ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第3章 高等教育の多様な発展のために
第1節  個性が輝く大学を目指して
4  大学の国際競争力の向上



(1) 大学院の充実と改革

{1}大学院の質的量的な充実

 大学院は,「深い知的学識を涵養する高度な教育の課程を提供する場」として,我が国が国際競争力を持って世界をリードし,また国際社会に貢献するための基盤となる高度な人材養成の中核を担うことが求められています。我が国には現在,国公私立709大学の約8割に当たる545大学(平成16年度現在)に大学院が置かれています( 図表2-3-7 )。

図表◆2-3-7 大学院の整備状況

 高度な人材養成機能の強化,国際社会への貢献など大学院に対する社会の要請・期待は,ますます大きなものとなっています。これらの時代の要請に適切にこたえるため,質的な面でも量的な面でも大学院の飛躍的な充実を図ることが重要な課題となっています。このため,文部科学省では,各大学院においてそれぞれの目的に即し,多様な形で教育研究の一層の高度化・活性化が図られるよう,(i)博士課程の目的として研究者養成だけでなく社会の多様な方面で活躍し得る高度の研究能力と豊かな学識を有する人材の養成を付加,(2)大学院大学や通信制大学院,専門職大学院の制度化による新しい形態の大学院の設置,(3)飛び入学や修士1年コース,長期在学コースなど入学資格や修業年限の弾力化,(iv)連携大学院や夜間・昼夜開講制大学院など組織運営にかかわる制度的な改革を実施するとともに,先端的・学際的分野を中心とした研究科などの新設を推進しています。大学院の質的な面からの教育研究機能の強化については,(i)体系的なカリキュラムの編成とそれを踏まえた適切な教育研究指導を行う観点から,FD(ファカルティ・ディベロップメント),授業評価の実施,シラバスの作成などの奨励(参照: 第2部第3章第4節1(2) ),(2)社会のニーズを適切に踏まえた大学院教育を行う観点から,インターンシップ(就業体験)業との共同研究や寄附講座等の開設の促進,(3)学生の経済的な支援のための奨学金,日本学術振興会の特別研究員制度,TA(ティーチングアシスタント) *1 ,RA(リサーチアシスタント) *2 の充実,(iv)大学院の評価システムの確立とそれを踏まえた資源の重点配分を行う観点から,自己点検評価,認証評価機関による第三者評価制度の導入,21世紀COEプログラムの導入などの施策充実に努めています。

 また,大学院の在学者数の規模の拡大について提言した,平成3年11月の大学審議会答申「大学院の量的整備について」を受け,これまで,新たな大学院(研究科・専攻)の設置や大学院の入学定員増などの各般の施策により,大学院の量的拡大を図ってきました。大学院の在学者数は,16年5月現在,24万4,026人(修士課程16万2,713人,博士課程7万3,447人,専門職学位課程7,866人)となっており,近年著しく規模を拡大していますが,諸外国の状況と比較すると,なお隔たりがあることも事実です( 図表2-3-8 )。

図表◆2-3-8 諸外国における学部学生に対する大学院学生の比率

 社会・経済・文化のグローバル化(世界規模化)と変化の激しさを増す21世紀の国際的な競争社会を迎え,今後我が国では,高度で知的な素養のある人材層が広く社会を支える知識基盤社会へと移行していく必要があります。

 これからの大学院に特に求められることとして,「大学院部会における審議経過の概要−国際的に魅力ある大学院教育の展開に向けて−」(平成16年88月中央教育審議会大学分科会大学院部会)においては,

 {1}高度な人材養成機能の強化

 ・創造性豊かな優れた研究・開発能力を持つ研究者等

 ・高度な専門的知識・能力を持つ高度専門職業人

 ・確かな教育能力と研究能力を兼ね備えた大学教員

 ・知識基盤社会を多様に支える高度で知的な素養のある人材

 {2}教育研究を通じた学術研究の高度化

 {3}国際社会などへの貢献

が挙げられています。

 また,これらの機能を十分に発揮し,国際的にも信頼性のある魅力ある大学院教育を展開していくためには,「各大学院(専攻等)が,特に人材養成機能の面で,それぞれの課程(博士課程,修士課程,専門職学位課程)の目的・役割について焦点を明確にしていくことが求められ,これを前提として,各大学院の目的に沿った人材養成を実現するために必要となる教育の課程の組織的展開の強化(大学院教育の実質化)を推進することが重要である」とされ,文部科学省では,各大学院の多様な発展が図られるよう,今後,これらの検討を踏まえつつ,大学院の教育研究機能の強化を推進していきます。


*1 TA(ティーチングアシスタント)

 優秀な大学院学生に対し,教育的配慮の下に,学部学生などに対するチュータリング(助言)や実験,実習,演習などの教育補助業務を行わせ,大学教育の充実と大学院学生への教育トレーニングの機会提供を図るとともに,これに対する手当ての支給により,大学院学生の処遇の改善の一助とすることを目的とした制度。


*2 RA(リサーチアシスタント)

 学生の経済的援助だけでなく,大学における研究の円滑な実施や若手研究者の確保などを目的とした,大学の研究者が優秀な博士課程在学者を研究補助者として雇う制度。


(2) 専門職大学院制度

 法科大学院をはじめとした専門職大学院は,社会が期待する高度な専門能力を有する人材育成機能を果たしていく観点から,「高度専門職業人養成に特化した実践的な教育」を行う新たな大学院の仕組みとして平成15年度に設けられたものです。この制度を通じて,国際的,社会的にも通用する高度専門職業人の養成を質・量共に充実させることを目指しています( 図表2-3-9 )。

{1}特色

(ア)標準修業年限は2年を基本とする(ただし,専門分野の特性に応じ特に必要と認められる場合は,1年以上2年未満)

(イ)修了要件は,一定期間以上の在学と各専攻分野ごとに必要となる単位の修得(コースワーク)のみを必須とし,論文や特定課題の研究成果を要しない

(ウ)事例研究,討論,現地調査など多様な実践的な教育を提供する

(エ)各職業分野で豊富な経験を有する実務家を教員として相当数配置する

 ことなどが制度の基本とされています。なお,専門職大学院の一形態でもある法科大学院については,別に規定を設けています(参照:トピックス3)

図表◆2-3-9 専門職大学院制度の創設

{2}専門職学位の創設

 これまで,大学院(修士課程・博士課程)の修了者には,「修士」,「博士」の学位が授与されていましたが,専門職大学院(専門職学位課程)の修了者に対しては,社会的な通用性や国際的通用性を考慮し,高度専門職業能力を修得したことを証明する学位として,これまでの「修士」「博士」の学位とは異なる「専門職学位」を授与することとなります。

{3}設置状況等

 現在,専門職大学院は,法務,経営管理,公共政策,公衆衛生等の分野で,93校(うち法科大学院68校)が設置されており,将来的には,国家資格と関連した分野や,社会的に特定の高度な職業能力を有する人材の養成が必要とされている分野,国際的に共通の水準の人材養成が必要とされているような分野において開設されることが期待されます( 図表2-3-10 )。

図表◆2-3-10 専門職大学院設置大学一覧(法科大学院を除く)


(3) 卓越した研究教育拠点の形成

我が国の大学が,世界の最高水準の大学と伍して,教育・研究の水準向上や,世界を先導する創造的人材の育成を図っていくためには,競争的環境を一層醸成し,国公私立大学を通じた大学間の競い合いがより活発に行われることが重要です。

 文部科学省で実施している「21世紀COE プログラム」は,今後,我が国の大学がこれまで以上に活力に富み国際競争力のあるものになるよう,大学改革の流れを一層加速する観点から,文部科学省が発表した「大学の構造改革の方針」(平成13年6月)の中で,「第三者評価による競争原理の導入」という大きな方向性の下,その基本的な構想が打ち出されました。

 「21世紀COEプログラム」は,世界最高水準の大学づくりを推進するために,主として研究上のポテンシャルの高い研究教育拠点に対し,高度な人材育成機能を加味した重点支援を行っています。各大学の個性や特色の明確化,大学全体の水準向上や活性化につながることも期待されています。

 選定のための審査や中間評価については,「21世紀COEプログラム委員会」(江崎玲於奈委員長,日本学術振興会を中心に運営)において,研究教育活動実績や当該大学の将来構想を中心に,公平・公正な第三者評価が実施されます。採択された拠点には,1件当たり年間1〜5億円程度の補助金が原則として5年間継続的に交付され,事業開始から2年経過した後に中間評価,期間終了時に事後評価が実施されます。

 これまで3年間に,93大学274件の特色ある研究教育拠点が採択されており,各大学においては現在,拠点形成が着実に進められています。

 本プログラムは大学関係者のみならず,社会的関心が非常に高く,今後の展開に大きな期待が寄せられています( 図表2-3-11 ),( 図表2-3-12 )。

図表◆2-3-11 21世紀COEプログラム」について

図表◆2-3-12 21世紀COEプログラム」の実績


* COE

COE=Center of excellence(卓越した研究拠点)。


(4) 国公私立大学を通じた大学教育改革の支援

 個性輝く大学づくり,国際競争力の強化,教養教育の充実等が求められる中,大学における教育の質の充実や世界で活躍し得る人材の養成は重要な課題であり,各大学における大学教育改革の取組を一層促進していく必要があります( 図表2-3-13 )。

 このため,文部科学省では,国公私立大学を通じた競争原理に基づいて優れた取組を選定し,重点的な支援を行うことによって,大学教育改革の促進を図っています。

図表◆2-3-13 国公私立大学を通じた大学教育改革の支援

{1}特色ある大学教育改革の支援

特色ある大学教育改革を支援し,高等教育の活性化を促進することを目的として,以下の施策を実施しています。

(ア)特色ある大学教育支援プログラム(平成15年度から実施)

 大学教育改革に関する各大学・短期大学の取組の中から,特に優れた取組を選定し,社会に広く情報提供するとともに,財政支援を行います。15年度は664件の応募に対し80件,16年度は534件の応募に対して58件を採択しました。

(イ)現代的教育ニーズ取組支援プログラム(平成16年度から実施)

 各種審議会からの提言等,社会的要請の強い政策課題に対応したテーマを設定し,各大学,短期大学,高等専門学校の大学教育改革を図る取組の中から,特に優れた取組を選定し,財政支援を行います。平成16年度は559件の申請に対し86件を採択しました。

(ウ)海外先進教育研究実践支援プログラム(平成16年度から実施)

 大学,短期大学,高等専門学校の教職員を海外の教育研究機関等に派遣し,先進的な研究や優れた教育実践に参画させることなどによって,教育研究能力の向上を図る優れた取組を選定し,財政支援を行います。平成16年度は780件の応募に対し520件を採択しました。

{2}法科大学院等専門職大学院の形成支援(平成16年度から実施)

 法科大学院などの各種の専門職大学院における教育内容・方法の開発・充実に取り組む優れた教育プロジェクトを選定し,重点的に財政支援することで,高度職業人養成の推進を図ります。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ