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第1部   創造的活力に富んだ知識基盤社会を支える高等教育〜高等教育改革の新展開〜
第1章  高等教育改革はどこまで進んだか
第2節  教育の機能を高める
2  大学院の充実と改革



(1) 高度化・多様化,量的拡大

 大学院は,基礎研究を中心として学術研究を推進するとともに,研究者と高度の専門職業人を養成するという役割を担っています。我が国には現在,国公私立699大学の約8割に当たる532大学(平成15年度現在)に大学院が置かれています( 図1-1-11 )。

図1-1-11 大学院の整備状況

 大学院に対する社会の期待は,近年の学術研究の進展,急速な技術革新,社会経済の高度化・複雑化に伴い,ますます大きなものとなっています。これらの時代の要請にこたえつつ,学術研究の新しい流れに対応するためには,大学院の質・量両面にわたる飛躍的な充実を図ることが重要な課題となっています。このため,文部科学省では,各大学院においてそれぞれの目的に即し,多様な形で教育研究の一層の高度化・活性化が図られるよう,{1}博士課程の目的として研究者養成だけでなく社会の多様な方面で活躍し得る高度の能力と豊かな学識を有する人材の養成を付加,{2}大学院大学や通信制大学院,専門職大学院の制度化による新しい形態の大学院の設置,{3}飛び入学や修士1年コース,長期在学コースなど入学資格や修業年限の弾力化,{4}連携大学院や夜間・昼夜開講制大学院など教育方法・形態などの多様化を行うとともに,先端的・学際的分野を中心とした研究科などの新設を推進しています。

 大学院の在学者数の規模については,平成3年11月の大学審議会答申「大学院の量的整備について」において,12年の大学院の規模は「全体としては,少なくとも現在の規模の2倍程度に拡大することが必要」であると提言されました。この提言を受け,新たな大学院(研究科・専攻)の設置や大学院の入学定員増などの各般の施策により,大学院の量的拡大が図られ,12年度にはこの目標は達成されました(3年:9万8,650人→12年:20万5,311人)。14年5月現在では22万3,512人(修士課程15万5,267人,博士課程6万8,245人)となっており,近年著しく規模を拡大していると言えます。しかし,諸外国の状況と比較すると,なお隔たりがあります( 図1-1-12 )。

 一層変化が激しく複雑化していく21世紀の社会を迎え,これからの大学院に特に求められることは,{1}学術研究の高度化と優れた研究者の養成機能の強化,{2}高度専門職業人の養成機能・社会人の再学習機能の強化,{3}教育研究を通じた国際貢献の3点であり,いずれの面からも大学院の更なる整備充実が必要です。

図1-1-12 諸外国における学部学生に対する大学院学生の比率

 今後の大学院の規模の在り方については,平成10年10月の大学審議会答申「21世紀の大学像と今後の改革方策について」において「{1}国際社会で活躍するための基本的な要件として大学院レベルの修了が求められている状況や,{2}21世紀に向けて科学技術創造立国を実現していく必要,{3}急速な技術革新や知識の陳腐化に対応し,社会人ブラッシュアップ教育 の機会を求める社会人などが増えると考えられることなどを踏まえるとともに,{4}今後の産業構造の変化などを考慮する必要があり,新しい産業分野が創出され成長するにつれ,高度な知識・能力を備えた人材への新たな需要が生まれてくることを想定すると,全体としては,25万人以上の規模に拡大していくことが見込まれる」との提言がなされており,文部科学省では,この提言を踏まえた大学院の整備充実を推進しています。


*社会人ブラッシュアップ教育

 社会人が,急速な技術革新の進展や産業構造の変化などに伴い,自らの陳腐化した知識や技術の高度化・豊富化などを図るため,自らを磨き上げる(ブラッシュアップ)ような,大学・大学院などで専門分野などにおける再教育を受けること。


(2) 学位制度の改善

 学位は,大学の学部又は大学院の教育修了相当の知識・能力修得の証明として,原則として大学が授与するものです。例えば,博士の学位は,博士課程を修了した者に授与することとされています。博士課程の目的は「専攻分野について,研究者として自立して研究活動を行い,又はその他の高度に専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を養うこと」(大学院設置基準第4条第1項)とされていますので,博士の学位はこの能力や学識を有することを証明するものと言えます。ただし,博士課程については,課程を修了しない場合であっても,博士論文の審査に合格し,かつ,その大学院の博士課程を修了した者と同等以上の学力があるとされれば,博士の学位を授与することができることとなっています。

 学位制度の改革については,平成3年に,大学審議会の答申を踏まえ,学位授与機構(現在の大学評価・学位授与機構)が設置され,また,専攻分野に応じ細分化されていた学位の種類が廃止されました。学位授与機構は,生涯を通じての学習活動への関心の高まりなどを受けて,大学が学位を授与するという原則を維持しつつ,大学以外の高等教育段階での多様な学習を適切に評価し,大学・大学院を修了した者と同等の水準にあると認められる者に対して学位を授与するために創設されたものです。

 また,学位の種類については,従来,「文学修士」,「医学博士」のように,専攻分野に応じてその種類が細分化されて規定されていましたが,学位の授与がすべての学問分野において円滑に行われるとともに,学問の進展に対応するために,このような種類を廃止しました。ただし,どの専攻分野で学位が授与されたかを表示することは社会的に意味があるため,学位を授与する際に,専攻分野を付記して授与することとしています(例:博士(文学))。

 さらに,平成15年4月には,「高度専門職業人養成に特化した実践的な教育」を行う新たな大学院の仕組みとして専門職大学院制度が整備されました。専門職大学院の課程である専門職学位課程を修了した者には,修得した高度な専門的な職業能力を証明する学位として,例えば「経営管理修士(専門職)」,「法務博士(専門職)」(法科大学院の場合)といった専門職学位を授与することとされています( 図1-1-13 )(参照: 第1部第2章第2節 )。

図1-1-13 博士(課程)の学位授与数の推移


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