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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第3章  高等教育の多様な発展のために
第2節  高等教育の質的水準の向上に向けて
3  医療人の育成


 高齢化による疾病構造の変化,患者のニーズの多様化,生命科学や医療技術の急速な進歩などを背景として,国民の期待にこたえる「良き医療人」の育成が一層重要となっています。文部科学省としても,医療人の養成を担う各大学と協力しながら,様々な改革を進めています。


(1) 医学・歯学教育の改革の推進

 平成13年3月に医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議より出された「21世紀における医学・歯学教育の改善方策について」に基づき,現在,学部段階における医学・歯学教育の改善・充実が急速に進められています。

{1}カリキュラム改革

 医・歯学生が卒業までに学んでおくべき態度や技能,知識に関する教育内容を精選して作成された「モデル・コア・カリキュラム」 *1 に基づき,各大学ではカリキュラム改革が行われており,既に多くの大学において,新カリキュラムに基づく教育が行われています。各大学におけるより良い教育課程の編成への取組を支援するため,文部科学省では,ワークショップ *2 の開催などを行っています。

{2}共用試験の実施

 通常5・6年次に行われる臨床実習の開始前の段階で,学生の知識や技能,態度を適切に評価するために,平成14年4月に共用試験実施機構が設立され,ほぼすべての医科大学(医学部)・歯科大学(歯学部)が参加し,共同で行う共用試験が実施されています。共用試験には,知識評価のための多肢選択のCBT(Computer Based Testing)と診察技能や態度を評価するための客観的臨床能力試験(Objective Structured Clinical Examination:OSCE)が用いられています。現在,2度のトライアル(試行試験)が終了し,17年度から正式実施される予定です。文部科学省でも,試験問題の開発などについての支援を行っています。


*1モデル・コア・カリキュラム

 全科目必修で重複が多く,知識詰込み型との批判のあったカリキュラムを改めるため,医師・歯科医師として必要最小限の教育内容を科目横断的に提示したもの。


*2ワークショップ

 研究集会や講習会のこと。


(2) 卒後臨床研修の必修化

 従来の卒後臨床研修が大学病院における特定の診療科に偏ったものになりがちであったことへの反省の下で,患者を全人的に診ることができる基本的・総合的な診療能力の修得を目的として,平成16年度より,卒業後2年以上の臨床研修が必修化(歯科医師については18年度から1年以上)されます。文部科学省では,今回の必修化が,優れた医師の養成にとってより良いシステムとなるよう,厚生労働省と十分連携しながら,制度の円滑な導入に努めるとともに,大学病院における研修内容の改善を図っていきます。


(3) 医療人育成に関する当面の課題

{1}国立大学における教育研究体制の整備について

 近年の医学・医療の高度化や社会構造の変化,地域環境の悪化による新たな疾病の増加など,従来の個々の学問分野では対応が困難な様々な課題に適切に対応するため,幅広い視野を持った融合型の学問に精通した人材や先端的な教育研究を推進できる人材の養成が求められています。このため,平成15年度には,大学院において,医学分野と工学や薬学分野との融合による横断的な教育研究体制の構築や,生命情報などのライフサイエンス分野の教育研究体制の充実による先端生命科学分野を担う人材育成の推進を目的とした整備・充実を行いました。

{2}薬学教育の改善・充実について

 医薬分業の進展,医療技術の高度化などを背景に,今後,薬剤師にはより高い資質が求められていることから,平成14年10月から「薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」において,薬学教育におけるカリキュラムや実務実習,薬学に関する教育制度など,大学における薬学教育の改善・充実についての検討が行われ,15年8月に「中間まとめ」が提出されたところです。また,15年10月からは,同協力者会議と並行して中央教育審議会においても審議が行われ,16年1月に中間報告が取りまとめられました。

 これらの報告では,薬剤師養成のためには6年間の教育が必要であることが提言されています。その場合の教育制度の在り方については,薬剤師の養成のための薬学教育は6年間の学部教育を基本とするが,多様な人材の養成という観点から4年間の学部教育も必要である旨の提言がされています。

{3}看護師等医療技術者及び福祉系人材の育成について

 看護師など医療技術者については,資質の高い看護師などの養成や,教員・研究者育成のために,看護等医療技術系大学・大学院の整備を進めるとともに,各大学がカリキュラムを弾力的に編成できるよう,養成施設の指定規則の大綱化を順次進めています。

 また,この10年間で看護系大学が22校から107校へと急激に増加したことを踏まえて,平成13年度に引き続き,15年7月から「看護学教育の在り方に関する検討会」を開催し,学士課程における看護学教育の到達目標(コア・カリキュラム)などについて検討を始めました。

 さらに,介護保険制度の導入などにより,福祉・介護関係人材の養成・確保や質的充実が社会的に強く求められており,大学などにおける育成体制の充実に努めています。


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