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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第2章  初等中等教育の一層の充実のために
第1節  「確かな学力]と「豊かな心」を育成し,[生きる力]をはぐくむ学校教育を目指して
2  教育課程の基準の改善に向けて


 文部科学省では,これまで約10年に1度,学習指導要領の改訂を行ってきましたが,今後は,社会の激しい変化に機動的に対応する観点から,子どもの状況や広く国民を対象とした学校教育についての意識調査の結果,教育課程の在り方についての実践的な研究などを踏まえて,不断にこれを見直すこととし,以下のような取組を実施しています。


(1) 研究開発学校制度の充実

 文部科学省では,学習指導要領などの教育課程の基準の改善に資する実証的な資料を得るため,現行の基準によらない教育課程の編成・実施を特例的に認め,新しい教育課程や指導方法について実践研究を行う制度(研究開発学校制度)を設けています。これまでの実践研究の成果は,例えば,平成元年の「生活科」の導入や,10年の「総合的な学習の時間」の創設に向けた検討に当たって,実証的な資料として生かされてきました。

 平成12年度からは,重点的かつ集中的な研究が行えるよう予算の大幅な増額を図るとともに,各学校や地域の課題意識をこれまで以上に教育課程の基準の改善に生かすなどの観点から,研究テーマを教育委員会などの主体的な判断で設定し,文部科学省に申請することとしており,毎年多数の申請の中から審査・指定を行っているところです。


(2) 教育課程の実施状況を把握するための取組(学力調査,意識調査などの実施)

 学習指導要領に基づく教育課程の状況を不断に評価・検証し,指導の改善や教育課程の基準の改善に反映させる観点から,国立教育政策研究所教育課程研究センターなどにおいて,以下のとおり,子どもたちの学力の状況を総合的に把握する取組を行っています。

{1}教育課程実施状況調査

 この調査の目的は,国語,社会,算数・数学,理科,英語などの教科に関して,小学校,中学校,高等学校の各学習指導要領に基づく教育課程の実施状況について,学習指導要領における各教科の目標や内容に照らした学習の実現状況を把握するとともに,各教科ごとの指導上の課題などを明らかにして,今後の各学校における学習指導の改善などに資することです。

 最近では,平成13年度に小学校,中学校で,14・15年度に高等学校において,平成元年に告示された学習指導要領に基づく教育課程の実施状況について調査を行い,小学校,中学校については15年5月に教科別報告書を公表しました。14年度から順次実施されている新学習指導要領に基づく教育課程の実施状況については,16年1月〜2月にまず小学校,中学校の調査を実施することとしています。

平成13年度小・中学校教育課程実施状況調査教科別報告書について

 国立教育政策研究所教育課程研究センターにおいては,前述のとおり,平成15年5月に平成13年度小・中学校教育課程実施状況調査の教科別報告書を公表しました。

 以下,教科ごとの指導上の改善のポイントについていくつか紹介します。

【小学校・国語】
{1}相手や目的などに応じて自分の考えを明確にして構成しながら文章を書く力を育成する。{2}文学的な文章を扱う場合は,児童が必ずしも興味を持たない状況もあることを踏まえ,学習の導入に工夫を凝らして興味・関心を高める。

【小学校・社会】
{1}地図や統計,基礎的資料を丹念に読み取ったり,関連付けて活用したりする指導を充実する。{2}人物と歴史的事実を関連付けて扱うことを充実する。

【小学校・算数】
{1}計算の意味を実際の場面と結び付けたり,面積の公式を児童自らが工夫して作っていく学習などを充実するとともに,計算の技能を定着させるための指導を一人一人の学習状況に応じて進める。{2}数量や図形についての作業的・体験的な活動等を取り入れることなど,指導法の改善を図るとともに,児童が様々な考え方を試みたり話し合ったりする中で,日常生活で数を用いることの有用性など数理的な処理の良さを実感できるようにする。

【小学校・理科】
{1}観察や実験を行う際には,単なる作業的な実験ではなく,児童が自ら予想や仮説を持った上で,計画的な実験を行う。終了した後には,その結果の整理や考察を行い,児童の科学的な見方や考え方を養う。{2}観察や実験を行いにくい内容について,コンピュータや立体的な模型などを積極的に活用し,実感を伴った理解が得られるようにする。

【中学校・国語】
{1}根拠を明確にしながら自分の考えや意見を述べる力や,文章の構成や展開を正確にとらえる力などを育成する。{2}文学的な文章を扱う場合に関しては,小学校と同旨。

【中学校・社会】
{1}学び方や調べ方の習得,多面的・多角的に考える力の育成の指導を充実する。{2}身近な地域,都道府県,世界の国々の地域的特色や,中世や近現代の基本的な内容など,各分野の基本的な内容の確実な定着を図る。

【中学校・数学】
{1}計算の約束ごとを確実に理解し計算しているかに配慮しつつ,計算指導を折りに触れて行う。その際,計算で用いる操作の意味の指導にも留意する。{2}結果を導く根拠や手順,既習の知識の生かし方などについて,自分の考えを説明したり振り返って考えたりする活動を充実する。

【中学校・理科】
{1}理科の学習と身近な現象や体験との関連を意識したり,観察・実験においても目的意識をもって主体的に学習する指導を充実する。{2}観察や実験を行いにくい内容に関しては,小学校と同旨。

【中学校・英語】
{1}いろいろな表現に応じた応答方法を学習するような言語活動を取り入れる。{2}トピックを指定してつながりのある複数の文を書かせる。{3}「聞くこと」「話すこと」の指導においても,語順を身に付けさせるよう配慮する。

{2}研究指定校による調査

教育課程実施状況調査などの全国的な調査のほか,ペーパーテストによる調査では状況を把握しにくい生活,音楽,美術,保健体育,技術・家庭などの教科を含めた研究指定校による調査を実施しています。

{3}特定の課題に関する調査

 児童生徒の学習の実現状況を総合的に把握するため,以上に述べたような教育課程実施状況調査や研究指定校による調査の枠組みでは把握しにくい内容について,新たに「特定の課題に関する調査」を行うこととしています。

 これらのほか,IEA(国際教育到達度評価学会)の国際数学・理科教育調査やOECD(経済協力開発機構)の「生徒の学習到達度調査(PISA)」などの国際的な調査,各教育委員会などが独自に実施している調査,国で行う児童生徒や保護者,校長,教員に対する学校教育についての意識調査などを通じて,子どもたちの状況をきめ細かく把握し,課題を明らかにすることとしています。


(3) 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会

 文部科学省では,中央教育審議会初等中等教育分科会の下に教育課程部会を常設し,(1)の研究開発学校における実践研究の成果や,(2)の諸調査の分析結果などに基づいて,学習指導要領などについて不断に評価・検証を行い,機動的な改善につなげることとしており,1で述べた学習指導要領の部分的な見直しも,このような取組の一環として行ったところです。


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