ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部   創造的活力に富んだ知識基盤社会を支える高等教育〜高等教育改革の新展開〜
第4章  諸外国の高等教育改革
第6節  中国
2  市場経済に対応する構造改革


 1980年代半ば,高等教育機関については計画経済時代の弊害として政府の統制が強く,活力を失わせていると指摘されました。このため,政府により,統制を緩和し,高等教育機関の裁量権を拡大する改革が開始されました。この結果,教育課程や教員人事,財務などは基本的に高等教育機関にゆだねられ,企業経営や外部企業との連携なども独自の判断でできるようになりました。こうした裁量権拡大を試みる改革の仕上げとして,1998年制定の「高等教育法」では国公立高等教育機関の法人化が規定されました。

 この裁量権拡大の一方で政府の「マクロ管理」も強調され,1990年代半ばから政府による評価が開始されました。この評価は,当初,教育条件や質の基準を満たしているかどうかを判定する評価が中心でしたが,2002年にこれを見直し,すべての高等教育機関を対象にその教育状況を「優良」,「良好」,「合格」,「不合格」で判定し,その結果を予算配分にも反映させる「教育評価」を5年ごとに義務付けるようにしました。

清華大学(北京市)キャンパス(奥の建物は図書館)

 この規制緩和と評価の強化は,競争的環境の中で高等教育機関が多様な需要に対応しながら教育研究の質を高めていくことを促す政策と言えますが,こうした政策の一つとして,さらに,「211工程(プロジェクト)」という特定大学への集中投資事業が1996年から実施されています。「211工程」には「21世紀に向けて100の大学を育成する」という意味が込められていますが,応募のあった大学を評価し,最終的には重点対象の清華大学・北京大学を含め96校が選ばれ,5年間で合計109億元(1,600億円)の補助金が国と地方から交付されました。この額は,2000年の国・地方の高等教育予算の2割に相当します。

 競争原理は教員の処遇にも取り入れられ,1990年代を通じて教員の契約任期制が全教員に実施され,業績に応じた能力給も広がっています。また,優秀な研究者を破格の待遇で招聘する「特別契約教授」制度が1998年に新設されました。担当学科を国際水準に引き上げる使命を持つ同教授は,通常の給与のほか給与の数倍の手当が支給され,優れた研究成果には報奨金も出ます。2003年現在で,全国に500人以上の特別契約教授が任用されています。このほか,若手教員や留学帰国者対象の奨励金も設けられています。

 高等教育機関の独自の裁量で,企業のための研究開発や自らの企業経営などの産業活動も活発になっています。2001年には,高等教育機関の約半数に当たる575校が5,000企業を設立,うちハイテク関連企業が4割を占めています。中には全国有数の優良企業集団に成長した例もあります。また,大学を核とした区画にベンチャー企業を誘致し,大学との研究開発協力を進めながらその育成を図る「大学サイエンスパーク」の建設も進められており,2001年に政府は北京大学や上海交通大学を含む「国家大学サイエンスパーク」23地区を指定しました。

 このほか,市場経済への移行に伴う改革については,国立大学の地方移管,国と地方の共同運営,統合再編,企業の運営参加などを行う「管理体制改革」も1990年代に大がかりに進められ,4割近くを占めていた国立大学は1割に減少しました。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ