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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章  研究開発の戦略的重点化
(2)  重点4分野の研究開発の推進
5  ナノテクノロジー・材料分野の重点的推進



(1) 研究開発の推進方策について

 ナノテクノロジー *2 ・材料分野は,第2期科学技術基本計画において,優先的に研究開発資源を配分すべき分野の一つとされており,文部科学省においては,重点的かつ戦略的にその研究開発の推進を図っています。

 ナノテクノロジー・材料分野の大きな特徴は,ライフサイエンスや情報通信,環境分野など他の分野と別個に存在しているというよりは,むしろそれぞれの分野と融合するような,最先端の科学技術を支える共通的基盤技術であるということです。こうしたことから,この分野においては,他分野との融合と共通的基盤技術がより重要視されています。

 平成13年9月に総合科学技術会議が策定した「分野別推進戦略」では,以下の事項が重点領域として示されています。

〈重点領域〉

〈情報通信,環境,エネルギー,ライフサイエンスなど他分野との融合領域〉
{1}次世代情報通信用ナノデバイス・材料
{2}環境保全・エネルギー利用高度化材料
{3}医療用極小システム・材料,生物のメカニズムを活用し制御するナノバイオロジー

〈上記三つの分野の実現にとって不可欠な基盤技術〉
{4}計測・評価,加工,数値解析・シミュレーションなどの基盤技術と波及分野
{5}革新的物性,機能を付与するための物質・材料技術

 文部科学省は,上記の「分野別推進戦略」に示されている基本的な方針を受け,文部科学省におけるナノテクノロジー・材料分野に関する研究開発計画と推進に関する重要事項を検討し,平成14年6月に,科学技術・学術審議会が「ナノテクノロジー・材料に関する研究開発の推進方策について」を取りまとめました。この報告書では,先述の重点領域に対応する形で,今後推進していくべき具体的な研究テーマの抽出を行うとともに,人材育成や研究支援など研究開発を支える研究環境・基盤の整備について必要性を指摘しています。文部科学省は,こうした考え方を踏まえつつ,研究開発を進めることにとどまらず,研究基盤の充実にも積極的に取り組むこととしています。


*2 ナノテクノロジー

 「ナノ」は,ギリシア語の小人を意味する“nanos”に由来する接頭語で,とても小さいこと,あるいは,10億分の1のことを表す。ナノテクノロジーとは,「ナノ」と科学技術を意味する「テクノロジー」を合わせた言葉で,日本で生まれた言葉である。


(2) ナノテクノロジー・材料分野における取組について

{1}実用化・産業化を展望した研究開発

 先述の報告書においては,この分野の研究開発を,(ア)5〜10年後の実用化・産業化を目指した研究,(イ)10〜20年後の実用化・産業化を展望した研究,(ウ)個人の独創性を重視した萌芽的な研究の三つのタイプに分類しています。

 このうち(ア)については,平成15年度より「経済活性化のための研究開発プロジェクト(リーディングプロジェクト)」として,以下の五つの研究開発に着手したところです。

○現在のデバイス *1 の限界を越える,より小型,より高速,より省電力なデバイス開発を目指した「ナノテクノロジーを活用した新しい原理のデバイス開発」
○次世代半導体製造の技術基盤を構築する「極端紫外(EUV)光源開発等の先進半導体製造技術の実用化」
○ナノ・バイオの融合による生体適合材料・知覚デバイス・センサーの開発を行う「ナノテクノロジーを活用した人工臓器・人工感覚器の開発」
○従来の限界をはるかに越える感度10倍の世界最先端NMR(核磁気共鳴)分析技術を開発する「次世代の科学技術をリードする計測・分析・評価機器の開発」
○高性能・低コスト高温運転型次世代燃料電池を開発する「次世代型燃料電池プロジェクト」

カーボンナノチューブ内に形成されたアイスチューブのX線構造解析による構造モデル(資料提供:科学技術振興機構)

  また,(イ)については,平成14年度より,科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業を活用し,文部科学省が定めた三つの戦略目標の下に,10の研究領域を設定し,「ナノテクノロジー分野別バーチャルラボ *2 」を推進しています。

*1 デバイス

 情報を記録するメモリなどのように,機能を持たせるように作った装置。


*2 ナノテクノロジー分野別バーチャルラボ

 ナノテクノロジーの重点的な研究推進を目的とし,参加する研究者が自らの研究機関に所属したまま,戦略目標に向けて研究を推進する,いわば「姿なき研究所」。研究領域ごとの研究推進に加え,研究領域を超えた情報交換・コラボレーション(共同研究),合同シンポジウム・領域会議の開催など有機的な運用・連携を図り,よりインパクトの大きな成果の創出を目指す。

{2}基礎的・基盤的研究開発

 {1}のような目標志向型の研究開発を行うためにも,その基盤となる基礎的・基盤的な研究開発が重要であり,文部科学省では,大学や公的研究機関においてこうした研究開発に取り組んでいます。物質・材料研究機構や理化学研究所といった公的研究機関においては,研究者の自主性を尊重した萌芽的な研究開発に加え,国として推進するべきプロジェクト型の研究開発を行っています。

 物質・材料研究機構においては,物質・材料科学技術を中心に,先端的科学技術分野の飛躍的な発展を支える研究開発を推進しています。理化学研究所においては,複合領域・境界領域の先導的研究開発を,産業界などとの連携を図りつつ推進しています。

 このほか,特殊法人・独立行政法人における研究開発の推進,競争的資金の活用などにより大学における独創的・先端的研究を支援するなど,この分野の研究開発を推進しています。

理化学研究所ナノサイエンス実験棟(写真提供:理化学研究所)

{3}研究機関・分野を越えた横断的かつ総合的な支援

 文部科学省では,ナノテクノロジー・材料分野における研究基盤・知的基盤を充実させるため,平成14年度より,ナノテクノロジー総合支援プロジェクトを開始しています。同プロジェクトは,広範な研究分野にわたるナノテクノロジー研究に関して,産学官の研究者が戦略的かつ効率的に研究に取り組んだり,研究機関や分野を越えた横断的な研究活動を推進することに資する基盤的支援業務を行うことを目的としています。具体的には,個々の研究機関や研究開発プロジェクトでは整備の難しい大型・特殊な施設・設備と高度な技術を有する機関において,産学官の外部研究者に対して,施設・設備の利用機会を提供するとともに,これらの施設・設備を活用した極微細加工や評価など高度な技術支援などを行うなど,総合的な支援業務を実施しています。

 これと同時に,同プロジェクトにおいては,ナノテクノロジー関連情報の収集・発信,研究者交流の促進,人材育成なども行っています (表2-6-4)

表2-6-4 ナノテクノロジー総合支援プロジェクトの実施機関


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