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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第9章  心豊かで元気のある社会を実現するための「文化力」の向上
第4節  文化財の保存と活用
2  国宝・重要文化財等の保存と活用



(1) 指定

 文化庁では,平成15年度に,美術工芸品について,幽玄華麗な歌風を大成した歌人藤原定家の心情が如実に分かり,かつ,平安時代・鎌倉時代の歌集の中で,作者自選の原本として現存する唯一の本である「拾遺愚草」(書跡・典籍)を国宝に指定するとともに,新たに46件の重要文化財を指定しました。

コラム9

文化財愛護シンボルマーク

 「文化財愛護シンボルマーク」は,文化財愛護運動を全国に展開するための旗印として,昭和41年5月に定められたものです。このシンボルマークは,広げた両方の手のひらのパターンによって,日本建築の重要な要素である(組み物)のイメージを表し,これを三つ重ねることにより,文化財という民族の遺産を,過去・現在・未来にわたり永遠に伝承していくという愛護精神を象徴したものです。


 このうち,「紙本墨画日新除魔図 葛飾北斎筆」(絵画)は,北斎が晩年に毎朝日課として描き続けた獅子の図を,北斎が88歳の時にまとめて知人に与えたものが,散逸を免れ,一括されたままで今日に伝えられたものです。御調八幡宮の「木造僧形八幡神坐像2躯外5点」(彫刻)は,平安時代前期の9世紀〜10世紀初めにかけての作品で,八幡神像の歴史的変遷や神像彫刻の造形的変遷を示す優れた作品です。「白地葵紋紫腰替辻が花染小袖」(工芸品)は,慶長4年(1599年)に徳川家康より贈られたとされる小袖で,袖の下端から胴の中央を紫に染め,辻が花染めの葵紋を8か所に置いた,ほかに類例のないものです。「塵芥集」(書跡・典籍)は,奥州伊達家14代稙宗が天文5年(1536年)4月14日に制定した171条からなる戦国家法で,濁点は,今日使われている二点符ではなく,当時の三点符を用いていることが注目されます。「平城宮跡大膳職推定地出土木簡」(古文書)は,木簡としては初めての指定であり,その一部に天平宝字6年(762年)の年号が記され,「続日本紀」や正倉院文書などの奈良時代の史料を裏付けるもので,古代の文献資料として欠かすことのできない重要な史料です。「青森県三内丸山遺跡出土品」(考古資料)は,縄文時代前期から後期初頭までの出土品で,特に低地部から出土した釣針等の骨角器や編物類は質量共に充実しています。「一号御料車」(歴史資料)は,明治10年2月5日の京都〜神戸間の鉄道開通式で,明治天皇が乗車した現存最古の御料車です。

三点符の例

 重要文化財に指定された建造物のうち,極めて優秀で,文化史的意義が特にあるものについては,国宝への指定を進めており,平成16年1月現在,知恩院三門,本堂(御影堂)(京都府京都市)など211件が国宝に指定されています。また,建造物の重要文化財への指定については,明治以降の近代のものについて重点的に進めており,16年1月現在,東京駅丸ノ内本屋(東京都千代田区),大阪市中央公会堂(大阪府大阪市)などの2,250件(国宝を含む)が重要文化財に指定されています。

木造僧形八幡神坐像

平城宮跡大膳職推定地出土木簡

一号御料車


(2) 管理・修復・防災

 文化財は,一度その価値が損なわれると回復することのできない,極めて貴重な国民全体の財産です。

 国指定有形文化財の管理・修理などは,所有者が行うのが原則ですが,所有者による管理が困難な場合などには,必要な管理・修理などが適切に行われるよう,文化庁長官が,地方公共団体などを管理団体として指定することができます。

 また,文化庁では,国指定有形文化財の美術工芸品,建造物は,それぞれ修理を必要とする周期などに応じて,所有者などへの国庫補助により計画的に修理を実施するとともに,保存・防災のための施設・設備の設置などの事業を行っています。

 さらに,文化財を火災などの災害から防ぐために,国や地方公共団体の協力の下で,文化財の所有者などが文化財の適切な管理に徹底して取り組むことが必要です。文化庁では,平成7年1月の阪神・淡路大震災における文化財の被害状況を踏まえ,文化財建造物の地震時における安全性の確保についての考え方を取りまとめ,具体的な耐震診断の指針と手引を策定しています。

 なお,重要文化財を国や地方公共団体などへ譲渡した場合は所得税が非課税とされるほか,重要文化財のうち建造物については相続税や固定資産税などの軽減も図られています。

国宝「知恩院本堂(御影堂)」(京都符)

重要文化財「東京駅丸ノ内本屋」(東京都)


(3) 活用

 文化庁では,美術工芸品について,重要文化財の鑑賞機会の拡大を図るため,展示や体験学習を行うのに適した文化財保存施設の整備を推進するとともに,博物館などの施設が開催する展覧会について一部の経費を負担しています。

 また,建造物については,活用しながら保存することが重要であることから,文化庁では,平成8年12月に重要文化財(建造物)の活用に対する基本的な考え方を,11年3月に所有者が文化財の保存活用計画を策定するための指針を取りまとめ,普及を図っています。


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