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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第10章  国際化・情報化への対応
第2節  文教・科学技術分野における情報化の積極的推進
3  学校教育の情報化



(1) 情報教育の充実

 学校教育において,高度情報通信ネットワーク社会に生きる子どもたちに必要な資質を養うなど,情報社会に適切に対応していくことは,国全体の重要な課題となっています。

 学校における情報教育の目的は,コンピュータやインターネットを使う技能の習得と併せて,あふれる情報の中から必要な情報を取捨選択し,自らの情報として主体的に発信できる能力(「情報活用能力」)を育成することです。また,コンピュータやインターネットなどの特性を生かすことにより,子どもたちの理解を助けるとともに,子どもたちの興味・関心を高め,「わかる授業」を実現することが可能になります。

このため,平成14年度から段階的に実施している学習指導要領では,

{1}小・中・高等学校の各学校段階を通じて,「総合的な学習の時間」や各教科などにおいてコンピュータやインターネットを積極的に活用する。
{2}中学校段階では,技術・家庭科の「情報とコンピュータ」を必修とする。また,発展的内容については,生徒の興味・関心に応じて選択的に履修できるようにする。
{3}高等学校段階では,新たに普通教科「情報」を設け,「情報A」,「情報B」,「情報C」の3科目のうちから1科目を選択必修とする。
{4}高等学校専門教科「情報」を新設する。
など,情報教育の一層の充実を図ったところです。
コンピュータ教室における授業の様子(神奈川県立川崎北高等学校)

普通教室における,コンピュータを利用した授業の様子(松戸市立中部小学校)

 さらに,こうした情報活用能力の育成を通じて,情報を発信する際に被害者や加害者にならないための知識や個人の責任など,ネットワーク上のモラルやルール,不適切な情報への対処法などについても理解の促進を図っています。


(2) 情報教育推進のための環境整備

 文部科学省では,公立学校における教育用コンピュータの整備について,平成17年度までに各学校のあらゆる授業においてコンピュータを活用できる環境の整備を目指して,12年度から17年度までの6年計画で,各小・中・高等学校などのコンピュータ教室に児童生徒1人当たり1台のコンピュータを配置するとともに,各普通教室に2台,特別教室などに学校ごとに6台のコンピュータを配置できるよう,コンピュータのレンタル・リース経費(ネットワーク対応やプロジェクタなどの周辺機器も含む)を地方交付税により措置しています。

 学校のインターネット接続については,平成17年度までに,おおむねすべての公立学校のインターネット接続回線について,光ファイバーやADSL(非対称デジタル加入者線)などの高速回線への切替えを推進することとしています。

 また,コンピュータ教室に加え,普通教室・特別教室など,学校内のどこであっても,インターネットに接続できるようにするため,校内ネットワーク(校内LAN)の整備を推進しています。このため,必要な経費を地方交付税により措置し,校内LANやITを活用した授業が自在にできる教室の整備に対しても国庫補助を行っています。


 さらに,校内ネットワークの標準的な仕様や効果的な活用方法,整備事例について解説した「校内ネットワーク活用ガイドブック」を文部科学省のホームページで公開しています(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/kounai/kounai.html)。

 加えて,「高度教育用ネットワーク利用環境整備事業」として,各地域に整備される高速回線を利用し,学校の高速インターネット利用環境や各学校の校内LANを結ぶ教育用イントラネット(教育用広域LAN)を構築するため,各地域センター(教育センターなど)にブロードバンド化に対応した情報機器などを設置し,学校における安全で快適なIT環境の整備を図ることとしています。


(3) 教員の指導力向上

 情報教育の充実のためには,教員の指導力向上は極めて重要な課題です。

 このため,「平成17年度までに,おおむねすべての教員がコンピュータを使って指導できるようにする」ことを目標に,14年度からは国,都道府県,各学校における体系的な研修の内容を「コンピュータの操作技能の習得」から「各教科などでのコンピュータ活用の実践」に重点化するなど,教員の指導力の充実に取り組んでいます。

 また,平成15年5月には,教員がITを使った授業実践例を気軽に見ることができるよう,各教科についてITを使った授業実践例を動画で見ることができるWebサイト「“IT授業”実践ナビ」(http://www.nicer.go.jp/itnavi)を公開し,ITを活用した授業づくりを支援しています。

 さらに,平成15年度から,同じ教科を教える教員が集まる教育研究団体などを活用し,教育情報の作成・共有化などを行うモデル事業の実施や,e-ラーニング 型の教員研修システムの開発にも取り組んでいます。



* e-ラーニング

 時間や場所に関係なく,ネットワークなどを介して,必要な知識や技術を習得するための手段・方法。


(4) 教育用コンテンツの充実・普及

 各学校のあらゆる授業においてコンピュータやインターネットを活用していくためには,質の高いコンテンツの充実が必要です。

 このため,文部科学省では,研究機関などが有する最先端の研究成果を素材にした科学技術・理科教育用コンテンツについての研究開発や,学校体育・スポーツ・健康教育用コンテンツの作成,伝統芸能や現代舞台芸術の公演などを記録した「文化デジタルライブラリー」の作成を行うとともに,国立科学博物館などが所蔵する学習資源のデジタル化による保管・活用促進などに取り組んでいます。また,平成14年度から,教育的ニーズ(需要)がありながら民間企業のみでは開発が進まない分野(専門教科など)に関する学校教育用コンテンツの開発に取り組んでいます。

 さらに,様々な教育用コンテンツを学校の授業で適切かつ効果的に使用できるよう,教育用コンテンツの活用事例の収集を行い,インターネット上での公開を通じて普及を図っています。このほか,平成12年度より,インターネット活用教育実践コンクールを実施し(http://www.netcon.gr.jp),学習活動においてインターネットを有効に活用している優れた実践事例を顕彰しています。


(5) 教育情報ナショナルセンターの整備

 国立教育政策研究所において,教育の情報化の支援を目的とした教育情報ナショナルセンター(NICER:http://www.nicer.go.jp)の整備を行っています( 図2-10-11 )。これは,インターネット上にある教育・学習に関する情報を体系的に整理・提供することを目的とした,我が国における教育・学習に関する情報の中核的Webサイトであり,平成13年8月に開設し,運用しています。15年7月にサイトを更新し,これまで学校教育中心に提供してきた情報に加え,高等教育・生涯学習分野の充実を図るとともに,より利用者(児童生徒,教員,社会人など)に分かりやすい情報の分類を行い,地図から視覚的に学習情報を検索できる機能を盛り込むなど,利便性の向上を図りました。15年11月現在,NICERでは約7万1,000件の教育用コンテンツやリンク情報などを提供しており,さらに毎年約2万件を目標に追加するなど,今後も,情報提供の充実,各種機能の整備を推進していきます。

図2-10-11 教育情報ナショナルセンター


(6) e-スクール2003の開催

 文部科学省では,情報技術の活用によって拓かれる,新しい学校教育の在り方について認識を高めるために,NHKやNTTグループと共催で,第15回全国生涯学習フェスティバル「まなびピア沖縄」において,「e-スクール2003」を開催しました(平成15年11月)。

具体的には,

○国内外を結ぶデジタル教室
○学校と地域のコラボレーション(共同事業)
○デジタル教材が広げる「学び」の形
の三つのプロジェクトの発表・展示を,ステージとブースを使って行いました。

 なお,当日の様子は,NHK教育テレビで全国放送しました。また,教育情報ナショナルセンターのホームページから,事業の趣旨・概要・当日の様子などを視聴できるようにしています(http://e-school.nicer.go.jp)。


(7) 高速回線を活用した教育方法に関する研究開発

 文部科学省では,総務省と連携しつつ,これらの取組とともに,全国約3,000校を光ファイバーやADSLなどの高速回線で接続して,動画コンテンツを活用した授業やテレビ会議を活用した共同学習など,高速回線を利用した教育方法や教育用ネットワークの在り方について,平成15年度まで研究開発を実施しています。


(8) 障害のある児童生徒への支援

 障害のある児童生徒については,情報活用能力を育成するとともに,障害を補完し,学習を支援する補助手段として,コンピュータなどの情報機器や情報通信ネットワークなどの活用を進めることが重要です。

 このため,文部科学省においては,情報に関する内容を必修とするなど教育内容の充実を図るとともに,教育用コンピュータや点字プリンタ,携帯情報端末など障害に対応した情報機器の整備などを積極的に推進しています。

 また,国立特殊教育総合研究所において,インターネットにより視覚障害教育に関する教材や情報の提供を行う視覚障害教育情報ネットワークを運営しています。さらに,同研究所では,「高度情報化社会における障害のある子どもの情報活用能力を育成する教育内容・方法に関する研究」など様々な研究を実施しています。


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