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第1部   創造的活力に富んだ知識基盤社会を支える高等教育〜高等教育改革の新展開〜
第1章  子どもの心と体の健やかな発達のために
第4節 健やかに子どもを育て・守るための環境づくり〜学校における取組〜
3 安全・安心な学校づくり


 事故・災害は日常生活のあらゆる場面で起きており,子どもたちは多様な危険にさらされています。学校の安全管理については,文部科学省では,従来から,各都道府県教育委員会などに対して,外部からの侵入者による事件・事故などへの対応を含め,安全管理に関する点検項目を例示するなどして,安全への取組を充実させるよう要請してきました。しかしながら,平成13年6月,大阪教育大学附属池田小学校において,凶器を持った侵入者により,児童や教師が殺傷されるいたましい事件が発生し,その後も学校に不審者が侵入して子どもの安全を脅かす事件や,通学路で子どもに危害が加えられる事件が後を絶ちません。

 このような状況を踏まえ,文部科学省では,学校安全と児童生徒の心の健康問題への対応(「心のケア」)の充実に総合的に取り組む「子ども安心プロジェクト」を実施するとともに,学校でより具体的な安全確保の取組を推進するため,「学校安全緊急アピール―子どもの安全を守るために―」を平成16年1月に公表するなど,学校の安全対策の充実に取り組んでいます。


(1) 学校における安全管理の推進

 学校では,事故の要因となる学校環境や児童生徒などが学校生活において行動する際の危険を早期に発見し,それらの危険を速やかに除去するなど,児童生徒などの安全確保のための体制を確立しておく必要があります。

 文部科学省では,附属池田小学校の事件を重く受け止め,「幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理に関する緊急対策例」について,平成13年7月に各都道府県教育委員会等に通知するとともに,緊急安全対策として実施する監視カメラや非常通報装置の設置等に係る経費についての特別交付税措置など必要な財政措置を行いました。また,都道府県教育委員会などからの意見も参考に,13年8月に「幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理についての点検項目(例)の改訂について」を各都道府県教育委員会などに通知しました。

 さらに,平成14年度から,安全で安心できる学校の確立を目指し,学校安全や心のケアの充実に総合的に取り組む「子ども安心プロジェクト」を実施しています。

 この一環として,ハード面の安全対策については,学校施設における防犯対策の方針や計画・設計上の留意点を「学校施設の防犯対策について」として取りまとめました(平成14年11月)。これを踏まえて,「学校施設整備指針」における防犯対策関係規定の充実を図るとともに(15年8月),その規定の解説となる手引書を作成しました(16年9月)。さらに学校施設における特色ある防犯対策の取組を紹介した事例集の作成に取り組んでいます。

 一方,ソフト面の安全対策については,教育委員会や学校において,不審者侵入などの事態が起きた場合の具体的な対応方法の参考となるよう,共通的な留意事項をまとめた「学校への不審者侵入時の危機管理マニュアル」を作成(平成14年12月)するとともに,学校における犯罪防止のための特色ある取組を紹介した「学校の安全管理に関する取組事例集」を作成しました(15年6月)。また,学校,家庭,地域社会が一体となった安全管理の取組を一層推進する観点から,推進地域において,家庭,警察署,消防署,PTA及び自治会等の関係機関・団体と連携して,地域社会全体で児童生徒等の安全を守るための実践的な取組を実施し,その成果を全国に普及することを目的とした「地域ぐるみの学校安全推進事業」(14年度〜)や,防犯や応急手当の訓練により,児童生徒や教職員の安全対応能力の向上を図る「防犯教室」の開催の支援に関する事業等を行っています。

 財政面の支援については,管理諸室や低学年教室等の再配置,門やフェンスの設置等の整備について国庫補助を行っているほか,公立学校の安全対策費について普通交付税措置を行っています。

 非常災害時の子どもの心のケアについては,平成10年3月に作成した教師用の参考資料「非常災害時における子どもの心のケアのために」について,自然災害のみならず,人為災害も含めた様々な災害に対応できるよう,15年8月に改訂を行いました。

 これらを踏まえ,全国の学校において子どもの安全確保に関する取組が行われていました。しかし,附属池田小学校の事件の後も,平成15年12月の京都府宇治市立宇治小学校の事件など学校に不審者が侵入して子どもの安全を脅かす事件や,通学路で子どもに危害が加えられる事件が後を絶たない状況です。このような状況を踏まえ,文部科学省では,より具体的な学校の安全確保の対策を推進するため,子どもの安全確保のための具体的な留意点や,学校,家庭,地域,関係機関の連携方策等についてまとめた「学校安全緊急アピール―子どもの安全を守るために―」を平成16年1月20日に公表しました。「学校安全緊急アピール」では,

{1}実効性の高い学校独自の危機管理マニュアルを策定し,防犯訓練等を通して,これを不断に検証し,随時改善を図っていくこと
{2}「安全・安心な学校づくり」のためには,学校,家庭,地域社会の連携・協力による地域ぐるみの取組が不可欠であること等を強調しています。

 今後も,文部科学省においては,児童生徒が安心して教育を受けることができるよう,学校安全に関する施策について組織的・継続的に対応していくこととしています。また,学校は,子どもたちの活動の場として,また,地域住民の様々な活動の拠点として,学校の有する教育機能や施設を開放することも期待されていますが,その前提として子どもたちの安全確保が図られることは絶対条件であり,学校における安全管理について徹底していく必要があります。


(2) 学校における安全教育の充実

 学校では,児童生徒等が,自他の生命を尊重し,日常生活全般における安全のために必要な事柄を実践的に理解し,生涯を通じて安全な生活を送ることができるような態度や能力を養うことが大切です。このため,各学校では,体育・保健体育科,道徳,特別活動などを中心に学校教育活動全体を通して,安全教育を行っています。

 文部科学省では,学校における安全教育の教師用の参考資料として「生きる力をはぐくむ学校での安全教育」を作成しました(平成13年11月)。このほかにも,学校における防災教育が効果的に行われるよう,防災教育の意義とねらいや,指導内容,指導の進め方などについて明らかにした教師用の参考資料「生きる力をはぐくむ防災教育の展開」(10年3月)や,交通安全に関する危険予測教材(14年3月)など,教師用の参考資料や安全教育に関する各種の教材を作成しています。また,各都道府県において安全教育について指導的な役割を果たしている教職員及び都道府県教育委員会等の指導主事を対象に,学校安全に係る各種の研修会を開催しています。


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