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第1部   創造的活力に富んだ知識基盤社会を支える高等教育〜高等教育改革の新展開〜
序章  「生きる力」と健やかな心と体
第2節  子どもの心と体の現状


 近年,社会の様々な分野で見られる急速な発展は,国民に恩恵をもたらす一方,人間関係の希薄化,精神的なストレスの増大や運動不足など,様々な問題を生み出してきています。こうした状況は,大人はもとより子どもの生活に様々な影響を与えています。

 地域においては,都市化の進行などによる連帯感の希薄化や地域の教育力の低下が指摘されています。また,これに伴って子どもたちの遊びの形態が変化し日常生活の中で体を動かす機会が減少するとともに,豊かな人間性の形成に欠かせない自然や社会とかかわる機会が減少するなど,子どもの心と体に及ぼす影響が指摘されています( 図表1 )。

図表◆1 体験活動と道徳性の発達の相関

 学校においては,朝礼中に倒れる子ども,机に突っ伏す子どもなど,必ずしも数値には表れないものの,明らかに以前とは異なる子どもの状況が見られます。また,不登校やいじめ,薬物乱用,感染症など,子どもの心と体にかかわる問題が指摘されています。

 家庭においても,核家族化や少子化の進行,父親の家庭での存在感の希薄化,子どもの生活習慣の育成に対する親の自覚不足など,家庭における教育力の低下が見られ,栄養摂取の偏りや睡眠時間の減少など,基本的な生活習慣が身に付いていない子どもが増えているといわれています。

 このような中,文部科学省が昭和39年から毎年実施している「体力・運動能力調査」によれば,親の世代に比べ,子どもの体格は向上しているものの,体力については逆に低下している傾向が見られます( 図表2 )。

図表◆2 体力の低下,体格の向上

 こうした子どもを取り巻く様々な問題は,今日の社会の急激な変化が子どもの心と体に少なからず影響を与えたものであると考えられます。これらの問題の克服のためには,国民一人一人が,子どものころからこうした心と体に関する問題の存在を意識し,生涯にわたって主体的に心と体の健やかな発達を図っていく実践力を培うことが不可欠です。

 また,心と体が健やかに発達していくためには,個人の肉体・精神が良好であるだけでなく,社会や環境が良好な状態,つまり,社会全体が楽しみや生きがいを持って生きていける明るく活力のあるものであることも必要です。そのため,こうした生活の質の向上を含めた社会づくりを一層進めていく必要があります。

 「人生80年時代」を迎え,人生をいかに充実したものとするかは国民共通の関心事です。そのために子どものころからいかに心と体をはぐくんでいくかという課題に対応する,新たな生き方,考え方の構築が求められているのです。


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