ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第8章  スポーツの振興と青少年の健全育成に向けて
第6節  健康教育の充実
2  食に関する指導の充実



(1) 食に関する指導の充実

 近年,食生活を取り巻く社会環境などが大きく変化し,食行動の多様化が進む中で,朝食欠食,孤食,偏った栄養摂取,肥満傾向の増加などが見られ,増大しつつある生活習慣病と食生活の関係も指摘されるなど,食に起因する新たな健康問題が引き起こされています。このようなことから,児童生徒が単に食に関する知識を身に付けるだけではなく,知識を望ましい食習慣の形成に結び付けられるような実践的な態度を育成するため,学校における食に関する指導の充実が必要とされています。

 学校における食に関する指導は,健康教育の一環として学校教育全体の中で広く行われるものであり,校長のリーダーシップの下ですべての教職員が一体となり,また,学校,家庭,地域が連携して取組を進めることが重要です。その中で,学校栄養職員は食の専門家としてその専門性を生かし,担当教諭とチームを組んで,あるいは特別非常勤講師として食に関する指導を行うなど,創意工夫を加え,効果的な指導を行うことが求められています。

コラム7

食に関する指導の充実のための取組体制の整備について

 平成14年6月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」において,健康寿命の増進の観点から「関係府省は,健康に対する食の重要性に鑑み,いわゆる『食育』を充実する」と盛り込まれており,15年6月の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」においても,「食育」を人間力を養う柱として位置付け,「食の安全・安心確保の基礎となる『食育』を関係行政機関等の連携の下,全国的に展開する」とされるなど,食育は政府全体で取り組むべき課題となっています。

 文部科学省としても,学校栄養職員に対する研修会や食に関する指導シンポジウムを毎年実施しているほか,児童生徒が自己の食生活を見直し,望ましい食習慣を形成できるよう,平成13年度から全国の小学校5年生と中学校1年生に対して食生活学習教材を配布しています。15年度はこれに加えて,新たに小学校1年生用学習教材も作成・配布する予定であるなど,様々な取組を通じて食に関する指導の充実を図っています。

 このような食に関する指導の重要性については,中央教育審議会答申などにおいても指摘されてきたところであり,学校における食に関する指導体制を整備するとの観点から,「栄養教諭(仮称)」制度の創設など学校栄養職員に関する新たな制度の創設を検討する必要がある旨提言されました。平成15年2月には「食に関する指導の充実のための取組体制の整備について」の調査研究協力者会議の第二次報告において,同制度の検討の方向性が示されたところです。

 これらを踏まえ,中央教育審議会スポーツ・青少年分科会の下に食に関する指導体制部会を設置し,食に関する指導体制の整備について,具体的かつ専門的な審議が進められ,16年1月に答申が取りまとめられました。

■栄養教諭制度の概要
{1}職務――食に関する指導と学校給食の管理を一体的に行う。また,食に関する指導について,他の教職員や保護者との連絡・調整を図る。
{2}資質――栄養教諭免許状を創設し,管理栄養士免許を取得するために必要な程度の栄養に関する専門性と教育方法や児童生徒の心理など教育に関する専門性を担保する。
{3}配置――地方分権の趣旨にかんがみ,地方公共団体や設置者の判断にゆだねる。
{4}身分――公立学校の栄養教諭は,教育公務員特例法の適用を受ける。

(2) 学校給食の充実

{1}学校給食の現状

 学校給食は,栄養のバランスの取れた食事を提供することにより,正しい食習慣の形成に寄与しています。また,教職員と児童生徒のコミュニケーションや児童生徒間の好ましい人間関係の育成の場として,児童生徒の心身の健全な発達を図る上で大きな教育的意義を有しています。平成13年5月現在で,全国で約1,068万人の児童生徒などが学校給食を受けています (表2-8-6)

{2}食事内容・環境の改善

 各学校では,近年,学校給食の多様化が図られており,例えば,地元や姉妹都市の郷土料理を給食の献立に活用したりする取組が進められています。また,学校食堂の整備など,食事環境の改善も図られています。

 米飯給食についても,児童生徒が,日本人の伝統的食生活の根幹である米飯の正しい食習慣を身に付けることができるなどの教育的意義から普及・定着が図られており(平成14年度週平均2.9回),食事内容の多様化にも寄与しています。また,文部科学省では,厚生労働省の「日本人の栄養所要量―食事摂取基準―」の趣旨を斟酌しつつ,近年の家庭における食習慣の変化などを踏まえ,15年5月に児童生徒などの1人1日当たりの平均栄養所要量の基準の改定を行い,学校給食における食事内容の充実などを図っています。

{3}衛生管理体制の充実

 平成9年以降,学校給食を原因とする腸管出血性大腸菌O157による食中毒は発生していませんが,依然として食中毒の発生は続いており,衛生管理の徹底が求められています。

 文部科学省では,施設設備や調理過程などの指導を行うとともに,床を乾いた状態で使用して高湿度による雑菌などの発生を抑制する調理システムであるドライシステムの導入など,施設面の改善充実を図っています。また,平成15年3月には,最近の学校給食を取り巻く状況などを踏まえ,食品の適切な温度管理や学校給食従事者の健康管理の徹底が図られるよう「学校給食衛生管理の基準」の改訂を行い,学校給食における衛生管理の一層の改善充実を図っています。さらに,学校栄養職員に対する研修,研究地域の指定などにより,衛生管理の徹底に努めています。

表2-8-6 学校給食実施率(児童生徒等数比)


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ