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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章 研究開発の戦略的重点化

トピックス 特集記事

1 新興・再興感染症への対応について

 近年,SARSや鳥インフルエンザなど,新興・再興感染症が世界中で脅威となっています。感染症の発生時には,文部科学省(大学等)と厚生労働省,農林水産省などが協力して緊急研究を行い,迅速診断キットの開発など,実用につながる成果を出しています。

2 教育,文化,芸術分野におけるデジタル・アーカイブ化に必要なソフトウェアの研究開発の推進

 だれもが,いつでもどこでも教育,文化・芸術に触れられる環境を実現することを目指し,教育,文化・芸術分野における知的資産の電子的な保存・活用等(デジタル・アーカイブ化)に必要なソフトウェア技術基盤の構築のための研究開発を平成16年度から新たに実施します。

3 地球観測サミット

 地球温暖化などの地球規模の問題に対して適切な対策を講じるため,地球上の様々な現象をより正確に把握する地球規模の観測システムの構築を目指した国際的取組を進めています。

4 ナノテクノロジー総合支援プロジェクト

 我が国におけるナノテクノロジーを戦略的に推進するため,最先端の施設・設備の外部研究者への利用の機会の提供,最新の国内外の情報提供などにより,産学官のナノテクノロジー研究者の研究活動の総合的な支援を行っています。

トピックス1 新興・再興感染症への対応について

 近年,感染症対策への迅速な対応や新たな創薬プロセス・診断方法の開発等,ライフサイエンス分野の研究開発に対する社会的ニーズが一層高まっており,これらのニーズに対応する研究を推進することが重要となっています。

 特に新興・再興感染症については,2002(平成14)年には米国で西ナイル熱・脳炎が発生し,2003(平成15)年にはアジアを中心とする世界各国で重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生するなど,世界的な脅威となっています。また,アジア各地において高病原性鳥インフルエンザが発生し,我が国においても16年1月に山口県での発生が確認され,その後,大分県,京都府においても発生するなど,社会的に大きな不安を与えています。そのため,文部科学省では,15年度において,厚生労働省や農林水産省などの関係省との連携の下,SARSと鳥インフルエンザについて,科学技術振興調整費を活用した緊急調査研究を実施し,ウイルスの塩基配列や病原性の解析,迅速診断キットの開発,ワクチン開発の基盤研究などを行いました。また,新興・再興感染症への対応を更に充実させるため,17年度以降を見据え,新興・再興感染症に関する基礎研究等を行う国内外の研究拠点の形成と研究の推進及びこれらを通じた人材の養成についての検討を進めています。

▲世界における感染症の発生状況

トピックス2 教育,文化・芸術分野におけるデジタル・アーカイブ化に必要なソフトウェアの研究開発の推進

 「e-Japan戦略II」(平成15年7月IT戦略本部決定)においては,これまでの世界最先端IT国家を目指すという目標に加え,新たにITの利活用に重点を置いています。これを踏まえ文部科学省では,人々が専門的な知識や技術を継続的に学習できる環境を実現するため,教育や文化・芸術分野の現場へのデジタル・アーカイブ *1 化の適用に必要なソフトウェア技術基準の構築を目指し,「知的資産の電子的な保存・活用を支援するソフトウェア技術基盤の構築」の事業を平成16年度から開始しました。「文化財のデジタル・アーカイブ化」及び「教育機関向けデジタル・アーカイブ利用システム」の領域について一般から広く課題を公募して,審査の結果,五つの研究開発課題を実施しています。

▲デジタル・アーカイブ化された大仏の例

○文化財のデジタル・アーカイブ化

 大仏や伝統舞踊などの国民の貴重な財産である有形・無形の文化財は,情報科学技術を活用して電子的な保存等を行い,積極的に公開・発信を進めるとともに,次世代に引き継いでいくことが求められています。これらの文化財を可能な限り自動的,高精度にデジタル・アーカイブ化するために必要なソフトウェア技術についての研究開発を行っています。

○教育機関向けデジタル・アーカイブ利用システム

 ユビキタス *2 時代においては,学習者が,いつでもどこでも異なるメディアやデジタル・アーカイブから必要な情報を入手し,自主的な学習をすることが可能な技術を構築することが求められています。このようなユビキタス技術や情報検索・収集技術を活用したeラーニング *3 用ソフトウェアの基盤技術についての研究開発を行っています。

▲e-ラーニング用ソフトウェアの利用例

トピックス3 地球観測サミット

 私たちを取り巻く地球規模の問題は,地球温暖化,砂漠化,大規模な洪水や熱波等の異常気象の発生,地震や津波,台風等の自然災害など,非常に多岐にわたります。これらの問題は,人口の爆発的な増加,新鮮な水や食糧の不足,資源・エネルギーの管理,生態系や生物多様性の損壊,人間の健康への脅威などの様々な事象と相互に作用を及ぼし合っています。持続可能な発展を実現していくことは,開発途上国を含めた世界全体の課題となっています。

 地球規模の問題に対して国際社会が結束し,適切な対策を講じるためには,まずは地球上で起こっている様々な現象をより正確に把握し,その原因を探り,影響を予測することから始めなくてはなりません。地球観測は,その重要な手段として,国際的にも今後ますます大きな役割を果たすことになります。

▲地球観測のイメージ図(CEOS地球観測ハンドブック2002より転載)

 このような問題意識の高まりを背景として,平成15年6月のエビアンG8サミットでの地球観測への国際協力の強化に関する合意を受け,15年7月に第1回地球観測サミットが米国で開催され,地球観測10年実施計画の策定などを内容とするサミット宣言文が採択されました。16年4月25日に日本において開催された第2回地球観測サミットでは,43か国及び欧州委員会,25の17年2月に欧州で開催される第3回地球観測サミットにおいて10年実施計画が採択される予定です。我が国としても文部科学省を中心に関係省庁が連携して積極的に貢献するとともに,10年実施計画に基づく地球規模の観測システムの構築に向けて,アジア諸国,米国,欧州諸国等との協力の強化を図っていきます。

▲第2回地球観測サミット参加者集合写真

トピックス4 ナノテクノロジー総合支援プロジェクト

 ナノテクノロジー総合支援プロジェクトは,我が国におけるナノテクノロジーを戦略的に推進することを目指し,最先端の施設・設備の外部研究者への利用の機会の拡大,最新の国内外への情報提供などにより,産学官の幅広いナノテクノロジー研究者のニーズにこたえ,総合的に研究活動を支援しています。

 研究支援業務としては,大学や独立行政法人などが持つ大型・特殊設備や技術を産学官のナノテクノロジー関連研究者や技術者に広く利用する機会を提供しています。このプロジェクトでは,単に設備の利用機会を提供するだけでなく,高度な技術を持った技術者が研究の企画段階から解析まで一貫して支援を行う体制をとっています。

▲大阪大学の3000kV超高圧透過型電子顕微鏡

 これまでに,大学や産業界などの様々な研究領域の研究者や技術者からの申請により,年間約800件の研究開発支援を全国延べ16の機関において共同研究や施設利用の形で行っています。それらの中には,海外の論文誌に発表される成果も多く,これまでに本事業を利用した成果として1,400件を超える発表が行われています。また,産業界への支援事業については,大企業だけではなくベンチャー企業に対しても行っており,特許に結び付いた成果や,製品化・実用化を目指した段階の共同研究に発展している成果が出ています。全国にあるこのプロジェクトの機関では,講演会やセミナー,技術講習会等も開催しており,地域のナノテク産業と密接に連携しながらナノテクノロジーのレベルアップに貢献しています。

 情報発信等の業務としては,ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンターを設置し,ナノテクノロジー研究の振興を目的として,関連情報の収集・発信,研究者間ネットワーク構築や人材育成などの活動を行っています。人材育成の活動としては,ナノテクノロジーは分野横断的な領域であることから,専門外の分野についても知識を広げるための分野横断スクールを開催しているほか,平成16年度からは,ナノテクノロジー研究のリーダーとなる人材育成のために,若手研究者を米国,英国,スウェーデンに派遣する国際交流を開始しました。また,年に1回ナノテクノロジー総合シンポジウムを開催し,ナノテクノロジーの最先端研究の紹介や異分野間研究者交流を行っています。15年度のシンポジウムでは,1,200名を超える参加者がありました。その他,メールマガジン,ホームページや冊子などでナノテクノロジー関連情報を集積し,発信しています。

▲ナノテクノロジー総合支援センターによる情報発信活動


*1 デジタル・アーカイブ

 「アーカイブ(archive)」とは文書や記録,あるいはその集積している場所(文書館など)を意味し,デジタル技術により,様々な資源を文字・映像・音声などによって記録集積し,インターネットなどで配信したり検索し,再利用したりすることを可能としたもの。


*2 ユビキタス

 ラテン語で「同時にいたるところに存在する」を意味する言葉。いつでも,どこでも,だれでもネットワークを介して情報をやりとりできる環境を指す。


*3 eラーニング

 時間や場所に関係なく,ネットワークなどを介して,必要な知識や技術を習得するための手段・方法。


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