ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章 研究開発の戦略的重点化
第3節  宇宙・航空分野の研究・開発及び利用の促進
2  フロンティアの拡大



(1) 宇宙科学

 我が国では,宇宙科学研究を推進し,知的資産の拡大に貢献するために,これまでに26機の科学衛星が打ち上げられています。これらの衛星により,太陽活動,地球周辺の宇宙環境や銀河をはじめとした太陽系外の天体などを観測し,世界的に評価の高い成果を上げています。

{1}第20号科学衛星(MUSES−C)「はやぶさ」

 「はやぶさ」は,小惑星やすい星などの始源天体から,岩石・土壌などのサンプルを採取し,地球に持ち帰るミッションに必要な電気推進系,惑星間自律航法,サンプル採取,地球大気再突入や回収などの技術の習得を目的とし,平成15年5月にM−Xロケット5号機で打ち上げられました。16年2月には,電気推進系の運用時間1万時間を達成しており,さらに同年5月19日に地球の重力を利用して衛星の軌道や速度を大きく変える技術である地球スウィングバイに成功しました。電気推進系による加速と地球スウィングバイを組み合わせて用いることは,世界で初めての技術実証です。現在も「はやぶさ」は17年度の小惑星到達を目指して航行を続けています。

▲はやぶさ(資料提供:JAXA)

{2}第17号科学衛星(LUNAR−A)

衛星から月面へペネトレータと呼ばれる観測機器を打ち込み,月震や熱流量の観測を行うことにより,月の中心核の存在とその大きさを確認し,月の構成物質の物性を調べ,月の起源を解明することを目的として,LUNAR−Aの開発を進めています。なお,LUNAR−Aの打上げ時期については,現在,計画全体の見直しを行っているため,未定となっています。

{3}月周回衛星(SELENE)

 月全域について元素分布,鉱物分布,地形・表層構造,環境,月の重力分布を計測し,月の起源と進化を解明することや月探査技術の開発・蓄積を目的として,SELENEの開発を平成18年度の打上げを目指して進めています。

{4}第23号科学衛星(ASTRO−E2)

 銀河団,ブラックホール,超新星残骸などのX線観測を行うことにより,宇宙の大構造の形成と進化,ブラックホール周辺の物質状態,高エネルギー粒子の加速機構などを解明することを目的として,ASTRO−E2の開発を平成17年度の打上げを目指して進めています。

{5}第21号科学衛星(ASTRO−F)

 近赤外から遠赤外に至る広い波長域にわたり,従来よりはるかに高い感度で多数の原始銀河,原始星,赤外線星,原始惑星系円盤などの観測を行うことにより,銀河・星・惑星系の形成と進化を解明することを目的として,ASTRO−Fの開発を進めています。なお,ASTRO−Fの打上げ時期については,試験中に望遠鏡の支持部に不具合が発生したため,検討中です。

{6}第22号科学衛星(SOLAR−B)

 可視光望遠鏡,X線望遠鏡などを組み合わせて,太陽大気の構造とダイナミックな磁気活動を高精度で観測し,太陽大気(コロナと彩層)の成因とフレア などの太陽活動の原因を解明することを目的として,SOLAR−Bの開発を平成18年度の打上げを目指して進めています。

{7}第24号科学衛星(PLANET−C)

 赤外線カメラ等で金星大気の運動を明らかにすることにより,金星における高速大気循環のメカニズムを解明し,地球気候変動の理解の鍵ともなる惑星気候学の確立に資することを目的として,PLANET−Cの平成20年度の打上げを目指して開発研究を進めています。

▲第24号科学衛星(PLANET−C)(資料提供:JAXA)

{8}国際共同水星探査計画「ベピ・コロンボ」

 未知の惑星である水星の起源と進化,磁場の成因,磁気圏を解明することを目的として,我が国と欧州宇宙機関(ESA)との初の大型共同ミッションである「ベピ・コロンボ」計画を進めています。この計画では,平成24年度の打上げを目指しており,我が国の「水星磁気圏探査機MMO」(磁場・磁気圏観測を主)とESAの「水星表面探査機MPO」(表面・内部観測を主)の二つの探査機を開発し,水星へ送り込みます。


(2) 宇宙環境利用

 宇宙空間では,地上では得がたい微少重力などの環境条件を用いて,科学研究,実験,観測などの広範な活動を行うことによって,新たな科学的知見の創造や経済社会基盤の拡充に寄与する様々な成果が得られることが期待されています。

 文部科学省では,地上の落下施設や航空機など短時間の微小重力環境を得られる実験手段を利用した公募型の地上研究制度の推進や,国際宇宙ステーション(ISS)を利用した宇宙実験などを行っています。

 ロシアのプログレス補給船で打ち上げ,ソユーズ宇宙船で回収し,ISS内で実験を行っている,高品質タンパク質結晶生成実験では,地上では結晶が得られなかったタンパク質について宇宙で結晶を得たり,地上の結晶より詳細な構造の解析が可能な結晶を宇宙で生成するなど,タンパク質の機能・構造解析分野における宇宙環境利用の有効性を実証する試みを行っています。

 また,科学研究以外の分野においても,ISSを利用した教育プログラムなどの実施や,民間企業などによる商業利用を想定した試行的な取組を行っているほか,芸術・文化利用への試みも実施しています。

▲第5回宇宙授業風景(写真提供:JAXA)


* フレア

太陽表面における爆発のこと。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ