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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第2章 初等中等教育の一層の充実について

トピックス 特集記事

1 義務教育費国庫負担制度について

 平成16年11月26日に,政府・与党合意「三位一体の改革について」が決定されました。この合意においては,義務教育制度の根幹を維持し,国の責任を引き続き堅持する方針の下,費用負担の問題も含め義務教育の在り方について幅広く検討し,平成17年秋までに中央教育審議会において結論を得ることとされました。

2 学校運営協議会制度(コミュニティ・スクール)について

 地域に開かれた信頼される公立学校づくりを進めるため,平成16年6月に「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が一部改正され,保護者や地域住民等が学校運営に参画する「学校運営協議会制度」が創設されました。

3 国際学力調査の結果とその対応について

 文部科学省では,平成16年12月に公表された国際学力調査の結果を踏まえ,現行の学習指導要領のねらいである「確かな学力」を育成し,世界トップレベルの学力を目指すために,教育内容,指導方法,教員の資質など義務教育全般について,必要な改革を進めていくこととしています。

トピックス1 義務教育費国庫負担制度について

1.制度の趣旨

 義務教育は,憲法の要請により,全国どこにおいても,すべての国民に対して,等しく無償で提供されなければならないとされています。義務教育の根幹は,機会均等,水準の維持向上,無償制にあり,この三つの要請を制度的に保障することが,義務教育に対する国の重大な責務となっています。

 この義務教育の根幹を維持するためには,地方の財政状況等にかかわらず,全国どの学校においても教職員を必要数確保することが不可欠です。このため,現在,公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律により各学校ごとに必要な教職員数が定められるとともに,義務教育費国庫負担法により教職員を必要数確保するための財源について原則2分の1を国が負担する仕組みとなっています。義務教育費国庫負担制度は,義務教育の根幹を維持するための財政上の保障として,重要な役割を担っています。

2.成立の経緯

 義務教育への完全就学の実現のためには無償制の確立が必要であったことから,明治33年国による財源補償制度が整備され,さらに,義務教育費の財源保障のためには,市町村による教職員給与そのものを改めて,教職員給与費を府県と国に分担させる必要があったため,昭和15年,県費負担教職員制度と義務教育費国庫負担制度が確立しました。

 戦後,シャウプ勧告に基づき,昭和25年に義務教育費国庫負担金は廃止され,新たに設けられた地方財政平衡交付金に吸収されましたが,28年に義務教育費国庫負担制度が復活しました。

 これまでの経緯からも,義務教育費を確保するためには,一般的な財源調整制度ではなく,義務教育費に目的を特定した国による財源保障制度が必要ということが明らかになっています。

3.三位一体の改革に伴う議論

 現在,地方の権限と責任を大幅に拡大するとともに,国・地方を通じた行政のスリム化を図る観点から地方の行財政改革を推進し地方財政の自立を目指すといういわゆる「三位一体の改革」が進められています。これは,{1}国から地方への国庫補助負担金の改革,{2}地方交付税の改革,{3}国と地方の税源配分の見直しという3つの改革を一体で進めるというものです。

 義務教育費国庫負担制度については,これまでも経済財政諮問会議等において,「三位一体の改革」に伴う国庫補助負担金改革の一環として議論がなされてきましたが,平成14年12月18日の総務・財務・文部科学3大臣合意により,「義務教育費に係る経費負担の在り方については,現在進められている教育改革の中で義務教育制度の在り方の一環として検討を行い,これも踏まえつつ,『改革と展望』の期間中(平成18年度末)までに国庫負担金全額の一般財源化について所要の検討を行う」こととされ,その後,閣議決定等において,同内容が確認されてきました。

 その後,平成16年6月4日,閣議決定された「骨太の方針2004」においては,「税源移譲は概ね3兆円を目指す」,「その前提として地方公共団体に対して,国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめるよう要請し,これを踏まえ検討する」ことが明記され,これを受けて,同年8月24日,全国知事会等から「国庫補助負担金等に関する改革案」が政府に提出されました。その中では,義務教育費国庫負担金を平成21年度までの第2期改革までにその全額を廃止し税源移譲の対象とすることとした上で,18年度までの第1期改革において中学校に係る義務教育費国庫負担制度(約8,500億円)を廃止し,地方の一般財源とすることとされました。

4.一般財源化の問題点

 平成16年5月25日,義務教育など学校教育に係る諸制度の在り方などについての審議を行ってきた中央教育審議会の作業部会が「義務教育費に係る経費負担の在り方について」として中間報告を取りまとめました。その中では,次のような点を挙げ,「義務教育費国庫負担制度の根幹は,今後も堅持していく必要がある」として結論付けています。

一般財源化の主な問題点

 また,上記の中間報告による指摘のほか,義務教育費国庫負担制度の堅持を求め,2,000を超える地方議会からの意見書,日本PTA全国協議会などの教育関係団体からの要望書等が文部科学省に寄せられており,義務教育費国庫負担金の廃止については,本中間報告等を踏まえ,教育論から慎重に検討することが必要となっています。

5.今後の検討

 義務教育費国庫負担金の取扱いについては,平成16年11月26日の政府・与党合意「三位一体の改革について」において,義務教育制度の根幹を維持し,国の責任を引き続き堅持する方針の下,費用負担の問題も含め義務教育の在り方について幅広く検討することとされた上で,17年秋までに中央教育審議会において結論を得ることとされました。

 平成17年度予算においては,政府・与党合意を受け,同年度限りの暫定措置として,義務教育費国庫負担金から4,250億円が減額されるものの,義務教育費国庫負担制度の根幹は堅持することとしています。

 平成18年度以降の取り扱いについては,今後,この政府・与党合意に基づき,中央教育審議会において,費用負担の在り方を含め義務教育の在り方について,幅広く関係者の意見を聞きながら議論することとなりますが,文部科学省としては,国の義務教育に対する責任を確実に果たしつつ,地方の個性と特色を生かしたより良い義務教育の実現が図られるよう,積極的に教育改革の推進に取り組んでいくこととしています。

トビックス2 学校運営協議会制度(コミュニティ・スクール)について

1.学校運営協議会制度の創設

 地域が学校運営に参画する,いわゆる「コミュニティ・スクール」などの新しいタイプの学校については,教育改革国民会議報告などにおいて設置促進が提言されてきました。こうした提言を踏まえ,文部科学省としては,平成14年度から「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究」を実施するとともに,15年5月から,中央教育審議会において検討を行い,16年3月,「今後の学校の管理運営の在り方について」(答申)を得たところです。この答申を受け,同年6月,「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の一部が改正され(9月に施行),学校を設置する地方公共団体の教育委員会の判断によって,「学校運営協議会」を設置し,保護者や地域住民が一定の権限と責任を持って学校の運営に参画することができるようになりました。同年11月末現在,既に全国で4校がこの制度を導入しています。

2.学校運営協議会の設置とその役割

 学校運営協議会は,保護者や地域住民などのニーズを踏まえて教育委員会が学校ごとに設置する合議制の機関です。

 学校運営協議会は,

 {1}校長が作成する教育課程の編成など,学校運営の基本的な方針についての承認
 {2}教職員の任用に関して,任命権者である教育委員会に意見を述べる

といった権限を有します。この制度の活用により,保護者や地域住民が,地域の代表として責任を持って学校運営に参加し,学校の教育方針の決定や教育活動の実践に関与していくことを通じて,それぞれの創意工夫を活かした特色ある学校づくりが進むことが期待されます。文部科学省としては,この制度の普及を図り,公立学校全体の活性化に取り組むこととしています。

◆コミュニティ・スクールのイメージ

トビックス3 国際学力調査の結果とその対応について

 平成16年12月に,OECD(経済協力開発機構)が実施した「生徒の学習到達度調査(PISA2003)」と,IEA(国際教育到達度評価学会)が実施した「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2003)」の2つの国際学力調査の結果が公表されました。2つの国際学力調査からは,現行の学習指導要領がねらいとしている知識・技能を活用する力や学ぶ意欲が,子どもたちに必ずしも十分身に付いていないことが明らかになりました。(調査結果の概要については 第2部第2章第1節 参照)

 2つの国際学力調査で測っている学力は,現行の学習指導要領が目指している基礎・基本の徹底や思考力・判断力,学ぶ意欲等を含む「確かな学力」の育成と同じ方向性のものです。したがって,子どもたちに「確かな学力」という幅広い学力を育成し,「豊かな心」や「健やかな体」を含めた「生きる力」をはぐくむという現行の学習指導要領のねらいの実現に向けて,一層の努力が必要です。

 文部科学省では,今回の国際学力調査の結果を受けて,新たに国立教育政策研究所と共同による「PISA,TIMSS対応ワーキンググループ」を設置し,調査結果のより詳細な分析を行っています。この分析結果を踏まえ,平成16年度中を目途に指導資料を作成し,各学校での指導上の改善点など具体的な対応策をとりまとめることとしています。

 さらに,現行の学習指導要領のねらいである「確かな学力」を育成し,世界トップレベルの学力を目指すために,教育内容,指導方法,教員の資質など義務教育全般について,必要な改革を進めていくこととしています。

 このうち,特に学力向上については,

{1}「全国学力調査」の実施と評価システムの開発

 「全国学力調査」の具体的な実施内容や実施方法について,文部科学省内にプロジェクトチームを設置し,検討を進める。

{2}「学習指導要領」全体の見直し

 国際学力調査の結果分析,子どもたちの実態,社会・経済状況の変化等を踏まえ,教育課程の基準全体の見直しを進める。

{3}「授業改善」の徹底

 国際学力調査の結果分析を踏まえ,学習目標の明確化,習熟度別指導の徹底,成績評価の徹底を図る。

{4}「読解力向上のためのプログラム」の実施

 論理的な解釈・表現の指導の充実や,朝の読書など読書活動の推進を図る。

などを中心に必要な対策を進めていくこととしています。

◆PISA調査とTIMSS調査の概要


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