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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章 研究開発の戦略的重点化
第2節  重点4分野の研究開発の推進
5  ナノテクノロジー・材料分野の重点的推進



(1) 研究開発の推進方策について

 ナノテクノロジー *2 ・材料分野は,広範な科学技術の飛躍的な発展の基盤となる重要分野であり,21世紀の産業の技術革新を先導する分野です。

 近年では,米国をはじめ諸外国において,ナノテクノロジーに関する研究等の戦略的な取組を急速に強化しています。我が国においても,研究開発の一層の推進を図り,ナノテクノロジー・材料分野における優位性を確保していくことが重要であり,文部科学省では,基礎的・先導的な研究開発から実用化を展望した研究開発を戦略的に推進しています。


*2 ナノテクノロジー

「ナノ」は,ギリシャ語の小人を意味する“nanos”に由来する接頭語で,とても小さいこと,あるいは,10億分の1のことを表す。ナノテクノロジーとは,「ナノ」と科学技術を意味する「テクノロジー」を合わせた言葉で,日本で生まれた言葉である。


(2) ナノテクノロジー・材料分野における取組について

{1}実用化・産業化を展望した研究開発

 前述の分野別推進戦略等においては,この分野の研究開発を(ア)5〜10年後の実用化・産業化を目指した研究,(イ)10〜20年後の実用化・産業化を展望した研究,(ウ)個人の独創性を重視した萌芽的な研究の三つのタイプに分類しています。このうち(ア)については,平成15年度より「経済活性化のための研究開発プロジェクト(リーディングプロジェクト)」として,以下の五つの研究開発に着手したところです。

○ より高速,より省電力なデバイス開発を目指した「ナノテクノロジーを活用した新しい原理のデバイス開発」

○ 次世代半導体製造の技術基盤を構築する「極端紫外(EUV)光源開発等の先進半導体製造技術の実用化」

○ ナノ・バイオの融合による生体適合材料の創成とそのデバイス化開発を行う「ナノテクノロジーを活用した人工臓器の開発」

○ 従来の限界をはるかに超える感度10倍の世界最先端NMR(核磁気共鳴)分析技術の開発や,ナノスケールの電子状態を分析できるなどナノ計測・加工技術の実用化開発を行う「次世代の科学技術をリードする計測・分析・評価機器の開発」

○ 高性能・低コスト高温運転型次世代燃料電池を開発する「次世代型燃料電池プロジェクト」

▲理化学研究所ナイサイエンス実験棟(写真提供:理化学研究所)

 また,(イ)については平成14年度より,科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業を活用し,「ナノテクノロジー分野別バーチャルラボ」を推進しています。文部科学省が定めた3つの戦略目標(「情報処理・通信における集積・機能限界の克服実現のためのナノデバイス・材料・システムの創製」,「非侵襲性医療システムの実現のためのナノバイオテクノロジーを活用した機能性材料・システムの創製」,「環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製」)の下に,10の研究領域(「超高速・超省電力高性能ナノデバイス・システムの創製」,「医療に向けた化学・生物系分子を利用したバイオ素子・システムの創製」,「環境保全のためナノ構造制御触媒と新材料の創製」等)を設定し,大学等を中心として研究領域を超えた情報交換を行いつつ,挑戦的な研究開発を推進しています。

▲カーボンナノチューブ内に形成されたアイスチューブのX線構造解析による構造モデル(資料提供:科学技術振興機構)

{2}基礎的・基盤的研究開発等

 {1}のような目標志向型の研究開発を行うためには,その基盤となる基礎的・基盤的な研究開発が重要であり,大学や公的研究機関においてこうした研究開発に取り組んでいます。物質・材料研究機構や理化学研究所といった公的研究機関においては,研究者の自主性を尊重した萌芽が的な研究開発に加え,国として推進するべきプロジェクト型の研究開発を行っています。

 物質・材料研究機構においては,物質・材料科学技術を中心に,先端的科学技術分野の飛躍的発展を支える研究開発を推進しています。また,理化学研究所においては,複合領域・境界領域の先導的研究開発を,産業界等との連携を図りつつ推進しています。

 このほか,特殊法人,独立行政法人における研究開発の推進,競争的資金の活用等により,大学における独創的・先端的研究を支援するなど,この分野の研究開発を推進しています。

{3}研究機関・分野を超えた横断的かつ総合的な支援

 ナノテクノロジー・材料分野は新興の分野であることから,先述のように研究基盤・知的基盤の充実が求められています。文部科学省ではこうした要請にこたえるべく,平成14年度よりナノテクノロジー総合支援プロジェクトを開始しています。同プロジェクトは,広範な研究分野にわたるナノテクノロジー研究に関して,産学官の研究者が戦略的かつ効率的に研究に取り組んだり,研究機関や分野を超えた横断的な研究活動を推進することに資する基盤的支援業務を行うことを目的としています。具体的には,個々の研究機関や研究開発プロジェクトでは整備の難しい大型・特殊な施設・設備と高度な技術を有する機関において,産学官の外部研究者に対して,施設・設備の利用の機会を提供するとともに,これらの施設・設備を活用した極微細加工や評価等の高度な技術支援等を行うなど,総合的な支援業務を実施しています。

 これと同時に,同プロジェクトにおいては,ナノテクノロジー関連情報の収集・発信,研究者交流の促進,人材育成なども行っています( 図表2-6-9 )。

図表◆2-6-9 ナノテクノロジー総合支援プロジェクトの実施機関


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