ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部   創造的活力に富んだ知識基盤社会を支える高等教育〜高等教育改革の新展開〜
第3章  高等教育の一層の発展に向けて
第1節  高等教育の将来構想に向けて
2  今後の高等教育の将来構想


 第2章で見たように,今後は,新しい質の保証の枠組みと一層競争的な環境の中で,各高等教育機関がそれぞれに将来像を自ら描いていくことになります。これからの高等教育の将来構想は,このような各大学などの自律性を基本としつつ,我が国の社会を支える基盤としての重要な役割をいかに適切に果たしていくかという観点から検討する必要があります。このような観点からは,我が国の高等教育は,いくつかの大きな課題を抱えていま す。

図1-3-1 これまでに策定された高等教育計画等の概要

 まず,高等教育の受益者は社会全体であるとの視点に立って,教育面でも,研究面でも,社会との連携を格段に強化していく必要があります。その際,中等教育後の幅広い教育機会を視野に入れつつ,大学・大学院,短期大学,高等専門学校,専門学校のそれぞれの位置付けを改めてとらえ直す必要があります。これらについては,それぞれの本来の社会的使命や発展の方向性があいまいになっているのではないかとの指摘もあります。

 その上で,それぞれの教育の質の確保と向上を図っていくことが重要です。幅広い教養を身に付け,様々な情報を取捨選択して将来の課題を探求し,それに対して主体的に判断を行い,知的生産活動を通じて積極的に社会に貢献していく意欲を持った,「21世紀型市民」の育成が求められています。他方で,世界の最先端をリードする指導的人材の養成も必要です。さらに,生涯にわたって,必要なときに必要なものが学べる,「選択とアクセス(利用)」を保証することは,少子高齢化の中で「生涯参加型社会」を実現していくための必須の条件です。また,新しい評価システムを中核とする「質保証」のための仕組みを,信頼性の高いものとして定着させていくと同時に,高等教育サービスの国際展開に対応して,国際的な連携も図っていくことが必要です。

 国際的に見た我が国の高等教育の大きな特徴の一つは,私立の機関の占める割合が極めて高いことです。その意味では,我が国は,高等教育に関する限り,民営化先進国ということもできます (表1-3-1) 。また,私立大学について見た場合,米国の私立大学に比べ,学生納付金への依存度が格段に高くなっています。18歳人口の減少の中で,学生募集を停止する大学も既に出てきており,消費者保護のための様々な仕組みの整備や情報提供が重要です。

表1-3-1 諸外国の国交私立大学の在学者数の比較

 地域や専門分野別の教育機会の在り方も検討課題です。そこでは人材の流動性や,遠隔教育の普及などの要素も考慮することが必要です。また,教育面だけでなく,地域の知識や文化の拠点としての役割も考慮する必要があります( 図1-3-2 図1-3-3 )。

 他方で,社会の側では,このような高等教育の発展を支えるための体制を整備することが必要です。財政支援の充実とともに,高等教育を受けた人材や研究の成果を有効に活用する社会システムが整備されなければなりません。

 現在,中央教育審議会においては,これらの多くの複雑に関連する要素を整理しつつ,今後の高等教育の一層の発展に向けて,その将来構想についての審議が進められています。

図1-3-2 地域別大学入学定員数

図1-3-3 学位取得者の専攻分野別構成比



前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ