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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第5章 科学技術・学術政策の総合的推進

トピックス 特集記事

これからの学術研究の推進に向けて

 我が国が社会経済の様々な課題を克服し,明るい未来を切り拓いていくためには,「科学技術創造立国」の実現が必要不可欠です。そのためには,科学技術・学術それぞれの特性を生かした総合的な取組を通じ,多様で創造性に富んだ世界最高水準の研究開発を推進していくことが重要です。

トピックス これからの学術研究の推進に向けて

 学術研究は,研究者の自由な発想に基づき,主に大学などで行われている研究です。すぐに目に見える成果が出るとは限りませんが,その成果が社会的基盤の形成につながるものなので,各方面からしっかり支えていく必要があります。

 科学技術・学術審議会学術分科会基本問題特別委員会では,「これからの学術研究の推進に向けて」を取りまとめました(平成16年6月30日)(参照: 本章第2節 )。今後は,学術研究の更なる発展のため,各大学等の創意工夫により様々な新しい取組が行われていくことになります。我が国を代表する研究者の一人である末松安晴国立情報学研究所長から,これからの学術研究の推進について,大事なお話をいただきました。

▲末松先生

 「学術研究は,自由な知的好奇心に基づいて試行錯誤を続けながら普遍性を求めて行われるもので,その時代の常識を打ち破るような革新的,画期的な成果が生み出されます。日本学術会議の報告によると,学術研究は,いわゆる萌芽研究の段階,萌芽が多方面への展開を視野に入れて発展し,応用の可能性を模索し始める展開研究の段階,萌芽が発展して社会の諸問題の解決や新技術の実現,新産業の創生など現実的な諸課題への対応を目指す統合研究の段階の3段階で発展するとされています。大学では,これら性格の異なる3段階の研究が混在して遂行されているのです。

 例えば白川英樹筑波大学名誉教授の研究ですが,助手時代に失敗した実験が基になり,電気を通す伝導性プラスティックの発見につながりました。その後,携帯電話の素子やディスプレイなど,我々の生活を支える必要不可欠な技術として実用化され,2000(平成12)年には,白川先生にノーベル賞が授与されました。大学の学術研究の中で起こるこのような大発見は,『偶然に発見されるもの』として,現在注目されています。

 学術研究が実用段階に至るまでには,数十年の長い期間が必要で,その推進には中長期的な視野が欠かせません。また,統合段階の研究においても,その下には萌芽研究の成果があることを忘れてはいけません。

 このような特徴を持つ学術研究を支えていくために,2種類の異なる視点からの支援が行われています。一つは,長期的な視野からの,研究者の自発的な研究に対する支援で,国立大学の運営費交付金 *1 や科学研究費補助金 *2 などがあります。もう一つは,社会的な要請から分野・課題を定めて短期間に効率よく行われる政策目的遂行のための研究への支援です。これらは一見相反するようですが,バランスよく両方を支援していくことが,学術研究の推進はもとより,我が国の将来の発展の重要な鍵になるのです。

 学術研究の意義,重要性を多くのみなさんにご理解いただければと思います。」


*1 運営費交付金

 国立大学法人の行う業務の財源の一部に充てるための,同法人に対し国から措置される交付金。


*2 科学研究費補助金

 様々な研究費のうち「研究者の自由な発想に基づくもの(学術研究)」に対して措置される補助金。


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