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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第3章  高等教育の多様な発展のために
第4節  高等教育機関の多様な展開
2  国立大学の整備充実



(1) 教育研究環境の改善

 国立大学における教育研究は,今日の我が国の繁栄の基礎であり,教育研究費や設備などの教育研究条件の改善充実は緊急かつ重要な課題です。文部科学省としては,国立大学の構造改革の推進や老朽・狭隘化の解消など,国立大学を取り巻く喫緊の課題に積極的に取り組む一方で,教育研究経費の一層の合理化・効率化・重点化を図ることにより,予算の充実に努めており,平成15年度は以下のような措置を行いました。

{1}教育研究費関係

(ア)大学院の更なる教育研究の高度化や産業の創出につながる創造性豊かな研究者,高度専門職業人養成の推進に資する経費などとして,「大学院教育充実支援経費」を確保

(イ)学長のリーダーシップを発揮し得る環境の整備を図り,各大学の自主的な改革努力をより実のあるものにしていくため,「教育改善推進費」(学長裁量経費)を確保

{2}整備費関係

(ア)研究科,専攻の設置などに伴う教育研究環境の整備・充実を図るため,「大学院教育研究設備費」を確保

(イ)理工系学部における実験実習教育の高度化・現代化を推進するため,「理工系教育高度化設備費」を確保

{3}その他(地域貢献)

 国立大学の地域貢献を促進するため,地方公共団体と国立大学の双方が一体となって取り組む事業のうち,特に優れた取組を重点的に支援するため,「地域貢献特別支援事業費」を充実


(2) 教育研究組織の整備充実

 文部科学省では教育研究組織の整備充実を図っており,平成15年度は以下のような措置を行いました。

{1}学部教育の整備

 看護師など社会的要請の強い分野の人材養成に対応するため,北海道大学,東北大学,京都大学,熊本大学の医学部に保健学科を設置しました(医療技術短期大学部の改組,平成15年10月(今回の4大学ですべて終了))。

 また,学問の進展や時代の変化に対応し,工学・農学の分野において2大学6学科の改組を行いました。

 このほか,生涯学習社会への対応などの観点から,編入学定員を90人増員しました。

{2}大学院の整備充実

 国立大学の大学院については,学術研究の動向や社会的要請に対応して,先端的・学際的分野などの教育研究を推進するため,教育組織と研究組織を分離した組織の設置をはじめ,学部とは独立の組織としての大学院の整備,活発な研究を行っている学外の研究所などとの組織的連携の推進などを図っています。

 平成15年度は,研究科以外の教育研究上の基本組織として,新たに東京医科歯科大学,山梨大学,熊本大学の大学院に「教育部」と「研究部」を設置しました。

 また,環境科学研究科,情報科学研究科,医歯学総合研究科など5大学に5研究科を,イノベーション・マネジメント専攻 *1 ,スポーツ健康システム・マネジメント専攻,バイオロボティクス専攻 *2 など32大学に73専攻を設置しました。さらに,高度の専門性を要する職業などに従事するために必要な高度の専門的知識・能力の育成に特化した実践的教育を行う専門職大学院として,九州大学経済学教育部に産業マネジメント専攻を設置しました。

{3}附属病院の整備充実

 国立大学附属病院の整備については,新たに,近年の生命科学研究の急速な発展に対応し,その成果を実際に臨床応用に展開するための組織を拠点的に整備するほか,患者サービスの向上や効果的な病院運営のために医学部附属病院と歯学部附属病院などを統合しました。

 また,引き続き看護師などの増員を図るほか,全国の国立大学附属病院の事故やニアミス *3 ,院内感染に関する情報の共有化や研修の実施などを通して,事故予防や感染対策を図るための環境整備を行いました。


*1イノベーション・マネジメント専攻

 在職の社会人を対象に,企業経営の現場で抱える諸問題の解決策を見いだすと同時に,先端技術と市場の動向に関する深い理解を併せ持ち,組織改革を達成できる人材の養成を目的とする専攻。


*2バイオロボティクス専攻

 人や生体を対象としてその工学的解明を行うバイオメカニクス,高度に知能化された機械システムを追求するロボティクス,生体と機械の融合を目指したバイオマイクロマシン工学やバイオデバイス工学の教育研究を進めるとともに,それらの有機的な展開を目的とする専攻。


*3ニアミス

 ミスがあったが幸い患者には何も起こらなかったものや,事前に誤りが訂正されて事故に至らなかったものを言う。医療現場では,「ヒヤリ・ハッと」と表現している。


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