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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第8章  スポーツの振興と青少年の健全育成に向けて
第5節  我が国の国際競技力の向上
1  トップレベル競技者の育成・支援



(1) 国立スポーツ科学センターの活用

 平成13年10月に開所した国立スポーツ科学センター(Japan Institute of Sports Sciences:JISS)は,我が国のトップレベル競技者の強化,優れた素質を有するジュニア競技者の発掘,一貫指導システムによるトップレベル競技者の育成など,我が国の国際競技力の向上に向けた組織的・計画的な取組をスポーツ医・科学・情報の側面から支援し,我が国の国際競技力の向上に資することを目的とする機関です。

 JISSは,この目的の実現に向けて,オリンピック競技大会をはじめとする国際競技大会における我が国のメダル獲得率の増加に寄与できるような,科学的トレーニング方法の開発やスポーツ障害などに対する医学的なサポート,スポーツに関する各種情報の収集・分析・蓄積・提供などを一体的に行っています。

国立スポーツ科学センター


(2) トレーニング拠点の整備

 トップレベル競技者の育成・強化に当たっては,集中的・継続的にトレーニングを行う拠点の整備が不可欠です。アメリカ,フランス,ドイツなどの欧米諸国においては,既にナショナルトレーニングセンターが整備されており,各国の競技力の向上に大きく貢献しています。こうした状況を踏まえると,我が国のトップレベル競技者などの育成・強化に当たっても,ナショナルレベルの本格的なトレーニング拠点を早期に整備することが求められています。

 文部科学省では,外部有識者によるナショナルトレーニングセンターの設置等の在り方に関する調査研究協力者会議を設置し,平成15年4月に中間まとめを取りまとめました。この中間まとめでは,国立スポーツ科学センターを拡充して中核拠点とし,冬季種目などのように中核拠点と異なる環境が必要な競技種目のトレーニング拠点については,原則として既存のトレーニング施設を活用し,中核拠点との連携を図ることによりネットワークの構築を図ることが必要との提言がなされています。


(3) 選手強化活動の充実

 

 我が国の国際競技力の向上を図るためには,選手強化活動をより充実させることが重要です。文部科学省では,ナショナルチームが国内外で実施する強化合宿をはじめ,各種の国際競技大会への派遣などの選手強化活動に対する補助を行っています。平成15年度からは「ニッポン復活プロジェクト」と称して,これらの事業に関する予算を拡充するとともに,メダル獲得が期待される競技について重点的な選手強化を図る「重点競技強化事業」などの事業を新たに実施することにより,更なる選手強化活動の充実に努めています。


(4) 指導者の養成・確保

 トップレベル競技者の育成・強化を行うためには,優れた素質を有する競技者の指導を担うことができる高度な専門的能力を有する指導者の養成・確保が重要です。このため,文部科学省では,スポーツ団体が実施しているスポーツ指導者養成事業や競技ごとに配置するトップレベル競技者などの指導者の専任化を推進しています。また,コーチ,スポーツ医・科学研究者などが研究協議や情報交換を行うため「スポーツコーチサミット」を開催し,関係者の相互理解を深め,連携に基づいた強化指導体制の確立を目指しています。


(5) 一貫指導システムの構築

 我が国の競技者の育成・強化は,主に学校や企業を中心に,それぞれの指導者の指導方法により,チームの勝利を目指した指導が行われており,その中で優れた成果を収めた競技者をオリンピックをはじめとする国際競技大会などへの出場に向けて強化するという方法が主体となっています。

 しかし,この方法では,指導理念や指導内容が各学校段階や企業ごとに異なる上,必ずしも競技者の能力を将来に向けて適切に伸ばすための指導が行われておらず,最も重要なジュニア期における指導が各学校段階を通じて継続的に行われにくい状況にあります。このため,指導者や活動拠点などにかかわらず,一貫した指導理念に基づき,個人の特性や発達段階に応じた最適の指導を受けることにより,優れた素質を有する競技者が,世界で活躍できるトップレベル競技者へと組織的・計画的に育成されるシステム(一貫指導システム)を競技ごとに構築する必要があります。

 文部科学省では,トップレベル競技者を育成するための指導理念や指導内容を示した競技者育成プログラムを作成するためのモデル事業を(財)日本オリンピック委員会に委嘱し,現在,18競技22種目について「競技者育成プログラム」が作成されています。今後はモデル事業を参考に,各競技団体ごとの「競技者育成プログラム」を作成し,プログラムに基づいた競技者の育成・強化を行う体制を整備することとしています。

コラム6

日本選手の目覚ましい活躍と国立スポーツ科学センター

 平成15年に開催された世界選手権大会において,水泳の北島康介選手が100mと200m平泳ぎの2種目で金メダル(共に世界新),体操の鹿島丈博選手があん馬と鉄棒の2種目で金メダル,陸上の末續慎吾選手が200m短距離種目で初の銅メダルを獲得,柔道女子の田村亮子選手が大会6連覇,阿武教子選手が4連覇,男子では井上康生選手が3連覇,女子レスリングでは5階級で金メダルを獲得するなど,日本人選手の目覚ましい活躍が見られました。

世界体操選手権大会(鹿島丈博選手)

 国立スポーツ科学センターでは,トップレベル競技者の競技力向上のため,充実した器具を設置しての練習環境の整備や,レースにおける戦略を立案するための世界の有力選手のレース分析,科学的筋力分析に基づくトレーニングプログラムの作成,高度なメディカルチェック などの医・科学を駆使したサポートを行っています。

 同センターは平成13年に開所したばかりですが,その効果が早速現れており,我が国の国際競技力の向上のために,今後の活動の充実が期待されています。


* メディカルチェック

医学的診断と検査のこと。


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