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第1部   創造的活力に富んだ知識基盤社会を支える高等教育〜高等教育改革の新展開〜
第1章  子どもの心と体の健やかな発達のために
第4節 健やかに子どもを育て・守るための環境づくり〜学校における取組〜
4 児童生徒の問題行動への対応


 最近,児童生徒による重大な事件が相次いで発生するなど,児童生徒の問題行動はますます深刻化しており,緊急かつ重点的な対策が必要であるとともに,教育の原点に返った対応も求められています。

 特に,平成16年6月には,長崎県佐世保市の小学校において小学校6年生の児童が同級生を殺害する事件が発生しました。文部科学省では,本事件を受け,都道府県・指定都市教育委員会に対し,再発防止に向けた注意喚起と指導の徹底を要請しました。また,省内にプロジェクトチームを設置し,

{1}命を大切にする教育
{2}学校で安心して学習できる環境づくり
{3}情報社会の中でのモラルやマナーについての指導の在り方

を主な検討事項として,今後の学習現場の取組に生かす方策について検討し,平成16年10月に「児童生徒の問題行動対策重点プログラム(最終まとめ)」として対策を取りまとめたところです。

 暴力行為,いじめ,不登校など,児童生徒の問題行動などの原因・背景は,個々の事例により様々ですが,一般的には,

{1}家庭における幼少時からの養育やしつけの問題
{2}児童生徒の多様な能力・適性など一人一人に十分に対応できていない学校の在り方
{3}生活体験の不足,物質的な豊かさの中での,他人への思いやりや人間相互の連帯感の希薄

 化などの社会状況や青少年を取り巻く環境の悪化

などが挙げられています。こうした家庭,学校,地域社会のそれぞれの要因が複雑に絡み合い,例えば,学校生活への不適応や周囲からの過大な期待などにより子どもにストレスを蓄積させるなどの状況を発生させていることも考えられます。

 したがって,これらの問題の解決のためには,家庭,学校,地域社会がそれぞれの役割を果たし,一体となった取組を行うことが重要です。この中で学校は,校長のリーダーシップの下で,児童生徒に対する理解を深め,一人一人の児童生徒が生き生きとした学校生活を送ることができるよう,全校が一体となった生徒指導体制の確立に努める必要があります(参照: 第2部第2章第2節 )。

 このため,文部科学省においては,次の観点から各種の施策を総合的に推進しています。


(1) わかる授業・楽しい学校の実現と心の教育の充実

 学校は,子どもたちにとって,楽しく学び,生き生きと活動できる場でなくてはならず,自分の存在感や自己実現の喜びを実感できるような所でなければなりません。このため,個性を生かす教育を充実するという基本的な考え方の下で,新学習指導要領や完全学校週5日制の趣旨を実現する教育を着実に推進していく必要があります。

 文部科学省においては,子どもたちの豊かな人間性をはぐくむための心に響く道徳教育の推進や学校内外での多様な体験活動の促進,少人数指導や習熟度別指導など様々な取組の充実を積極的に推進しています。


(2) 教員の生徒指導力の向上

 問題行動などの未然防止や早期の発見,解決を図るためには,すべての教員がこれらについて正しい理解と正確な認識を持ち,児童生徒に対する指導力を備えることが必要です。このため,教員研修センターでは,指導主事等に対して,生徒指導上の諸問題等について必要な知識を習得させるとともに,受講者により,本研修を踏まえた研修の講師等としての活動や学校への指導・助言が行われるよう研修を行う「生徒指導上の諸課題に対応するための指導者の養成を目的とした研修」を実施しています。また,都道府県教育委員会などが実施する初任者研修や教職経験者研修などにおいても,生徒指導などに関する研修が実施されています。


(3) 教育相談体制の充実

 児童生徒,保護者,教員の抱える学校教育に関する不安や悩みを受け止めるためには,学校,市町村,都道府県などにおいて,これらに対する教育相談体制の整備を図る必要があります。

 文部科学省では,平成7年度から,学校における教育相談体制などの機能の充実を図るため,「心の専門家」である臨床心理士などをスクールカウンセラーとして配置し,逐次その拡充を図ってきました。13年度からは,「スクールカウンセラー活用事業補助」を開始し,各都道府県・政令指定都市において,スクールカウンセラーを活用する際の諸課題についての調査研究事業を行うために必要な経費の補助を行っているところです(16年度は8,500校)。これまでの取組を通じて,スクールカウンセラーの配置は,児童生徒の問題行動などの予防・発見・解消と,保護者や教員の子どもへの接し方についての助言の両面で効果があるなどの成果が数多く報告されています。

 また,平成16年度から,小学校に子どもと親の相談員を配置し,不登校などの早期発見・早期対応や未然防止に関する調査研究を実施することとしています。


(4) 学校・家庭・地域・関係機関の連携

 児童生徒の問題行動などの解決のためには,学校・家庭・地域・関係機関が一体となって取り組むことが重要です。文部科学省では,問題行動等を起こす個々の児童生徒に着目して的確な対応を行うため,学校,教育委員会,関係機関等から成るサポートチームの形成など,地域における支援システムづくりを行うとともに,「あそび・非行」の不登校児童生徒等に対応するため,学校内外での支援の場や機能の在り方等について調査研究を行う「問題行動に対する地域における行動連携推進事業」を実施しています。ほかにも,不登校児童生徒へのきめ細やかな対応を行うため地域ぐるみのネットワークを整備する「スクーリング・サポート・ネットワーク整備事業(SSN)」を実施しています(参照: 第2部第2章第2節3 )。


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