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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第3章 高等教育の多様な発展のために
第1節  個性が輝く大学を目指して
2  国立大学の法人化等



(1) 国立大学の法人化

{1}法人化の意義・経緯

(ア)法人化の意義

 これまでの国立大学は,基本的には行政組織の一部として位置付けられていました。このため,国の予算制度や国家公務員法制の下で, 教育研究の柔軟な展開に制約がありました。

 国立大学の法人化は,国立大学を国の組織の枠組みから外すことにより,自主性・自律性を拡大し,国立大学がより競争的な環境の下で,教育研究の高度化や個性豊かな魅力ある大学づくりに取り組み,国民や社会の期待にこたえてその役割を一層しっかりと果たすことを目的とするものです。

(イ)法人化の経緯

 欧米諸国においては,国立大学や州立大学を含めて,大学には法人格が付与され,自律性が確保されているのが一般的です。このようなことも踏まえ,昭和46年の中央教育審議会答申以来,国立大学の法人化について度々指摘されてきていたところですが,具体的な議論には至りませんでした。

 その後,国による財政措置を前提とした独立行政法人の制度の導入方針が示されたことを機に,大学の自主性を尊重しつつ大学改革の一環として国立大学の法人化を検討する旨が決定されました(平成11年4月閣議決定)。具体的には,文部省内(当時)に国立大学関係者や公私立大学,経済界などの有識者で構成される調査検討会議を設けて議論が重ねられ,14年3月に「新しい『国立大学法人』像について」と題する最終報告がまとめられました。

 この最終報告に沿って,大学の教育研究の特性に十分配慮し,国立大学にふさわしい法人の具体的な仕組みについて定めた国立大学法人法案が国会に提出され,平成15年7月に成立し,16年4月に89の国立大学法人が発足しました。

{2}制度の概要

 国立大学法人制度の特徴としては,主に以下のようなものが挙げられます( 図表2-3-2 ),( 図表2-3-3 )。

図表◆2-3-2 国立大学の法人化について

図表◆2-3-3 国立大学法人の仕組み

(ア)「大学ごとに法人化」し,自律的な運営を確保

 国立大学を法人化する際の単位については,大学の運営の自主性・自律性を高め,自己責任を明確にする上で適切であり,また,大学相互の競争的な環境の醸成や大学の個性化に資することなどから,各大学ごとに法人格を付与する仕組みとしています。

(イ)責任ある経営体制の確立

 これまで国立大学の経営については,特に予算や組織などについて国からの様々な規制を受けていたという意味で,国(文部科学省)が行っていたとも言えます。法人化によって経営の権限と責任が国立大学法人に移管され,学長を中心としたトップマネジメント が実現する仕組みとなりました。

 国立大学法人法において,(i)学長と学長が任命した理事で「役員会」を構成し,重要事項については,「役員会」の議を経ること,(2)学長がすべての教職員の任命権を有すること,などの仕組みが定められています。

 さらに,大学の機動的な意思決定を支えるため,全学的な教育課程の方針など教育研究に関する重要事項を審議する「教育研究評議会」と,予算の作成など国立大学法人の経営に関する重要事項を審議する「経営協議会」という二つの審議機関を置くこととしています。これらの審議結果を踏まえつつ,重要事項については「役員会」の議決を経ることで,機動的かつ戦略的な意思決定が実現する仕組みとなっています。

(ウ)「学外者の参画」による運営システムを制度化

 国立大学法人においては,学外の専門的な知見を経営に直接反映させるため,学外者を理事や監事などの役員として登用する仕組みを導入しています。また,大学運営に国民や社会の意見を反映させる必要があることから,特に経営協議会については,委員の半数以上を学外委員とすることとされています。このほか,学長選考に関しても,学内外の意向をバランスよく反映させることなどを考慮し,経営協議会の学外委員と教育研究評議会の代表者とが同数で構成する学長選考会議において選考を行う仕組みとしています。

(エ)国家公務員法体系にとらわれない弾力的な人事システムへの移行

 国立大学が,競争的環境の中で教育研究の活性化を図るためには,教職員の人事がより弾力的に行われる必要があります。

 このような観点から,国立大学法人の教職員については公務員としての身分を有しないこととしました。これにより,国家公務員法などにとらわれず,より柔軟で弾力的な雇用形態や給与体系・勤務時間体系の導入,兼職・兼業の活用による産学連携の推進,外国人の管理職への登用など,弾力的な人事制度が実現し得る仕組みとなりました。

(オ)評価の実施による事後チェック方式に移行

 法人化後の国立大学については,大学運営の自主性・自律性が増すと同時に,評価が非常に重要な役割を果たすこととなります。評価の実施に当たっては,それぞれの理念や目標に応じて多様かつ高度な教育研究活動を展開する国立大学の特性を踏まえることが必要です。

 具体的には,各国立大学法人が6年間において目指すべき目標と具体的方策としてそれぞれ定められた中期目標・中期計画を基本にして,(1)}各国立大学法人がこの中期目標・中期計画の達成状況について自己点検・評価を行った上で,(2)大学評価・学位授与機構が教育研究に関する評価を行い,(3)さらに,その結果を尊重しつつ国立大学法人評価委員会が経営面も含めた総合的な評価をする,という仕組みになっています。この評価結果については,次期中期目標の内容や資源配分に反映されることとなっています。

{3}法人化後の財務会計制度

 国立大学法人に対する国からの財政措置については,業務運営に要する経費として,運営費交付金が措置されます。また,施設整備に要する経費として,施設整備費補助金が措置されます。

 運営費交付金は,使途が特定されない,いわゆる「渡し切りの交付金」です。また,自己収入の増加や経費節減などにより剰余金が発生した場合,一定の要件の下で,当該金額を積立金とし,翌年度以降に使用することも可能となっています。このように各国立大学法人の自主的な判断による弾力的な執行が可能となるとともに,経営努力の結果が直接,法人の財務会計に反映されることとなっています。

{4}大学共同利用機関の法人化

 高エネルギー加速器研究機構や国立天文台など,これまで世界水準の研究成果を上げてきた大学共同利用機関については,更に学術研究を活性化させる観点から,国立大学の法人化に伴い,16の機関を四つの「大学共同利用機関法人」に再編の上,法人化されました( 図表2-3-4 )。

図表◆2-3-4 大学共同利用機関の再編について


* トップマネジメント

 学部などの枠を超えて学内の資源配分を戦略的に見直し,機動的に決定・実行できるよう,経営面での学内体制を抜本的に強化するとともに,学内コンセンサス(合意)の確保に留意しつつも,全学的な視点に立ったトップダウンによる意思決定を可能とする大学運営の仕組み。


(2) 公立大学法人制度の創設

 公立大学法人制度については,平成16年4月1日に,地方独立行政法人とその一類型としての公立大学法人について定める「地方独立行政法人法」が施行され,これによって公立大学は,設置者である地方公共団体の判断により法人化することが可能となりました。

 公立大学法人制度は,国立大学の法人化と同様,大学の教育研究の特性を踏まえつつ,自律的な環境の下,地域社会の要請にこたえて,優れた教育や特色ある研究に積極的に取り組む個性豊かな魅力ある大学づくりを図ることを目的としています。

 具体的には,これまでの公立大学にはない以下のような新たな仕組みを導入しています。

{1}「民間的発想」によるマネジメント
{2}予算・人事等の規制緩和による自律的かつ機動的な運営
{3}能力・業績に応じた弾力的な人事システム(非公務員型)
{4}第三者評価による適切な資源配分,積極的な情報公開と社会貢献の増大

 一方で,公立大学法人の具体的な組織運営などについては,国立大学法人制度とは異なり,以下のように,各地方の状況に応じ裁量を持たせた弾力的な制度となっています。

{1}地方公共団体の判断に基づき法人化(議会の議決を経て国等が認可)
{2}法人の長(理事長)が学長となることを原則としつつも,理事長とは別に学長を任命することも可能
{3}経営及び教学に関する審議機関の具体的な審議事項は,定款により定める仕組み

 このように,公立大学法人制度は,地方公共団体が地域の実情に応じて公立大学の改革を図り,公立大学が教育研究や地域貢献など,地域の特色を生かした高等教育機関として更に発展するための有効な選択肢となるものと考えています。

 なお,設立状況については,平成16年4月に設立された公立大学法人国際教養大学1法人ですが,17年4月の設立に向けて準備を進めている地方公共団体もあります。


(3) 国立高等専門学校の独立行政法人化

 平成16年4月1日,全国55校の国立高等専門学校を設置し,運営する組織として,独立行政法人国立高等専門学校機構が発足しました。

 独立行政法人化に伴い,国立高等専門学校の裁量が拡大し,学校運営の弾力化が図られることによって,一層の個性化,活性化,教育研究の高度化が推進されることとなります。また,そのスケールメリット(規模効果)を生かして国立高等専門学校全体として取り組むべき共通の課題に対応していくことや,各学校の枠を超えた教育活動の推進や学生支援の充実を図っていくことが可能になります。

 文部科学省としても,こうした国立高等専門学校の法人化の目的が確実に達成されるように,法人制度の運用に当たって,高等専門学校における教育研究の特性に十分に配慮するとともに,今後とも必要な財政的支援に努めていくこととしています( 図表2-3-5 )。

図表◆2-3-5 国立高等専門学校の法人化


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