ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部   創造的活力に富んだ知識基盤社会を支える高等教育〜高等教育改革の新展開〜
第4章  諸外国の高等教育改革
第2節  アメリカ合衆国
2  多様性に対する質の保証


 このように拡大し,多様化した高等教育においては,その質をいかに保証するかが大きな問題となります。この問題について,アメリカは早くから対策に取り組んできました。

 教育の質の保証については,長く学業を離れていた成人など学力が多様な学生の入学が増えたことに対し,1960年代から大学では,課程履修に必要な英語(作文・読解)や数学の基礎学力を培う補習教育を実施しています。2000年には,2年制州立大学の99.7%,4年制州立大学の81.7%で補習教育課程が開設されています。

 大学を対象に地域ごとに設けられた民間評価団体によって行われる基準認定制度(アクレディテーション)は,アメリカの大学の質を保つ上で非常に大きな役割を果たしてきました。現在のような形式のアクレディテーションは既に,1950年代初めに確立されていますが,これは,教育課程,教職員,教育条件(施設など)などの面から総合的に大学としての質を備えているかどうかを評価するものです。民間の制度ですが,認定されないと社会的には大学と認められません。最近は,キャンパスを持たないオンライン大学のように従来の基準では評価が難しい対象も現れ,その対応など新たな課題も生まれています。

コロンビア大学(ニューヨーク市)キャンパス(図書館)

 一方,公費を投じる州立大学に学生や住民へのアカウンタビリティ(説明責任)を求める観点から,州政府も大学評価を行うようになっています。1970年代末にテネシー州が始めたのを皮切りに実施する州が増え,2003年現在46州が大学評価を実施しています。また,これらの州の約3分の1は,予算配分の一部に大学評価の結果を反映させています。

 また,こうした評価の前提となるのは,大学運営における大学独自の権限の保証です。アメリカでは,私立大学はもちろん,州立大学も多くの州で管理運営のための学内組織である大学理事会に法人格が与えられています。このことによって,大学は,州から自らの創意工夫によって独立して教育研究の改善,活性化に取り組む環境が整えられています。さらに,連邦政府の交付する豊富な研究資金を獲得するために大学や教員が競争を繰り広げていますが,このことも一方では質の向上につながっていると言えます。

 産学連携については,連邦政府の研究補助金を用いて大学で行われた研究成果(特許)を大学の財産とすることを認めたバイ・ドール法(1980年)などをきっかけに,大学を中心とした起業活動が活発となり,シリコン・バレーのように大学の周辺に関連企業が集中する「産業クラスター」が形成されたり,研究を行った大学の教員と大学を株主として「スピンオフ」する(大学から巣立つ)ベンチャー 企業が多く生まれています。


*ベンチャー

 大学などの独創的研究成果を基に設立された新規企業。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ