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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第10章  国際化・情報化への対応
第1節  国際交流・協力の充実に向けて
5  国際機関を通じた協力



(1) ユネスコ事業への参加・協力

 ユネスコ(国際連合教育科学文化機関,事務局長:松浦晃一郎氏)は,教育・科学・文化の分野における国際協力の促進を通じて平和に貢献することを目的とする国連専門機関です。平成15年9月末から開催された第32回ユネスコ総会では,米国が19年ぶりに再加盟し,我が国が策定に主導的な役割を果たした「無形文化遺産の保護に関する条約」や「ヒト遺伝情報の利用に関する国際宣言」などの重要な国際規範文書が採択されたほか,ユネスコの進める事業の集中化,効率化,分権化の方針が再確認されました。

 我が国では,ユネスコの目的を実現していくため,国・地方公共団体・民間がそれぞれ協力して,あるいは独自に活発な活動を行っています( 表2-10-7 )。特に,教育の分野においては,日本政府は,初等教育の普遍化,教育の場における男女格差の是正,識字率の改善などを目標とした「万人のための教育」の実現に向け,信託基金の拠出などを通じユネスコと連携して事業を実施しています。また,科学分野では,ユネスコは,最優先分野を「水資源及びそれと関係する生態系」に置き,国連が実施している「世界水アセスメント計画(WWAP)」の事務局を務めるとともに,平成15年3月に京都で行われた第3回世界水フォーラムにおいて,世界水発展報告書(WWDR)を発表しました。我が国は,国際水文学計画(IHP)をはじめとする持続可能な開発のための科学振興事業や,生命科学の倫理的側面に関する考察などのユネスコの諸活動に積極的に参加・協力しています。

表2-10-7 我が国が協力しているユネスコの主な事業


* アソシエート・エキスパート

 ユネスコ職員の指揮の下で職務に従事する,正規職員外の若手の行政官・研修者などの専門家。


(2) OECD(経済協力開発機構)教育事業への参加

 OECDは,先進30か国を加盟国として,様々な分野における政策調整・協力,意見交換などを行っています。教育分野に関しては,教育委員会と教育研究・革新センター(CERI)を設置し,加盟各国における教育改革の推進や施策の実践に寄与することを目的として,教育政策の比較分析や調査・研究などの事業活動を行っています。また,おおむね5年ごとに教育大臣会議を開催し,OECDの教育分野の事業活動に関する基本方針を策定しています。2002年(平成14年)からは,2001年(平成13年)4月に,「万人のための能力への投資」をテーマに開催された教育大臣会議で合意された方針に基づき,教育統計や指標の開発と政策分析,生徒の学習到達度調査(PISA),教員政策,情報通信技術(ICT)の教育政策,学習科学と脳研究,中等後教育の国際化などのプロジェクト を実施しており,文部科学省も参加・協力しています。

 このほか,文部科学省では,平成4年度から,OECD加盟国の教育政策上の重要課題について専門家による意見交換を行うことを目的とした「OECD/JAPANセミナー」を実施しており,15年12月には,「大学の将来像」をテーマに開催しました。


(3) APEC(アジア・太平洋経済協力)教育事業への協力

 APECは,アジア・太平洋の21か国・地域が参加する地域協力の枠組みです。貿易・投資の自由化・円滑化などの経済問題とともに,人材養成などの分野に積極的に取り組んでいます。

 教育分野については,人材養成ワーキング・グループの下に教育ネットワークを設置し,加盟国・地域の主導により,教育政策上の様々な課題に関する調査・研究活動,交流・協力プロジェクトを実施しています。現在,「アジア・太平洋大学間交流(UMAP)」,「技能・資格の相互承認」,「APEC・シスタースクール・ネットワーキング」などを実施しています。


(4) EU(欧州連合)との協力

 EUは,それまでのEC(欧州共同体)を発展させる形で1992年(平成4年)に創設され,現在,ヨーロッパの15か国が加盟しています。EUは,域内協力・統合を推進すると同時に,域外国との対話・協力も積極的に推進しています。教育の分野においても,日本・EU間の対話の継続とともに,学生・教職員交流,研究協力,インターネットを活用した学校間の交流など様々なプログラムの拡充・強化に取り組んでいます。


(5) 国連大学への協力

 国連大学は,東京に本部を置く国連機関で,人類の存続や発展,福祉に関する世界的規模の諸課題についての研究や研修,知識の普及を目的として,他の国際機関や世界各地の高等教育・研究機関とネットワークを形成し,国連のシンクタンク として,国際社会が直面する重要な課題に取り組んでいます。2003年(平成15年)は,「平和とガバナンス」,「環境と持続可能な開発」の2領域を中心に活動を行っています。また,国連大学は,世界各地に付属機関である研究・研修センターを持っており,その一つである「高等研究所」は我が国に設置されています。高等研究所では,我が国の大学や研究機関と協力して,研究活動や研修プログラムを展開しています。

 我が国は,国連大学本部施設の提供や大学基金への拠出などの支援を行うとともに,国連大学本部や高等研究所に対して事業費の拠出を行っています。


* シンクタンク

 様々な領域の専門家を集めて,社会開発や政策決定などの複合的な問題や未来の課題を研究する機関。


(6) WIPO(世界知的所有権機関)との協力

 WIPOは,知的所有権の国際的保護の促進などを目的として1970年(昭和45年)に設立された国連の専門機関です。WIPOは,国際条約の作成・管理を行うとともに,各国の法令整備の支援や国内法令の整備の奨励,開発途上国に対する法律・技術上の援助,情報の収集・提供などを行っています。

 我が国は,著作権分野において,1993年(平成5年)以来毎年信託基金を拠出しています。この拠出金は,WIPOの開発協力プログラムとして,アジア・太平洋地域における著作権保護のための諸活動(国際セミナーの開催,研修の実施,専門家の派遣など)に活用されています。


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