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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第2章 初等中等教育の一層の充実について
第8節  障害のある児童生徒の可能性を最大限に発揮するための教育
2  課題への対応と関連施策



(1) 地域・学校における支援体制の整備〜LD,ADHD,高機能自閉症 の児童生徒等への支援〜

 LDへの教育的対応については,平成11年7月の調査研究協力者会議報告「学習障害児に対する指導について(報告)」において,その定義,判断・実態把握基準(試案),指導方法などがまとめられました。文部科学省では,12年度から,LDの児童生徒に対する指導体制の充実を図るための実証的な研究と専門家による巡回指導を実施してきました。

 また,ADHD,高機能自閉症への教育的対応については,平成15年3月の「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」において,これらの障害の定義,判断基準(試案),指導方法などが示されました。文部科学省では,これを受けて,15年度から47都道府県に委嘱して,LDの児童生徒に加え,ADHD,高機能自閉症の児童生徒を含めた総合的な教育的支援体制の整備を図るための事業として,「特別支援教育推進体制モデル事業」を実施しています。具体的には,障害の定義,判断基準(試案)などの有効性を検証するとともに,校内委員会の設置による実態の把握や専門家による巡回相談などを行ってきました。

 平成16年度からは,15年度の事業内容に加え,新たに{1}都道府県や地域における特別支援教育の推進体制を促進するための関係部局横断型の組織(特別支援連携協議会)の設置,{2}関係機関との連携による適切な教育的支援を行うための「個別の教育支援計画」策定検討委員会の設置,{3}盲・聾・養護学校から地域の小・中学校への教育的支援を行う際の連携協力の在り方(センター的機能)に関する実践研究を盛り込んで,障害のある児童生徒の総合的な教育的支援体制の一層の整備を図っています。

 また,平成16年1月には,LD,ADHD,高機能自閉症などの児童生徒に対する教育的支援を行う体制の整備や指導の充実を図るため「小・中学校におけるLD,ADHD,高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン(試案)」を策定し,全国の小・中学校や教育委員会などに配布をしました。

 あわせて,平成15年度より,各都道府県においてLD,ADHD,高機能自閉症の児童生徒への対応に指導的な役割を果たす教育委員会の指導主事等に対する研修を実施しています。

 これらの施策を通じて,厚生労働省とも連携を図りながら,各地域や学校において,医療・福祉等の関係機関などとの連携のなかで,早急に総合的な支援体制の整備が図れるよう積極的に取り組んでいます。


(2) 障害の重度・重複化への対応

 近年の盲・聾・養護学校に在籍する児童生徒の障害の重度・重複化に伴い,より適切な対応が求められています。

 文部科学省では,平成11年3月に改訂した盲・聾・養護学校の学習指導要領などにおいて,障害の重度・重複化への対応として,障害の状態を改善・克服するための指導領域である「養護・訓練」については,目標・内容を改善するとともに,名称を「自立活動」に改めました。また,個別の指導計画の作成について,新たに規定しました。この学習指導要領は,小・中学部については14年度より全面実施,高等部については15年度より学年進行により実施されています。

 また,障害のため通学して教育を受けることが困難な児童生徒に対して,盲・聾・養護学校の教員が,家庭や医療機関などを訪問し教育を行う訪問教育を実施しています。

 さらに,盲・聾・養護学校においては,日常的・応急的手当(いわゆる「医療的ケア」)を必要とする児童生徒への対応が求められています。このため,文部科学省では,平成10年度より,10県に委嘱して,養護学校と医療機関との連携の在り方などについて実践的な研究を行ってきました。15年度からは,その成果も踏まえ,厚生労働省との連携の下,養護学校における関係者の連携,医療・福祉等関係機関及び都道府県の関係部局間の連携や看護師と教員の連携の在り方について実践的な研究を行う「養護学校における医療的ケアに関するモデル事業」を32道府県に委嘱して,養護学校における医療的ケアの対応のための体制整備を図ってきたところであり,16年度については40道府県に拡充して実施しています。

 なお,厚生労働省の「在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律学的整理に関する研究会」の報告においては,これまで文部科学省が実施してきたモデル事業等の研究成果等を踏まえ,医療安全の確保が確実となるような一定の条件の下であれば,教員が看護師との連携・協力の下に,医療ニーズの高い幼児・児童生徒に対してたんの吸引,経管栄養及び導尿を行うことを盲・聾・養護学校全体に許容するとの整理が示されました。これを受けて,文部科学省としては,盲・聾・養護学校において,同報告書の趣旨を踏まえた体制整備が図られるよう周知・徹底を図っているところです。


(3) 交流活動の充実

 障害のある子どもと,障害のない子どもや地域の人々が共に活動する交流教育は,すべての子どもの社会性や豊かな人間性を育成する上で意義があるだけでなく,地域の人々が障害のある子どもに対する正しい理解と認識を深める上でも重要な機会となっています。

 文部科学省では,現行の盲・聾・養護学校や幼・小・中・高等学校の新学習指導要領などにおいて,交流教育の意義を明確に示し,その充実を図るように規定しています。また,国立特殊教育総合研究所においては,教員や指導主事を対象とした,交流及び共同学習推進指導者講習会を毎年実施しています。


* 高機能自閉症

 3歳くらいまでに現れ,{1}他人との社会的関係の形成の困難さ,{2}言葉の発達の遅れ,{3}興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち,知的発達の遅れを伴わないものをいう。中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。


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