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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第7章  科学技術システムの改革
第3節  優れた研究者・技術者の養成・確保
1  国際競争力向上のための研究者等の養成・確保


 「知」の創造により,世界に貢献し,科学技術創造立国を目指す我が国にとって,その担い手となる研究にかかわる人材を養成・確保していくことは極めて重要です。

 科学技術・学術審議会人材委員会においては,研究者などの養成・確保に関する諸問題について検討を進めてきており,平成15年6月には,「国際競争力向上のための研究人材の養成・確保を目指して(第2次提言)」が取りまとめられました。

 文部科学省では,こうした提言を踏まえ,平成15年8月には,「科学技術関係人材養成総合プラン2003」を策定し,科学技術創造立国の実現を担う人材の養成・確保に向けて,関係施策を有機的・総合的に推進しています。


(1) 多様な研究者等が能力を発揮できる環境の整備

 少子高齢化が進行する中で,優れた研究者を確保していくためには,これまで必ずしも十分な活躍機会が与えられていなかった若手研究者,女性研究者など多様な人材が能力を発揮できる環境を整備していくことが重要です。

{1}ポストドクター等に対する支援

 ポストドクター などの時期は,様々な指導者の下で経験を積む,自らに最も適した研究環境を探す,研究の幅を広げたり新たな分野にチャレンジするなど,主体性や創造性の涵養といった観点から,研究者を養成する上で重要な時期です。

 第2期科学技術基本計画では,「若手研究者の自立性向上に向けて,今後は,研究指導者が明確な責任を負うことができるよう研究費でポストドクターを確保する機会の拡充や,優秀な博士課程学生への支援充実等を図り,ポストドクトラル制度等の質的充実を図る」とされています。

 文部科学省では,平成15年度より,多様な研究環境を選択させることにより創造性豊かで広い視野を涵養するため,ポストドクターなどの若手研究者が主体的に研究に専念できるよう支援する日本学術振興会の特別研究員事業において,原則として出身研究室と異なる場所で活動する研究者を支援対象とすることとしています。また,研究者養成にふさわしい環境などに着目して,「21世紀COEプログラム」に選定された拠点(大学院)で主体的に研究に専念する,優秀な博士課程学生を支援する取組を開始するなど,本事業の質的な面での充実に努めています(参照: 第1部第2章第4節 )。

 このほか,理化学研究所においては,独創性に富むポストドクターなどの若手研究者に対し,同研究所において自発的かつ主体的に研究できる場を提供する基礎科学特別研究員制度を導入するなど,ポストドクターなどの自立性の向上に向けた多様な支援制度を推進しています。

{2}競争的資金等による若手研究者への支援

 世界的に優れた研究成果を挙げた研究者の多くは,30歳代に,その後の研究の基礎となる研究を行っています。文部科学省では,柔軟な発想とチャレンジ精神を持った若手研究者が自立して研究できる体制を整備するため,科学研究費補助金において,若手研究者を対象とした研究費として約233億円を計上するなど,若手研究者を対象とした競争的資金の拡充に努めています。

 また,競争的資金による研究や,国公私立大学や大学共同利用機関が行う研究プロジェクトにおいて,研究の遂行上必要となる研究支援者としてポストドクターや大学院学生などを参画させるなど,次代を担う若手研究者の資質向上に向けた取組を推進しています。

{3}国際的な視野を持つ研究者の養成・確保

 第2期科学技術基本計画や平成15年1月に科学技術・学術審議会国際化推進委員会が取りまとめた「科学技術・学術活動の国際化推進方策について(報告)」において指摘されているように,国際的な視野を持つ研究者の養成・確保に向けて,若い時期から,海外の優れた研究機関で活躍できる機会を拡大し,海外の一流の研究者と切磋琢磨できる交流機会を拡大することが重要です。

 文部科学省では,ポストドクターレベルの若手研究者を海外の優れた大学などの研究機関に派遣して長期間研究に専念させる海外特別研究員事業(日本学術振興会)や,若手研究者を対象としたサマースクール形式の多国間セミナー(アジア学術セミナー,アジア・太平洋地域先端科学セミナー:日本学術振興会)などを実施するなど,国際的な視野を持った研究者の養成に努めています。

{4}女性研究者の参画促進と能力発揮

 研究分野における男女共同参画の促進に向けて,「女性の多様なキャリアを支援するための懇談会」が平成15年3月にまとめた「『多様なキャリアが社会を変える』第1次報告(女性研究者への支援)」などにおける提言も踏まえ,科学技術・学術審議会人材委員会第2次提言が取りまとめられており,女性研究者が働きやすい環境整備に向けた取組の必要性が指摘されています(参照: 第2部第1章第8節 )。

 このような中で,文部科学省では,平成15年度より,科学研究費補助金において,育児休業に伴い研究を中断する女性研究者を支援するため,1年間の中断の後に研究の再開を可能とする研究費の弾力的運用を図っています。また,日本学術振興会の特別研究員事業や海外特別研究員事業においても,女性研究者が研究を継続できる環境の実現に向けて,15年7月より,若手研究者本人の希望に基づき,出産や育児を理由とした採用の中断・延長を可能とする運用を開始したところです。


* ポストドクター

 主に博士課程修了後,研究者としての能力を更に向上させるため,引き続き大学などの研究機関で,研究業務に従事する者。


(2) 任期制の広範な普及等による研究者の流動性向上

 創造性豊かで広い視野を有する研究者を養成し,競争的で活力ある研究開発環境を実現するためには,研究者の流動性の向上を図り,研究者が様々な研究の場を経験することが重要です。

{1}任期制や公募の普及促進

 任期制の広範な普及などについては,第2期科学技術基本計画において,「国立試験研究機関,独立行政法人研究機関,国立大学等の国の研究機関等は,30歳代半ば程度までの若手研究者については広く任期を付して雇用するように努めるとともに,研究を行う職については原則公募とし,広く資質・能力のある研究者に公平な雇用機会を提供する」とされています。

 このような中で,国立試験研究機関や独立行政法人研究機関において「一般職の任期付研究員の採用,給与及び勤務時間の特例に関する法律」に基づいて任期付研究員を採用したり,大学や大学共同利用機関などにおいて「大学の教員等の任期に関する法律」に基づいて任期制を導入しています( 表2-7-2 表2-7-3 )。

表2-7-2 「一般職の任期付研究員の採用,給与及び勤務時間の特例に関する法律」にもとづく採用状況

表2-7-3 「大学の教員等の任期に関する法律」に基づく任期制の導入状況

 また,同基本計画においては,「国の研究機関等は,任期制及び公募の適用方針を明示した計画を作成するよう努める」とされており,物質・材料研究機構,放射線医学総合研究所,防災科学技術研究所の各法人においては,既に任期制や公募の適用方針を明示した計画を作成するなど,任期制や公募の実施に向けた組織的・計画的な取組が推進されています。

 文部科学省では,平成14年2月に「研究者の流動性向上に関する基本的指針」(13年12月総合科学技術会議決定)を関係機関に通知しており,今後,関係機関において計画の作成が進み,任期制や公募が普及することが期待されます。

{2}国際的な流動化の促進

 我が国の研究環境の国際化を推進し,優れた外国人研究者が我が国において活発に研究活動ができるようにするという第2期科学技術基本計画の方針に基づき,諸外国の若手研究者を我が国の大学などの研究機関に招聘し,共同研究に従事させる外国人特別研究員事業(日本学術振興会)などにより,我が国の研究環境における国際的な多様性を高めるとともに,各種の学術国際交流事業を通じて,研究者が国際的な活動をより行いやすいよう努めています。


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