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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第2章  初等中等教育の一層の充実のために
第3節  魅力ある高等学校づくりと中高一貫教育
3  職業教育の活性化



(1) 職業教育の現状

 高等学校における職業教育は,農業,工業,商業,水産,家庭,看護,情報,福祉など職業に関する教育を行う専門高校を中心に行われています。平成14年5月現在,専門高校の生徒数は約87万人であり,高等学校の生徒数全体の22.1%を占めています。

 専門高校は,有為な職業人を多数育成するとともに,望ましい勤労観・職業観の育成や豊かな感性,創造性を養う総合的な人間教育の場としても大きな役割を果たしています。しかし,近年,社会や産業構造などが大きく変化するに従って,入学する生徒の多様化も進んでおり,専門高校の教育内容や指導方法などの一層の改善・充実が求められています。

 平成10年7月の理科教育及び産業教育審議会答申「今後の専門高校における教育の在り方等について」では,今後の専門高校における教育の改善・充実の方向として,{1}専門性の基礎・基本の重視,{2}社会の変化や産業の動向などに適切に対応した教育の展開,{3}地域や産業界とのパートナーシップ(協力関係)の確立などが示されています。


(2) 職業教育の活性化に向けて

{1}新しい教育課程の実施

 平成15年4月から学年進行で実施されている新しい高等学校学習指導要領では,職業に関する各教科について,次のような改訂を行いました。

(ア)専門性の基礎・基本を重視する観点から,科目数を全体として2割削減し,各教科・科目の内容を厳選するとともに,取り扱う内容を明確化したこと。
(イ)生徒の選択幅を拡大する観点から,専門教科の必修単位数を削減(30単位以上から25単位以上)し,原則履修科目を各教科の基礎的な科目と「課題研究」の2科目に削減したこと。
(ウ)各学校の創意工夫を生かした教育を展開する観点から,標準的な学科に関する規定を削除したこと。
(エ)社会の変化や産業の動向などに対応する観点から,バイオテクノロジーや製造技術のシステム化などの技術革新の進展,ビジネスの国際化・情報化などの産業の動向に適切に対応するため,農業・工業・商業などの既存の専門教科の内容の改訂を行ったこと。さらに,高度情報通信社会の中で,システムの設計・管理やマルチメディア *1 の作品制作などに関する基礎的な知識と技術を身に付けた人材を育成するため,専門教科「情報」を創設するとともに,高齢化が進展する中で,高齢者や障害者への介護サービスに対応できる知識と技術を身に付けた人材を育成するため,専門教科「福祉」を創設したこと。
福祉科での介護実習


*1マルチメディア

 デジタル化された映像,音声,文字データなどを組み合わせて,複合メディアとして利用すること。

{2}職業教育活性化のための主な施策

(ア)目指せスペシャリスト

 文部科学省では,バイオテクノロジーやメカトロニクス *2 など先端的な技術・技能などを取り入れた教育や伝統的な産業に関する学習活動を重点的に行っている専門高校を指定し,技能の習得方法や技術の開発法,学校設定科目などカリキュラムの開発などを行う「目指せスペシャリスト」を平成15年度から実施しています。

(イ)みんなの専門高校プロジェクト

 文部科学省では,専門高校と小・中学校との連携による農林水産業体験や,ものづくりなどに関する教育の推進,地域との連携による地域産業の活性化の支援など専門高校が有する人的・物的資源の活用方策について実践研究を行う「みんなの専門高校プロジェクト」を平成15年度から実施しています。

(ウ)全国産業教育フェアの開催

 産業界や教育界,さらに,広く国民の方々に産業教育への理解を深めてもらうために,文部科学省では,専門高校の生徒の研究発表や作品展示などを行う「全国産業教育フェア」を平成3年度から毎年開催しており,15年度は北海道において開催しました。また,各都道府県主催の「産業教育フェア」は,15年度には33の都道府県で開催されています。

第13回全国産業教育フェア(北海道大会)

{3}教員研修の充実

 文部科学省では,産業教育を担当する教員などを対象として,新産業技術などについて,産業技術の進捗や新しい学習指導要領に対応した必要な知識・技術を習得させる研修や,3か月〜1年の長期間にわたって大学その他産業教育にふさわしい施設に留学させる研修などを行っています。

{4}施設・設備の補助

 文部科学省では,産業教育の振興を図るため,公・私立高等学校に対して,産業教育施設・設備基準に基づき,産業教育の実験・実習を行うため必要な施設・設備の計画的な整備を進めるとともに,専攻科や普通科などにおける産業教育のための実験・実習を行うために必要な経費の一部を補助しています。また,平成15年度から「情報」,「福祉」の実施に伴い,産業教育施設・設備の基準を改訂しました。


*2 メカトロニクス

 メカニクスとエレクトロニクスの合成語。機械工学と電子工学を統合した学問分野で,機械の制御などに電子技術を応用し,高性能化・自動化を図る。


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