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第1部   創造的活力に富んだ知識基盤社会を支える高等教育〜高等教育改革の新展開〜
第2章  高等教育改革の新展開
第2節  多様な社会の要請にこたえる
2  近年の産学官連携への取組


 科学技術創造立国を目指す我が国において,産学官の有機的な連携を促進し,大学などの公的試験研究機関(国及び地方公共団体の試験研究機関及び試験研究に関する業務を行う独立行政法人及び特殊法人等を言う)の知的創造活動の成果を社会に還元するとともに,社会のニーズを大学などの公的試験研究機関に伝えることは極めて重要です。

 このような観点から,これまでにも,平成8年の科学技術基本計画,13年の第2期科学技術基本計画などにおいて,産学官連携の推進の重要性が繰り返し指摘されてきました。

 政府としても,平成10年の「大学等技術移転促進法」の制定をはじめ,産学官連携の促進のための各種制度改正に積極的に取り組んできました。この結果,近年,我が国の産学官連携は大きく促進され,大学研究者などの兼業が大きく進みました。例えば,大学と産業界との共同研究数は,5年で2倍以上,大学などの研究成果を産業界に移転する専門機関(技術移転機関(TLO):15年現在35機関)による特許実施許諾件数は約700件,大学発ベンチャー 数は14年度末で500社を超えるまでに至っています( 図1-2-10 )。

図1-2-10 産学官連携の現状

 しかし,世界でも最高水準にある大学の研究開発能力から見て,我が国の大学などの研究成果の権利化,活用などは必ずしも十分ではなく,一層の深化が必要です。また,地域や産業界から人材の育成,新産業創出などのために大学との連携を進めたいとの要請はますます高まっています。文部科学省としては,経済産業省など関係府省と連携しながら,大学発ベンチャー創出,大学と産業界の共同研究などを促進するための各種支援を一層積極的に行うこととしています( 図1-2-11 )。

図1-2-11 国立大学の法人化に伴う産学官連携・知財戦略の方向性

 平成16年度の国立大学の法人化に伴い,各大学に独立した法人格が与えられ,運営上の裁量が拡大するとともに,教職員は公務員としての身分を有さず,国家公務員法などの規定が適用されなくなります。産学官連携の推進のためには,当事者が自律的・主体的に取り組むことが重要ですが,国立大学法人化を契機に,予算,組織,人事制度など様々な面での規制が大幅に緩和され,国立大学が自己の責任において,産学官連携を展開することが可能になり,より一層の産学官連携が進展することが期待されます。

 一方,知的財産に関しては,経済活動のグローバル化や産業構造の変革が進みつつある中で,その取得,活用などを戦略的に進めていく必要性が強く認識されています。そこで,平成14年7月に,政府の知的財産戦略会議において「知的財産戦略大綱」が決定され,同大綱に沿って,14年12月には,「知的財産基本法」が制定されました。さらに,15年7月に同基本法に基づき,具体的な実施計画を示した「知的財産の創出,保護及び活用に関する推進計画」が知的財産戦略本部(議長:内閣総理大臣)において策定され,同計画に沿った具体的な取組が求められています。

 大学は,「知」の創出・管理・活用のサイクルの出発点である「知の創出」を支える大きな役割を有しており,知的財産の戦略的な取得・活用を進めるための体制整備を図ることが急務になっています。

 大学における特許などの研究成果については,平成16年度からの法人化に合わせ,現在の国又は個人帰属から原則機関帰属の方針に転換されます。このため,国公私立大学などにおいて知的財産の創出・取得・管理・活用を戦略的にマネジメントできる体制を整備することが重要です。文部科学省としては,14年度から,大学知的財産本部整備事業として,34件のモデル整備機関と9件の「特色ある知的財産管理・活用機能支援プログラム」支援機関の選定を行いました。今後は,各大学の運営方針に産学官連携や知的財産戦略が位置付けられ,関係機関との協力の中で実践されていくことが重要ですが,本事業の推進によって,これらが円滑に進められることが期待されます。

 文部科学省としては,以上の施策を通じ,大学などで創出される「知」が社会経済活動に新たな活力を与えるとともに,大学などの研究開発が,社会などからの新たなニーズや発想によって大きく展開することが,創造的な活力に富んだ知的基盤社会形成に大きく貢献するものと考えています( 図1-2-12 図1-2-13 )。

図1-2-12 大学における知的財産の取扱い〜機関帰属への転換と大学知的財産本部〜

図1-2-13 「大学知的財産本部整備事業」の採択機関地域別分布図


* ベンチャー

 大学などの独創的研究開発を基に設立された新規企業。


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