ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部   創造的活力に富んだ知識基盤社会を支える高等教育〜高等教育改革の新展開〜
第1章  子どもの心と体の健やかな発達のために
第2節 子どもの健康の保持・増進
2 新たな心と体の健康問題への対応


 近年,児童生徒の心の健康問題,青少年の薬物乱用の問題,各種の感染症の問題,いわゆる「シックハウス症候群」の問題,アレルギー疾患の問題などが児童生徒の健康をめぐる新たな問題として指摘されています。

 このような状況を踏まえ,学校は,地域・家庭との連携の下,児童生徒一人一人の健康問題に即した適切な保健管理を行い,豊かな心と健やかな体を育てることが求められています。


(1) 心の健康問題への対応

{1}教科における指導

 学校では,心身の調和のとれた発達を図るため,心の発達や心身の相関関係,自己形成などの内容について,従来から体育・保健体育科で指導しています。

 しかし,近年,不登校やいじめ,暴力,薬物乱用などの問題の深刻化,不安感やストレスの高じている状態などが見られることなど,児童生徒の今日的な課題に対応して,心の健康に関する指導を充実する必要性が指摘されています。そこで,現行の学習指導要領では,児童生徒の発達段階を踏まえ,不安や悩み・ストレスへの対処など,心の健康に関する指導内容を充実させました。

{2}健康相談活動の充実

 近年,学習面,友人関係,家庭などについて様々な悩みを抱えるとともに,これらを背景として,心因性の腹痛,不快感などといった種々の症状を訴える児童生徒が増加しています。また,災害や重大な事件・事故の後においては,児童生徒などの心のケアについて,養護教諭や学級担任,学校医,スクールカウンセラーなどの学校関係者等が協力しながら適切に対応を行う必要があります。

 養護教諭は,児童生徒の身体的不調の背景に目を向けることを通じて,子どもの発する様々なサインに気付くことができる立場にあり,養護教諭が行う健康相談活動はますます重要となってきています。このため,文部科学省では,養護教諭を対象とした各種研修会などを開催し,資質の向上に努めています。

 さらに,平成16年度からは,地域保健と連携した健康相談活動が円滑に運営できるよう各都道府県に連絡協議会を置き,医療機関と連携して学校へ専門医を派遣し,児童生徒の様々な健康問題に対応するための,モデル事業を実施しています。

 また,近年,自然災害だけでなく,様々な人為災害が続発しています。このため,平成9年度に作成した教師用の指導資料「非常災害時における子どもの心のケアのために」をPTSD(外傷後ストレス障害)など,児童生徒の心の健康問題に対応するよう15年8月に改訂しました。


(2) 薬物乱用防止教育等の充実

 青少年の薬物乱用の問題については,中・高校生の覚せい剤事犯検挙者数が200人を超えた平成8〜9年と比べて減少傾向にあるものの,依然として予断を許さない状況にあります。また,15年における中・高校生のシンナー等乱用事犯検挙者数も700人を超えています。政府は,内閣総理大臣を本部長とする薬物乱用対策推進本部を設置し,「薬物乱用防止五か年戦略」(10年5月)に引き続き,15年7月に「薬物乱用防止新五か年戦略」を策定し,政府全体として対策を講じることとしました。

 文部科学省では,すべての中学校と高等学校において,年1回は薬物乱用防止教室を開催し,地域社会が一体となってこの問題に取り組むことを目指して,都道府県教育委員会などに指導を行っています。また,児童生徒用教材の作成・配布や競技場などの大型ディスプレイを活用した広報啓発活動の推進,ホームページの開設(http://www.hokenkai.or.jp/3/3-1/3-1.html)などを行い,薬物乱用防止教育の充実に努めています。

 また,文部科学省が実施した喫煙に関する調査によると,児童生徒の多くが喫煙の健康への有害な影響について知っている一方で,喫煙への関心は少なくありません。飲酒に関しては,健康への有害な影響についての認識が年齢とともに低くなってきており,飲酒への関心も高まっています。このため,学校における喫煙・飲酒防止教育の一層の充実を図る必要があります。

 学校教育においては,未成年の段階から喫煙をしないという態度を育てることなどを目的として,児童生徒の喫煙防止教育教材の作成などの対策を推進しています。


(3) 性教育の充実

 学校における性教育は,人間尊重の精神を基盤として,児童生徒の発達段階に応じて性に関する科学的知識を理解させるとともに,自ら考え判断する能力を身に付け,これに基づいた望ましい行動が取れるようにすることを目標としています。性教育の推進に当たっては,{1}発達段階に即した内容であること,{2}教育的に価値のある内容であること,{3}家庭・地域の理解が得られる内容であることなどに留意する必要があります。

 現行の学習指導要領では,小学校の体育科第4学年から,保健領域で児童生徒の発育・発達などについての指導をすることとし,中学校の保健体育科で新たにエイズ・性感染症を取り上げることを明記するなど,指導内容を充実させました。

 さらに,文部科学省では,{1}小・中・高校生用エイズ教育教材の作成,{2}教職員などを対象としたシンポジウムなどの開催,{3}地域におけるエイズ教育・性教育推進のための実践研究などの施策を推進しています。


(4) 感染症対策の充実

 近年,学校における結核の集団感染,腸管出血性大腸菌O157による食中毒,インフルエンザ,風疹などの流行などが見られます。また,若い世代の性感染症が懸念されるとともに,SARS(重症急性呼吸器症候群)や高病原性鳥インフルエンザなどの新しい感染症も出現しており,緊急に対応することが必要となっています。そのため,文部科学省としても関係省庁と連携しながら,各都道府県教育委員会等に対し,最新の情報を提供したり,学校における対応の留意事項等をまとめる等の取組を行ってきました。

 また,文部科学省では,学校における結核対策のためのパンフレットを中学校1年生と高校1年生全員に配布するとともに,性感染症予防に関する教師用参考資料を高等学校教員に配布するなど,学校における感染症対策の充実を図っています。


(5) 学校環境衛生問題への対応

 近年,新築・改築後の住宅やビルにおいて,住宅の高気密化や化学物質を放散する建材・内装材を使用することなどにより,化学物質により,室内空気が汚染され,居住者などに種々の健康障害を引き起こすことが問題となっています(いわゆる「シックハウス症候群」)。

 文部科学省においては,学校における室内空気中化学物質に関する実態調査の結果なども踏まえ,平成14年2月に学校環境を衛生的に維持するためのガイドライン(指針)である「学校環境衛生の基準」の改訂を行い,ホルムアルデヒドなどの4物質(16年2月にスチレンなどの2物質を追加)の室内濃度について検査事項を盛り込み,一定の濃度を超えた場合には換気など適切な事後措置を講ずるよう指導しています。


(6) 学校におけるアレルギー対策について

 近年,アトピー性皮膚炎など児童生徒のアレルギー疾患の問題が指摘されており,学校における対応が重要となってきています。

 文部科学省では,これまで,(財)日本学校保健会等関係団体と協力して,教職員などの学校関係者が,アレルギー疾患について正しい知識を持って児童生徒に対応することができるよう,ぜん息に関する正しい知識と指導の要点をまとめた教職員向けのパンフレットを作成しました。また,アトピー性皮膚炎について正しい知識を持つことにより,適切に対応できるよう疾患の概要や必要な配慮事項などについてまとめた教職員向けのパンフレットを作成しました。

 さらに,平成16年度においては,今後の学校におけるアレルギー対策のための支援方策を検討し,その対策を図るため,専門家等からなる調査研究会を設置して児童生徒の各種アレルギー疾患の実態等について調査研究を行っています。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ