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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章  研究開発の戦略的重点化
第6節  地震・防災等の重要分野の研究開発の推進
1  地震・防災分野



(1) 防災科学技術

 我が国は,これまで数多くの自然災害を経験し,これに対し各種の防災対策を講じてきました。災害から人命・財産を守り,被害を軽減していくためには,災害の未然防止,災害が発生した場合における被害の拡大防止,災害からの復旧・復興という一連の過程において,科学技術上の知見を十分活用することが重要です。このため,科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会防災分野の研究開発に関する委員会では,防災科学技術の今後10年程度を見通した上で,当面5年程度に,文部科学省において進めるべき重要研究開発課題などを示した「防災に関する研究開発の推進方策について」を平成15年3月に取りまとめ,これに沿って研究開発が進められています。

 文部科学省では,首都圏などの大都市圏において阪神大震災級の大地震が発生した際の人的・物的被害の軽減化を目指す「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」や地震情報を主要動(S波)の到達前に自治体などに伝達し,自動的に緊急防災措置を講ずることを目指す「高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト」,科学技術振興調整費を活用した「構造物の破壊過程解明に基づく生活基盤の地震防災向上に関する研究」,防災科学技術研究所における世界最大の震動台である「実大三次元震動破壊実験施設(E−ディフェンス)の整備」など,地震防災対策,火山災害対策,雪氷災害対策,気象・水象災害対策,地球科学技術など多岐にわたる研究などを実施しています。


(2) 地震調査研究

 平成7年に発生した阪神・淡路大震災を契機に,全国にわたる総合的な地震防災対策を推進するため,「地震防災対策特別措置法」が制定され,行政施策に直結すべき地震に関する調査研究の責任体制を明らかにし,これを政府として一元的に推進するため,同法に基づき地震調査研究推進本部(本部長:文部科学大臣)が設置されました( 図2-6-10 )。同推進本部の下には,関係省庁の職員や学識経験者から構成される政策委員会と地震調査委員会が設置されており,11年4月に決定された「地震調査研究の推進について―地震に関する観測,測量,調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策―」に基づき,関係省庁が密接な連携・協力を行いつつ,地震調査研究を推進しています。

図2-6-10 地震調査研究推進本部の構成

 政策委員会では,関係行政機関の地震調査研究に関係する予算などの事務の調整を実施しています。平成15年8月には,「平成16年度の地震調査研究関係予算概算要求について」を本部決定し,内閣総理大臣をはじめとする関係各大臣に対し,同決定を尊重し,政府予算に反映するよう要請しました。また,同委員会の下に設置されている調査観測計画部会では,15年6月に「東南海・南海地震を対象とした調査観測の強化に関する計画(第一次報告)」を取りまとめました。さらに,成果を社会に活かす部会において,地震調査研究の成果を社会に活かしていくための検討を進め,15年8月に「成果を社会に活かす部会の検討状況報告―地震動予測地図を社会に活かしていくために―」を同委員会に報告しました。

 地震調査委員会では,毎月定例の会合や顕著な被害地震が発生した場合などに臨時に開催する会合において,地震活動について総合的な評価を取りまとめ,防災活動に役立つよう,これを即日公表しています。特に,平成15年5月に発生した宮城県沖の地震や15年7月に発生した宮城県北部の地震について臨時に会合を開催し,評価を取りまとめました。また,同委員会では,地震発生可能性に関する長期評価を順次行っており,15年9月までに,全国の主要98断層帯のうち41断層帯について評価結果を公表するとともに,海溝型地震のうち南海トラフ の地震(東南海・南海地震)や三陸沖から房総沖にかけての地震(宮城県沖地震を含む)などについての評価結果を公表しました。さらに,地震発生可能性が高いとされた一部の活断層や海溝型地震については,強震動評価を順次行っています。

 上記の結果を踏まえ,同委員会では,平成16年度末までを目途に,全国を概観した「地震動予測地図」の作成を進めています。その第一歩として,14年5月には,山梨県を中心とした地域に限定した地図の試作版を,15年3月には北日本地域に限定した地図の試作版を公表しました。

 文部科学省では,地震調査研究推進本部の方針に基づき活断層などの調査を推進するとともに,地震発生可能性が高い地域においてパイロット的(先行的)な重点的調査観測を行っています。また,大都市大震災軽減化特別プロジェクトの一環として,大都市圏における地殻構造の調査研究を実施しているほか,東南海・南海地震の予測精度の向上のための観測研究を実施しています。


* トラフ

 深海底の細長い溝状の地形であるが,海溝に比べ浅く,幅が広い。その形から,舟状海盆と呼ばれる。


(3) 地震予知・火山噴火予知研究

 我が国の地震・火山噴火予知研究は,測地学審議会の建議(平成11〜15年度)に基づき,大学や防災科学技術研究所,気象庁など関係機関が連携し,それぞれの機能と特色を生かしながら,総合的・計画的に進めています。

 地震予知研究では,地震発生に至る地殻活動の過程と,その過程に伴って現れる地殻現象の発生メカニズムを解明するための総合的な観測研究,常時観測網からのデータに基づいて地殻活動を定量的に予測するためのシミュレーション手法の開発,地殻現象を高精度に検出する観測技術の開発などを実施しています。

 また,火山噴火予知研究では,火山の活動度や防災の観点から常時監視機能を高め,関係機関の連携を強化することにより,噴火予知を一層高度化するとともに,火山観測研究を強化し,噴火予知高度化のための基礎研究を実施しています。さらに,三宅島噴火や富士山の活動を評価するために,関係大学などにより観測研究を実施しています。

 なお,現在進められている建議が平成15年度をもって終了することから,測地学審議会の役割を引き継いだ科学技術・学術審議会では,14年3月に現在の建議の点検・評価を,14年10月に外部の有識者による外部評価を実施しました。その結果を踏まえ,今後5年間(16〜20年度)の推進計画として「地震予知のための新たな観測研究計画(第2次)の推進について」と「第7次火山噴火予知計画の推進について」を,15年7月の総会で審議決定し,文部科学大臣をはじめとする関係大臣に建議しました。


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