための取組が着実に実行されてきたことを踏まえ,平成16年度冬季(1〜2月)に運輸多目的衛星新1号(MTSAT−1R)を打ち上げることとしています。

{2}M−Vロケット

M−Vロケットは,低軌道へ約1.8トンの打ち上げ能力を有する,全段に固体推進薬を用いた科学衛星打上げ用のロケットです。これまで3機の打上げに成功し,大型固体ロケット技術を確立しました。政府としての技術開発は終了しましたが,引き続き,科学衛星を打ち上げることとしています。

{3}LNG推進系

 将来の輸送系開発の有力な候補である,液化天然ガス(LNG)と液体酸素を推進薬としたLNG推進系の基礎技術を確立することを目的として,推力10トン級のガス押し式LNGエンジンと複合材極低温推薬タンクにより構成されるLNG推進系の開発を進めています。この推進系は民間主導により官民共同で開発しているGXロケットによる飛行実証が計画されています。

▲GXロケット(資料提供:JAXA)

{4}宇宙ステーション補給機(HTV)

 ISSへの我が国の物資の輸送や共通に必要な運用経費の分担に相当する物資輸送を行うことを目的として,平成20年度にH−2Aロケット能力向上型により技術実証機を打ち上げることを目標に開発を進めています。


(3) 国際宇宙ステーション(ISS)

日本・米国・欧州・カナダ・ロシアの5極が共同で宇宙ステーションを建設するプロジェクトで,既に完成している一部の施設には宇宙飛行士が常駐し,実験などを行っています。我が国は,独自の実験棟(JEM,愛称:きぼう)や,宇宙ステーション補給機(HTV),生命科学実験施設(セントリフュージ)の開発などにより計画に参加し,宇宙ステーションの建設・運用・利用や,宇宙飛行士の長期滞在による有人宇宙活動を通じて,高度な有人宇宙技術などの先端技術を取得し,将来,我が国にとって必要となる様々な分野における基盤的技術の効果的かつ効率的な蓄積を図っています。

▲ISSとHTV(資料提供:JAXA)

{1}「きぼう」の開発・運用準備

 「きぼう」は,ほぼ開発を終了し,船内実験室については,NASAケネディ宇宙センターで,その他の主要要素については筑波宇宙センターで,定期機能点検を行っており,打上げに向けて準備をすすめています。

{2}セントリフュージの開発

 セントリフュージは,重力環境が生物に与える影響について研究を行うため,無重力の宇宙空間で重力場を生成する実験施設で,「きぼう」のスペースシャトルによる打上げ費用の代替として日本が米国に代わって開発を行っています。


(4) 施設・設備の整備

 我が国が自律的な宇宙活動を実施するための技術力を維持し,将来にわたってロケット・衛星などの研究開発,打上げ・追跡管制などの運用を確実に行っていくためには,基盤となる施設・設備の計画的な整備と安定的な運用を行うことが不可欠です。施設・設備の整備にはある程度の資金と期間が必要であり,また,施設・設備における不具合は,ロケットや衛星などの研究開発・打上げ・運用に重大な支障を来すことになります。

 このような状況を踏まえ,限られた資源を有効に活用した整備を行えるよう,我が国は,長期的な開発計画や利用動向を的確に整備計画に反映させ,老朽化施設・設備に対する重点的かつ継続的な対策を着実に実施しています。

 また,民間で整備することが困難な大型試験施設・設備を維持するとともに,新産業創出や宇宙利用の拡大の観点から,民間の要望を踏まえ,大型環境試験設備,風洞試験設備 などの供用を積極的に促進しています。


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