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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章  研究開発の戦略的重点化
第4節  原子力の研究開発の推進
7  核不拡散への取組と原子力国際協力



(1) 核不拡散への取組

 原子力平和利用の円滑な実施のためには,核不拡散体制の維持が極めて重要です。文部科学省では,「核兵器の不拡散に関する条約(NPT *1 )」や,それに基づく国際原子力機関(IAEA)との「保障措置協定」,「核物質の防護に関する条約」,二国間原子力協力協定などの枠組みの下で,核物質の平和利用を担保するための取組を行っています。

 また,更なる核不拡散体制の確立のため,「包括核実験禁止条約(CTBT)」などに関連した取組も行っています。

{1}保障措置の実施

(ア)保障措置制度

 我が国は,保障措置協定に基づき,すべての核物質について,IAEAの保障措置を受け入れています。また,国自らも,国内の原子力活動が平和利用に限って行われていることを確認し,IAEAに必要な情報を提供するための国内制度を運用しています。

 具体的には,「原子炉等規制法」に基づき,核物質の計量管理を行うとともに,核物質の在庫・移動などについての報告を事業者に義務付け,これらの報告内容を確認するため,IAEAと国による査察を実施しています。IAEAは,2002年(平成14年)の我が国に対する保障措置活動の結果においても,保障措置下の核物質の転用を示すいかなる兆候もなく,引き続き平和的な原子力活動に使用されていたことを結論付けています。

(イ)IAEA保障措置の強化・効率化に関する取組

 我が国は,IAEA保障措置の強化・効率化に積極的に貢献しており,平成11年には保障措置協定の「追加議定書」 *2 を締結しました。これに基づき,核燃料サイクル関連研究開発,原子力関連資機材の製造・組立情報などを毎年IAEAに提出するとともに,未申告の核物質・原子力活動がないことの確認などのため,IAEAと国の査察官が直前の通告により原子力施設などに立ち入る「補完的アクセス」を実施しています。

 また,我が国は,保障措置効率化のための新たな段階である「統合保障措置」について,平成16年からの移行に向けた準備をIAEAと協力して進めています。

(ウ)六ヶ所再処理施設に対する保障措置体制の整備

 文部科学省では,日本原燃(株)六ヶ所再処理施設の商業運転に向けて,効果的・効率的な保障措置を実施するため,保障措置手法の確立や六ヶ所保障措置分析所(オンサイトラボ),六ヶ所保障措置センターの設置などの体制整備を行っています。

{2}核物質防護措置の実施

 核物質防護とは,核物質の盗取などによる不法な移転や原子力施設などの妨害破壊行為を未然に防ぐことであり,原子力の平和利用を進めていく上で必要不可欠な措置です。 我が国においても,核物質防護条約や具体的な防護水準などを定めたIAEAの勧告を踏まえ,原子炉等規制法などに基づいて所要の施策を実施しています。

 原子炉等規制法においては,事業所で核物質防護の対象となる特定核燃料物質を取り扱う場合に,施錠等の核物質防護措置,核物質防護管理者の選任などを義務付けているほか,特定核燃料物質の運搬の際には,容器の施錠及び封印,運搬に係る責任の移転等に関して文部科学大臣の確認を受けることを義務付けています。

{3}包括的核実験禁止条約(CTBT)

 CTBTはすべての核爆発の禁止などを規定する条約であり,1996年(平成8年)9月10日に,国連総会の場において圧倒的多数の賛成により採択され,我が国は,1997年(平成9年)7月に早期批准を行いました。文部科学省は,条約を担保するための原子炉等規正法の施行を担当しているほか,日本原子力研究所において,核爆発の実施を国際的に監視するための施設の整備などに取り組んでいます。


*1 核兵器の不拡散に関する条約(NPT)

 「核兵器国」について1967年1月1日前に核を保有していた米・ロシア・英・仏・中の5か国に限定し,それ以外の国(非核兵器国)への核兵器の拡散を防止するとともに,核兵器国に核軍縮交渉を義務付けることを目的としている。非核兵器国に対して核兵器の受領・製造・取得などを禁じ,IAEAの保障措置の受入れを義務付ける一方で,すべての締約国に対して原子力の平和利用の権利を保障し,また,核兵器国には核軍縮のための交渉を推進することを義務付けている。


*2 保障措置協定の「追加議定書」

 イラクや北朝鮮の核疑惑を契機に開始されたIAEA保障措置強化の検討の結果導入されたもので,そのモデルとなる議定書が1997年に採択された。2003年末現在,79か国がIAEAとの追加議定書に署名し,38か国(日本を含む)で発効している。


(2) 原子力国際協力

 原子力の平和利用や高水準の原子力安全を確保するためには,国際的な取組を推進していくことが重要です。

 文部科学省においては,各国との間で,研究開発協力,原子力開発利用への協力,原子力安全や非核化分野の協力などを積極的に行っています。

{1}二国間原子力協力協定に基づく協力

 我が国は,原子力の平和利用協力を推進することを主な目的として,米国,英国,仏国,カナダ,オーストラリア,中国の6か国との間で包括的な二国間原子力協力協定を締結しています。

 また,諸外国の経験・知見を我が国の安全規制に反映させることを主な目的として,米国,仏国,ドイツ,スウェーデン,韓国,英国,中国,イタリアの8か国の規制機関との間で規制情報の交換などを行っています。

{2}欧米諸国やロシア,中・東欧諸国等との協力

 我が国は,欧米諸国などとの間では,次世代の原子力技術の開発に関する協力を行っており,アルゼンチン,ブラジル,カナダ,仏国,日本,韓国,南アフリカ,スイス,英国,米国の10か国と欧州原子力共同体(ユーラトム)が加盟する,第4世代原子力システムに関する国際フォーラム (GIF)に参画しています。

 ロシア,中・東欧諸国との間では,原子力関係者との交流等の二国間協力を実施しています。また,ロシアの余剰兵器プルトニウム処分に関する国際貢献として,我が国のMOX燃料使用実績を生かしつつ,核燃料サイクル開発機構が研究協力を実施しています。

{3}アジア諸国との協力

 我が国は,アジア諸国との間では,「アジア原子力協力フォーラム(FNCA)」の下で,研究炉,放射線の医学利用や農業利用などについての協力活動を進めており,文部科学省は,分野別協力において,ワークショップ(研究集会)を主催するなどの活動を実施しています。

 また,アジア太平洋地域のIAEA加盟国による「原子力科学技術に関する研究・開発及び訓練のための地域協力協定(RCA)」の下で,医療,工業,放射線防護などの分野で,群馬大学,放射線医学総合研究所,日本原子力研究所などからの専門家の派遣などの協力を行っています。

{4}国際機関を通じた協力

 文部科学省では,原子力平和利用における協力として,IAEA,経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)などの国際機関を通じた協力を実施しています。IAEAとの間では,保障措置のほか,原子力安全,放射線利用などに関する協力を行っており,OECD/NEAとの間では,原子力開発,原子力科学,原子力安全などについての検討,情報交換などを実施するとともに,各種核データや計算コードなどの収集・提供を行うデータバンク事業に協力しています。また,これらの国際機関の事業に対して,資金の拠出や人的貢献を行っています。


* フォーラム

 公開討論会のこと。


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