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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第2章  初等中等教育の一層の充実のために
第10節  信頼される学校づくりに向けて
1  開かれた学校づくり〜学校としての説明責任を果たすために〜


 学校は,保護者や地域住民の信頼にこたえ,家庭や地域社会と連携協力して,地域全体として子どもたちの成長を支えていくことが求められています。

 このため,学校は,学校運営の状況について自己評価を行い,その結果を含めて保護者などに積極的に情報提供することを通じて,説明責任を果たしていくこと,すなわち地域に開かれた学校づくりを図ることが必要です。さらに,保護者や地域住民に意見を求める学校評議員制度を活用するなど,地域住民が学校運営に参画する取組を進めていくことも課題となります。

 また,学校が,地域や子どもたちの実情に応じて創意工夫ある教育活動が展開できるように,教育課程・予算などについて学校の裁量を拡大することも必要です。


(1) 学校評価と情報提供の推進

{1}自己評価の努力義務化

 「小学校設置基準」(文部科学省令)などに基づき,平成14年4月より,小学校,中学校,高等学校,幼稚園などは,自己評価を実施して結果を公表する努力義務が課されています。また,自己評価だけではなく,保護者や地域住民,学校評議員が評価を行うなど,外部評価の取組も期待されています( 表2-2-6 )。

 自己評価や外部評価の具体的な方法については,学校や教育委員会の判断にゆだねられていますが,単に評価を行うだけではなく,評価結果を十分活用し,課題が明らかになった場合には必要な対策を講じることも重要です。

表2-2-6 自己評価及び外部評価の実施状況(平成14年度間)

{2}情報提供の義務化

 「小学校設置基準」(文部科学省令)などに基づき,平成14年4月より,小学校,中学校,高等学校,幼稚園などは,保護者などに対し,学校運営の状況に関する情報を積極的に提供することが義務付けられています。

 情報提供の具体的な方法は,学校や教育委員会の判断にゆだねられていますが,例えば,学校便りの発行や説明会の開催,学校のホームページの開設などにより情報提供を行うほか,「学校公開週間」を設定して,特定の期間はいつでも学校を訪問し児童生徒の活動を参観できるようにするといった工夫が考えられます。


(2) 学校評議員制度の活用

 学校評議員制度は,教育委員会などに学校評議員として委嘱された保護者や地域住民などが,校長の求めに応じて,学校運営に関する意見を述べるものです。この制度を活用することにより,

{1}学校運営に関し,保護者や地域住民などの意向を把握し,反映すること
{2}学校運営において,保護者や地域住民の協力を得ること
{3}学校運営の状況などを周知するなど,学校としての説明責任を果たしていくこと
が期待されています。

 平成15年7月現在の公立学校における学校評議員の設置状況は,次のようになっており,年々増加傾向にあります( 図2-2-15 )。

図2-2-15 学校評議員(類似制度を含む)の設置状況(平成15年7月1日現在)


(3) 学校の裁量拡大

 学校が,子どもや地域の実情に応じた特色ある教育活動を主体的に行えるようにするため,各教育委員会において,学校の裁量を拡大するため,次のような取組が進んでいます。

{1}学校と教育委員会の関係を定めている学校管理規則について,これまで教育委員会の承認が必要であったものを届出制に改めるなど,教育委員会の関与を縮減する。
{2}校長裁量経費を措置するなど,学校予算における学校の裁量を拡大する。

 例えば,学校管理規則の改正を行い,これまで教育委員会が一律に定めていた長期休業期間について,校長の届出により,2学期制の導入,夏休みの短縮,秋休みの導入など,学校の裁量拡大に向けて工夫する教育委員会も増える傾向にあります。

 文部科学省でも,学習指導要領における「総合的な学習の時間」の創設や選択学習の幅の拡大など,教育課程の基準を大綱化・弾力化して,学校の裁量拡大を図っています。


(4) 新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究

 地域が学校運営に参画するいわゆる「コミュニティ・スクール」などの新しいタイプの学校については,教育改革国民会議の提言(平成12年12月)を踏まえて文部科学省が策定した「21世紀教育新生プラン」(13年1月)において,その可能性や課題などについて検討することとしています。

 これを受けて,平成14年度より,学校運営の在り方に重点を置いた「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究」を行っています。

 7地域9校の実践研究校においては,{1}市町村による校長公募や,校長の意向を尊重した教職員人事,学校による非常勤職員の公募などの人事面での工夫,{2}学校裁量経費の支出など予算面での学校裁量の拡大,{3}外部人材の積極的活用や地元産業界との連携などの学校と地域の連携の在り方,{4}これらの推進体制として,地域が学校運営に参画し,教育方針の決定や教育活動の評価などを行う地域学校協議会に関する研究が行われています。研究期間は3年としており,実践研究校における1年ごとの研究成果も踏まえつつ,地域が運営に参画する新しいタイプの公立学校の在り方について,更に研究を進めていくこととしています( 表2-2-7 )。

表2-2-7 「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究」実践研究校

コラム4

中央教育審議会「今後の学校の管理運営の在り方について」(中間報告)について

 学校教育の基盤である初等中等教育の一層の充実・改善を図り,国民の信頼にこたえる教育を展開するための具体的な改革方策について検討するため,平成15年5月に文部科学大臣から中央教育審議会に対して「今後の初等中等教育改革の推進方策について」の包括的な諮問がなされました。

 中央教育審議会では,この諮問において当面審議すべき主な事項の一つとして提示された「義務教育に係る諸制度の在り方」について,初等中等教育分科会教育行財政部会において「地域が参画する新しいタイプの公立学校運営の在り方」と「公立学校の管理運営の包括的な委託の在り方」を中心に審議を重ね,同年12月に中間報告が提出されました。

 中間報告の内容は以下のとおりです。

○地域が参画する新しいタイプの公立学校運営の在り方について

 地域が公立学校の運営に参画する意義は,学校の教育方針の決定や教育活動の実践に,地域のニーズを的確かつ機動的に反映させるとともに,地域の創意工夫を活かした,特色ある学校づくりが進むことである。

 この地域運営学校(仮称)は,設置者の判断により設置され,保護者や地域住民の学校運営への参画を制度的に保障するため,保護者等を含めた学校運営に関する協議組織(学校運営協議会(仮称))を設けることが必要と考えられる。学校運営協議会においては,学校における教育課程編成の基本方針,予算執行や人事配置等に関する基本方針などの学校運営の基本的事項について承認を行うとともに,校長や教職員の人事について関与するなど,学校における基本的な意思決定に関与する役割を果たすことが期待される。

 また,地域運営学校が,公立学校として担うべき公共性や公平性・公正性を担保しつつ,その特色を生かした教育を実践していくためには,当該学校自身による自己評価に加え,設置者による不断の点検・評価,並びに必要な体制整備を図ることが求められる。また,国においてもこれらの新しいタイプの学校運営を積極的に支援していく必要がある。

○公立学校の管理運営の包括的な委託の在り方について

 学校は,設置者がその学校を適切に管理し,その運営に責任を負うという「設置者管理主義」が原則であるが,一方,地方公共団体の様々な業務が民間に委託される中で,多様なニーズに応じた特色ある教育を実現すること等を目的として,公立学校の管理運営を委託することについても検討すべきとの提案がなされるようになってきた。

 しかしながら,公立学校の管理運営を委託することについては,例えば,経費の削減等による教育の質の低下,契約解除等による学校の閉鎖による教育を受ける機会の侵害等の懸念も指摘されているため,十分なセーフティネット(安全網)の構築を前提に構造改革特区における特例として検討することが適当である。

 制度化に当たっては,当面,幼稚園と高等学校を対象とし,委託先については学校法人など安定的経営基盤と実績等を踏まえることが必要である。また,具体的な手続は地方自治法上の「指定管理者制度」を活用することが考えられる。

 なお,委託をした場合であっても,通常の公立学校と同様の継続性,安定性の担保が求められることから,委託された学校自身による自己評価に加え,教育の質を担保するため,教育委員会設置者は,不断の点検・評価を行い,必要に応じて指導,委託の取消等是正措置を行わなければならない。


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