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第1部   創造的活力に富んだ知識基盤社会を支える高等教育〜高等教育改革の新展開〜
第4章  諸外国の高等教育改革
2  国際競争力の強化


 このように,高等教育の規模拡大が進められ,高等教育人口が増大する一方で,その質の向上も重要な課題となっています。バカロレア取得者の拡大に伴って増加した学生は,主に入学者選抜を行わない大学に集中しました。しかし,授業についていけず,第2学年までに留年・中退する学生が入学者の約4〜5割にまで増加しました。こうした深刻な状況に対処するため,1997年に進路変更への柔軟な対応や上級学生が新入生に学習や学生生活について助言を行うチューター制度の導入などの改革が行われました。しかし,留年・中退はいまだ改善されておらず,現在も高等教育改革の最優先課題となっています。

 また,EU統合に伴い,フランス高等教育の国際競争力を高めるために,欧州標準の新学位体系が導入されつつあります。従来,フランスの学位体系は,博士号取得までに大学の2年目・3年目・4年目・5年目の修了でそれぞれ多種多様な国内共通の免状が授与される複雑な仕組みとなっていたため,諸外国の学位体系との相互対照が困難でした。EUが進める「ヨーロッパ高等教育圏構想」は,学士−修士−博士の3段階の学位体系の導入を各国に求めており,フランスでもこれに積極的に対応する方針が掲げられています。2003年4月の政令では,大学第3学年修了で学士,大学又はグランゼコールの通算5年目修了で修士,その後標準3年の課程で博士を授与するという新学位体系(3−5−8制)への移行が規定され,全国の高等教育機関で順次導入されることとなっています。

 また,大学の質の向上と活性化を図る方策として,1984年に「契約政策」が制度化されました。契約政策では,大学が4年間の発展方向を示す「全学計画」を採択して,これを基に国と交渉を行い,大学の中期計画として国との間で「契約」を結びます。国は,各大学と結んだ契約を基に毎年,教員配置,施設整備,経常費交付などを行い,大学も目標に向かって自己努力を行うというものです。

 さらに,国はこうした改革の方向を一層推し進めるために,2003年に入って,大学裁量権と自己責任原則を一層強化する方針を発表しています。そこでは,従来ほとんどが国有財産だった校地・校舎を大学所有に切り替えるなど大学の管理運営や財務に関する権限を拡大する一方で,これまで任意で行われてきた第三者評価を義務化することが提案されています。


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