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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第2章  初等中等教育の一層の充実のために
第2節  暴力行為,いじめ,不登校等の解決を目指して
1  暴力行為,いじめ,不登校等の現状等



(1) 暴力行為・少年非行

 平成14年度において,全国の公立小・中・高等学校の児童生徒が起こした暴力行為(対教師暴力・生徒間暴力・対人暴力・器物損壊)の発生状況は,学校内で発生したものが全学校の14.9%に当たる5,674校において2万9,454件,学校外で発生したものが全学校の7.2%に当たる2,728校において4,311件となっており,暴力行為の件数が2年連続で減少しました( 図2-2-3 )。

図2-2-3 学校内における暴力行為発生件数の推移

 少年非行については,警察庁の調べによると,平成14年の刑法犯少年の検挙人員は前年に比べ増加しており,依然として高水準で推移しています。

 また,平成15年6月には,沖縄県の中学生殺害事件,7月には長崎県の幼児殺害事件,そして東京都での小学生監禁事件など,子どもたちがかかわる重大な事件が相次いで発生しました。

 このようなことを踏まえ,平成15年7月に,文部科学大臣は全国の教育委員会に対し,児童生徒の問題行動などへの対応に関する緊急的な総点検を要請しました。その中では,具体的な点検の視点として,

{1}学校における管理・指導体制や教育相談の在り方
{2}家庭・地域・関係機関との連携の在り方
{3}基本的な道徳観・倫理観の指導の在り方
を示しています。

 児童生徒の問題行動などの解決のためには,家庭,学校,地域社会がそれぞれの役割を果たし,一体となって取組を行うことが重要です。平成13年4月には,「少年の問題行動等に関する調査研究協力者会議」の報告の中で,学校と関係機関が,問題行動などに関する情報の交換(「情報連携」)のみにとどまらず,自らの役割を果たしつつ一体となって対応を行うこと(「行動連携」)の必要性などが提言されました。また,13年7月に学校教育法が改正され,問題行動への適切な対応を図る観点から,出席停止制度の改善が図られました。

 文部科学省では,平成14年度から,モデル地域におけるサポートチーム の組織化など,地域における支援システムづくりを行う「サポートチーム等地域支援システムづくり推進事業」を実施しています(15年度は100地域)。

また,この事業の一環として,「学校と関係機関の行動連携に関する研究会(主査:森田洋司大阪市立大学大学院教授)」を平成15年7月より開催し,問題行動の防止・対応を図るための機能的・効果的なサポートチームの在り方など,行動連携を推進する方策について,調査研究を行っています。


*サポートチーム

問題行動などを起こす個々の児童生徒の状況に応じ,学校,教育委員会,関係機関などが連携して対応するチーム。


(2) いじめ

 平成14年度において,全国の公立小・中・高・特殊教育諸学校におけるいじめの発生件数は2万2,205件であり,7年連続で減少傾向にあります( 図2-2-4 )。

図2-2-4 いじめの発生件数の推移

 いじめの問題については,「児童生徒の問題行動等に関する調査研究協力者会議」において,平成8年7月に「いじめの問題に関する総合的な取組について〜今こそ,子どもたちのために我々一人一人が行動するとき〜」と題する報告が文部科学省(当時:文部省)に提出されました。この報告において改めて確認されたいじめ問題への取組に当たっての基本的な認識は,次の5点です。

{1}「弱い者をいじめることは人間として絶対に許されない」との強い認識に立つこと
{2}いじめられている子どもの立場に立った親身の指導を行うこと
{3}いじめは家庭教育の在り方に大きなかかわりを有していること
{4}いじめの問題は,教師の児童生徒観や指導の在り方が問われる問題であること
{5}家庭,学校,地域社会などすべての関係者がそれぞれの役割を果たし,一体となって取り組むことが必要であること

 こうした基本的認識を踏まえ,特に,いじめる児童生徒に対しては,いじめの非人間性や,それが他人の人権を侵す行為であることに気付かせ,他人の痛みを理解できるようにする指導を徹底することや,校内の別の場所における特別の指導計画による指導,いじめが一定の限度を超える場合の出席停止の措置などが必要です。

 また,いじめられる児童生徒については,緊急避難としての欠席や学級替えなどの実施,「転校」措置の弾力的運用など,あくまでもいじめられる児童生徒の立場に立った取組がなされることが重要であり,文部科学省では,その指導の徹底に努めています。


(3) 不登校

 平成14年度に,「不登校」を理由に年間30日以上学校を欠席した児童生徒数は,全国の国公私立小・中学生合わせて13万1,252人であり,3年度以来初めて減少したものの,引き続き教育上の大きな課題となっています( 図2-2-5 )。

図2-2-5 不登校児童生徒数の推移

 文部科学省では,平成14年9月に,専門家などから成る「不登校問題に関する調査研究協力者会議」を発足させ,今後の不登校への対応の在り方について検討を重ね,その報告書(「今後の不登校への対応の在り方について」)を15年3月に取りまとめました。

 文部科学省では,この報告を受けて,不登校問題に対する取組の充実について,各都道府県教育委員会などに通知をしました。また,報告の提言を受けて,各学校や教育委員会における具体的な取組の参考に資するため,国立教育政策研究所生徒指導研究センターにおいて,平成15年度中をめどに指導資料を作成する予定です。さらに,15年度から,不登校への早期の対応と,家庭にいる児童生徒について学校復帰の支援を行うため,不登校児童生徒の学校外の居場所である教育支援センター(いわゆる適応指導教室)を核として,地域ぐるみのネットワークを整備する「スクーリング・サポート・ネットワーク整備事業(SSN)」を実施しています(15年度は400地域)。

不登校問題に関する調査研究協力者会議報告

 「不登校問題に関する調査研究協力者会議」がまとめた報告書「今後の不登校への対応の在り方について」では,以下の五つの視点が提言されています。

{1}将来の社会的自立に向けた支援の視点

 不登校の解決の目標は,児童生徒の将来的な社会的自立に向けて支援することであること。したがって,不登校を「心の問題」としてのみとらえるのではなく,「進路の問題」としてとらえ,本人の進路形成に資するような指導・相談や学習支援・情報提供等の対応をする必要があること。

{2}連携ネットワークによる支援

 学校,家庭,地域が連携協力し,不登校の児童生徒がどのような状態にあり,どのような支援を必要としているのか正しく見極め(「アセスメント」)を行い,適切な機関による支援と多様な学習の機会を児童生徒に提供することが重要であること。その際には,公的機関のみならず,民間施設やNPO等と積極的に連携し,相互に協力・補完し合うことの意義が大きいこと。

{3}将来の社会的自立のための学校教育の意義・役割

 義務教育段階の学校は,自ら学び自ら考える力なども含めた[確かな学力]や基本的な生活習慣,規範意識,集団における社会性等,社会の構成員として必要な資質や能力等をそれぞれの発達段階に応じて育成する機能と責務を有しており,関係者はすべての児童生徒が学校に楽しく通うことができるよう,学校教育の一層の充実のための取組を展開していくことがまずもって重要であること。

{4}働きかけることや関わりを持つことの重要性

 児童生徒の立ち直る力を信じることは重要であるが,児童生徒の状況を理解しようとすることもなく,あるいは必要としている支援を行おうとすることもなく,ただ待つだけでは,状況の改善にならないという認識が必要であること。

{5}保護者の役割と家庭への支援

 保護者を支援し,不登校となった子どもへの対応に関してその保護者が役割を適切に果たせるよう,時機を失することなく児童生徒本人のみならず家庭への適切な働きかけや支援を行うなど,学校と家庭,関係機関の連携を図ることが不可欠であること。

 このほか,学校における児童生徒が不登校とならない魅力あるより良い学校づくりのための取組や,不登校の児童生徒に対するきめ細かく柔軟な取組,教育委員会・国に求められる役割について,具体的な方策を示しています。

 文部科学省では,報告の内容について分かりやすく紹介したパンフレットを作成し,文部科学省ホームページ上にも掲載しています。

不登校パンフ


(4) 高等学校中途退学

 平成14年度の公・私立高等学校における中途退学者数は約9万人であり,13年度に比べ約1万5,000人の大幅な減少となっています。在籍者に占める中途退学者の割合(中退率)は,13年度は2.6%,14年度は2.3%であり,中途退学者数と共に減少しています。中途退学の理由は,「学校生活・学業不適応」が38.5%で最も多く,次いで「進路変更」が34.9%となっています( 図2-2-6 )。

図2-2-6 公・私立高等学校における中途退学者数の推移

 高等学校中途退学問題については,平成15年度から実施されている新高等学校学習指導要領の下で,各高等学校において,生徒の能力・適性・興味・関心などに応じて魅力ある教育活動を展開するとともに,一層きめ細かな教育相談,ガイダンスを実施することなどが重要です。また,就職や他の学校への転・編入学など積極的な進路変更については,これを支援していくことも大切です。


(5) 校則

 校則とは,児童生徒が健全な学校生活を営み,より良く成長・発達していくため,各学校の責任と判断の下にそれぞれ定められる一定の決まりです。校則自体は教育的に意義のあるものですが,その内容・運用は,児童生徒の実態,保護者の考え方,地域の実情,時代の進展などを踏まえたものとなるよう,積極的に見直しを行うことが大切です。

 文部科学省では,平成9年度に実施した「日常の生徒指導の在り方に関する調査研究」の調査結果を受けて,10年9月に,各学校における校則と校則指導が適切なものとなるよう都道府県教育委員会などに対し通知し,指導の徹底に努めています。


(6) 体罰

 文部科学省の調査によれば,平成14年度に体罰に関して処分を受けた人数は137人(前年度比12人増)となっています。

体罰については,学校教育法により厳に禁止されていますが,もとより体罰による懲戒は,児童生徒の人権の尊重という観点からも許されるものではありません。また,教師と児童生徒との信頼関係を損なう原因ともなり,教育的な効果も期待できないと考えられます。文部科学省では,各種通知や各種会議などを通じて,体罰の根絶について引き続き指導を行うこととしています


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