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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第2章  初等中等教育の一層の充実のために
第11節  安全な学校施設の整備充実と教材の整備
1  公立学校の施設の整備



(1) 公立学校施設の耐震化・老朽化対策

 学校施設は,児童生徒が一日の大半を過ごす学習・生活の場であり,児童生徒の[生きる力]をはぐくむための教育環境として重要な意義を持つことに加え,地震発生時には地域住民の応急避難場所としての役割をも果たすことから,その安全性の確保のための耐震化の推進は特に重要です。

 現在の耐震設計基準(昭和56年制定)以前に建設された建物は,耐震診断を行った上で必要に応じ補強又は改築が必要ですが,平成15年4月に実施した文部科学省の調査によると,半数以上の建物の耐震性は確認されていません。また,全体の約3分の2の建物では耐震診断さえ実施されておらず,学校施設の耐震化の取組が遅れていると言えます( 図2-2-16 )。

 公立学校施設の耐震化が進んでいない最大の理由は,学校の設置者である市町村の厳しい財政状況にあると考えられます。文部科学省では,公立学校施設の整備充実において,耐震化を最優先課題として位置付け,施設の改築や補強事業における国庫補助の充実を積極的に図っています( 表2-2-8 )。平成15年度予算では,公立学校施設の耐震化推進のために,対前年度比151億円増の1,149億円を確保しました。このように,文部科学省では,市町村の事業計画に支障がないように必要な予算を確保し,公立学校施設の計画的な耐震診断の実施や補強事業の推進を図るなど,公立学校施設の耐震化を推進しています。

 また,文部科学省では,老朽化した公立学校施設の大規模改造や改築事業も進めています。公立学校施設の多くは,昭和40年代から50年代の児童生徒急増期に建築されたものが多いため,老朽化した建物が増加しています。平成14年度現在,全国の公立小中学校のうち,大規模改造などの検討が必要となる建築後20年から29年を経過した建物は全体の約42%,改築の検討が必要となる建築後30年以上経過した建物は全体の約26%を占めており,学校施設の老朽化対策も重要な課題です( 図2-2-17 )。

図2-2-16 平成15年度公立学校施設の耐震改修状況調査による耐震化の状況(小中学校)

表2-2-8 地震防災対策に係る国の負担(補助)率の一覧

 今後は,これらの建物の整備に支障が生じないように,市町村は,中・長期的な視点に立って計画的な整備を進める必要があります。文部科学省としても,市町村が適切に公立学校施設整備を実施できるように,支援していくこととしています。

図2-2-17 公立学校施設の老朽状況の深刻化


(2) ゆとりとうるおいのある学校施設の整備推進

 学校施設は,児童生徒が一日の大半を過ごす生活の場であることから,それにふさわしい,ゆとりとうるおいのある環境として整備することが重要です。また,学校教育の実施に当たり,創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開するためには,教育内容・方法の多様化などに対応した施設の整備も重要です。このため,文部科学省では,木材を活用した,温かみとうるおいのある環境づくり(木の教育環境整備事業)の推進,校庭の芝生化など学校の屋外環境(屋外教育環境整備事業)の充実,地域との連携協力(地域・学校連携施設整備事業)の推進などに取り組んでいます。

 「木の教育環境整備事業」においては,我が国の伝統的な建築材料である木材を活用した,温かみとうるおいのある教育環境の中で,たくましく心豊かな児童生徒を育成するために,木材を活用した和室,心の教室(教育相談室など)など木の教育環境を整備しています。木材を使用した校舎づくりは,木がもたらす心の安らぎ,地域の木材を利用することで生まれる校舎への愛着,地域文化の理解促進などの効果が期待されます。文部科学省では,既存建物の床や壁などに木材を使用した改造事業について国庫補助を行い,学校施設における木材利用の促進を図っています。

 次に,「屋外教育環境整備事業」においては,校庭の芝生化や自然体験広場(学校ビオトープ *1 など)を進めております。たとえば,校庭の芝生化には,以下のような効果が期待されます。

{1}環境教育の生きた教材としての活用や,スポーツを安全かつ快適に実施できるなどの教育上の効果
{2}幼児から高齢者までの様々なスポーツを安全かつ快適に実施でき,地域のスポーツ活動が活性化する効果
{3}強風時の塵の飛散防止や夏季における照り返し・気温上昇の抑制など環境保全上の効果

 文部科学省では,校庭の芝生化を国庫補助の対象とすることでその整備充実を図っており,芝張りをした学校数は,平成9年度から14年度までに243校となっています。

 また,「地域・学校連携施設整備事業」においては,地域社会,家庭,学校が連携協力し,様々な活動を行うための場として学校施設の整備を推進しています。地域・学校連携施設整備事業は,以下のように分類されます。

{1}PTA活動やボランティア活動の拠点として活用する地域学校連携推進型施設
{2}体育施設の開放を促進するために会議室や更衣室を備えた体育施設開放促進型施設
{3}図書館,保育園,高齢者福祉施設などと連携した複合化促進型施設

 このような施設整備を通じて,子どもたちが地域の人々,家族,子供同士でコミュニティ(「地域社会」や「共同体」のこと)を醸成し,多様な体験などを通じて[生きる力]を育成できるように,文部科学省では,地域に開かれた学校施設の整備を推進しています。


*1学校ビオトープ

水生植物や魚などを観察するための小川や池などで,自然と一体化できる空間のこと。


(3) PFI手法を活用した公立学校施設整備

 公立学校施設の整備に当たっては,昨今の厳しい財政状況の中で,民間資本を最大限に活用する方策であるPFI(Private Finance Initiative) *2 の導入が進んでいます。これは,公立学校施設の設計や建築から管理運営までを一括して民間事業者が実施するもので,民間事業者が行うことにより,費用の軽減やサービス水準の向上が期待できます。

 公立学校施設の整備については,東京都調布市が市立小学校の整備に際してPFIを導入しています(平成14年度開校)。この事例では,民間事業者がプールを授業時間外に地域開放しています。このほか,滋賀県野洲町,千葉県市川市,三重県四日市市などで公立学校施設へのPFIの導入が検討されています。


*2PFI(Private Finance Initiative)

 公共施設などの建設,維持管理,運営などを,民間の資金,経営能力,技術能力を活用して行う手法であり,国や地方公共団体の事業コストの削減,より質の高い公共サービスの提供を目的としている。


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