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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第2章  初等中等教育の一層の充実のために
第1節  「確かな学力]と「豊かな心」を育成し,[生きる力]をはぐくむ学校教育を目指して
3  豊かな心をはぐくむ−道徳教育・体験活動の充実−



(1) 道徳教育の重要性

{1}道徳教育の意義

 近年,生命を大切にする心や思いやりの心などの倫理観や規範意識,社会性の育成などが十分ではないとの指摘がなされています。このため,学校,家庭,地域が十分連携を図りながら,子どもたちの豊かな人間性や社会性などをはぐくむ道徳教育の充実がますます重要になっています。

{2}道徳教育の位置付け

 学校教育においては,人間として調和の取れた育成を目指して,子どもの発達段階に応じた心に響く道徳教育を展開することとしています。

 幼稚園では,各領域を通して総合的な指導を行い,道徳性の芽生えを培うこととしています。小・中学校では,「道徳」の時間(週当たり1単位時間)をはじめとして,各教科,特別活動,「総合的な学習の時間」それぞれの特質に応じて適切な指導を行い,学校の教育活動全体を通じて道徳教育を行うこととしています。高等学校では,人間としての在り方・生き方に関する教育を,学校の教育活動全体を通じて行うことにより,その充実を図ることとしています。

{3}道徳教育の内容

 小・中学校の学習指導要領における道徳の内容は,児童生徒の道徳性を次の四つの視点から分類・整理し,内容の全体構成や相互の関連性・発展性を明確にして,児童生徒の内面に根ざした道徳性の育成を図ることとしています。

(ア)「主として自分自身に関すること」

 例)望ましい生活習慣を身に付ける,着実にやり抜く強い意志をもつ,よいことと悪いことの区別をする,真理を愛する,自己の向上を図る など

(イ)「主として他の人とのかかわりに関すること」

 例)礼儀正しくする,思いやりの心をもつ,互いに励まし合う,それぞれの個性や立場を尊重する など

(ウ)「主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること」

 例)自然や動植物を大切にする,生命を大切にする心をもつ,人間の力を超えたものに対する畏敬の念をもつ など

(エ)「主として集団や社会とのかかわりに関すること」

 例)役割と責任を自覚し集団生活の向上に努める,法やきまりを守る,公徳心を高め,よりよい社会の実現に努める,郷土や国を愛しその発展に努める,世界の平和と人類の幸福に貢献する など

{4}学習指導要領における道徳教育の改善点

 平成14年度から順次実施されている新学習指導要領では,道徳教育の一層の充実が図られるよう,善悪の判断や郷土を愛することなどについての内容を充実するとともに,体験活動を生かした道徳教育の指導の工夫,魅力的な教材の開発や活用,校長や教頭の参加,地域の人々の積極的な参加や協力などの取組を促すなどの改善を図っています。


(2) 道徳教育の充実のための施策

 文部科学省においては,道徳教育の一層の充実を図るため様々な施策を進めています。主なものは次のとおりです。

{1}「心のノート」の作成・配布

 全国の小・中学生に配布している「心のノート」は,道徳の内容を分かりやすく表し,道徳的価値について自ら考えるきっかけとなることをねらいとして作成した,道徳教育のための教材です。「心のノート」は,道徳の時間をはじめ,学校の教育活動の様々な場面で使用したりするとともに,児童生徒が自らページを開いて書き込んだり,家庭において話題にしたりするなど,生活の様々な場面において活用することができるものです。

 文部科学省では,「心のノート」の効果的な活用のための教師用参考資料や具体的な工夫の事例を紹介した活用事例集を作成し,小・中学校の全教員を対象に配布するとともに,保護者など向けのパンフレットを作成・配布しています。

{2}「心のせんせい」の配置(特別非常勤講師配置事業費補助(道徳教育))

 平成14年度より,地域の人材や多様な専門分野の社会人を「心のせんせい」として学校に配置するために必要な経費を補助し,児童生徒の心に響く道徳の授業を推進しています。15年度においては,1県・市当たりの人数を増やすなど,事業を拡充しているところです。

{3}児童生徒の心に響く道徳教育推進事業など

 地域人材の活用や体験活動を生かした取組の工夫,教材の活用・開発,道徳の授業公開など,学校や教育委員会の創意工夫を生かした児童生徒の心に響く道徳教育を推進するための実践研究を行っています。また,教員の指導力向上のための「道徳教育連携・推進講座」の開催などの取組を進めています。


(3) 体験活動の推進について

 近年,都市化や少子化,地域社会における人間関係の希薄化などが進む中で,児童生徒の豊かな人間性や社会性などをはぐくむためには,成長段階に応じて,ボランティア活動など社会奉仕体験活動や自然体験活動をはじめ,様々な体験活動を行うことが有意義です。

 平成14年度から実施されている新学習指導要領においては,「総合的な学習の時間」や道徳,特別活動などの中で,ボランティア活動などの体験活動を行うことを明示し,学校教育におけるボランティア活動をより一層充実させる内容としています。また,学校教育法の改正(13年7月),中央教育審議会答申「青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について」(14年7月)などに基づいて,多様な体験活動の推進を図っています(参照:< 第2部第1章第7節 参照)。

 文部科学省は,平成14年10月に,小・中・高等学校における先進的な体験活動の実践事例を収集して「体験活動事例集」を作成し,教育委員会などに配布するなどの取組を進めているほか,14年度から「豊かな体験活動推進事業」を実施し,各都道府県に「体験活動推進地域」,「推進校」を指定して,他校のモデルとなる体験活動の推進を図っています。また,15年度より「地域間交流推進校」を新たに指定し,都市部から農山漁村や自然が豊かな地域に出掛け,農林漁業体験や自然体験を行うなど,異なる環境における体験活動が実施されています。

コラム3
農林水産省と連携したパンフレットの作成

 文部科学省では,農林水産省と連携して,学校教育における農山漁村体験の促進のためのパンフレット「学校教育で子ども達に農山漁村体験を!〜子ども達が農山漁村で活き活きと活動するためには何が必要か?〜」を作成しました(文部科学省と農林水産省のホームページにも掲載)。

 本パンフレットは,学校教育における農山漁村体験に関する学校側・農山漁村側双方の先進的な事例を紹介するとともに,活動に取り組む際の留意点などを取りまとめています。本パンフレットを活用した各学校における農山漁村体験を含めた多様な体験活動の実施や,多くの地域での体験活動の受入れが期待されています。



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