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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第11章  新たな時代の文教施設を目指して
第2節  特色ある学校施設の整備充実
2  未来を拓(ひら)く教育研究環境の創造



(1) 教育・研究環境の整備充実に関する基本的視点

 我が国の大学等の施設は,高等教育・学術研究の進展に対応し,様々な時代の要請にこたえながら,教育研究と一体的に整備が進められ,これまで大学などの教育研究活動を支える基盤を形成してきました。

 文部科学省では,その基盤をなす大学等施設が,独創的・先端的な学術研究や創造性豊かな人材養成のための知的創造活動や知的資産の継承の場であり,大学施設の整備充実が我が国の未来を拓(ひら)くものであるとの認識にたち,その整備充実に積極的に取り組んでいます。

{1}国立大学等施設の現状

 国立大学等においては2,300万m2 に及ぶ建物面積の施設を保有していますが,これらのうち,建築後25年以上経過し,一般的に大規模な改修等が必要とされる建物が約590万m2 となるなど,老朽化や機能の劣化が進行しています。また,かつてない規模での大学改革の進展による大学院の新設,学部・学科の改組等や教育研究の変化,学術研究の進展による研究設備の増加・大型化などに伴い,施設の狭隘(きょうあい)化が生じており,施設の老朽化・狭隘(きょうあい)化の解消が大きな課題となっています。

{2}教育・研究環境の整備充実のための方策

 このような国立大学等施設を取り巻く課題に対応するための方策については,平成10年3月の「今後の国立大学等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議」の報告「国立大学等施設の整備充実に向けて―未来を拓くキャンパスの創造―」において,「大学改革などの高等教育の新たな展開」,「学術研究の高度化・多様化」,「施設の老朽化・狭隘(きょうあい)化の計画的解消」などの国立大学等の施設を取り巻く対応すべき様々な課題を示した上で,今後の国立大学等施設の整備充実のための提言を示しています。

 引き続き同調査研究協力者会議では,平成14年3月に「国立大学等施設に関する点検・評価について」の報告を取りまとめ,施設に関する点検・評価を踏まえた「施設の有効活用」及び「重点的な施設整備」を推進するための提言を示しています。


(2) 国立大学等施設緊急整備5か年計画に基づく整備

 第2期科学技術基本計画において,科学技術振興のための基盤の整備として,大学等施設の老朽化・狭隘化の改善が国の最重要課題として位置付けられたことを受け,文部科学省では,世界水準の教育研究成果の確保を目指し,平成13年4月18日「国立大学等施設緊急整備5か年計画」を策定し,現在,国立大学等施設の重点的・計画的整備を実施しています。

 本計画においては,次のような観点から整備対象を明確化しています。

{1}大学院充実等に伴う大学院施設の狭隘解消等
(約120万m2 )

 国際社会で活躍できる豊かな創造性を持った優れた研究者や社会的要請に的確かつ機動的にこたえる高度専門職業人の養成,独創的・先端的な学術研究等の推進など,大学院への期待はますます増大していますが,大学院施設については,大学院学生や留学生数の急増等による狭隘化等の問題が深刻化しており,その改善が強く求められています。このため,大学院施設の整備に重点的に取り組むとともに,整備に当たっては,施設の効果的・効率的な利用を図る観点から,各部局が共有する総合的・複合的な研究棟等の整備を実施しています。

 また,施設の老朽化・狭隘化解消等の観点から,新敷地への統合移転による施設整備 を進めているものについても,引き続き計画的に整備を実施しています。

{2}卓越した研究拠点等
(約40万m2 )

 我が国が世界に貢献し,国際的な責任を果たしていくためには,卓越した研究拠点に国内外の優秀な研究者や学生を集め,世界水準の学術研究を推進していく必要があり,また,それにふさわしい魅力ある研究環境を整えることが重要となっていますが,施設面において,老朽化とともに,研究設備の大型化等に伴う狭隘化が大きな課題となっています。

 このため,特に基本計画に基づき重点的に推進すべきとされる研究分野,国際共同研究において我が国が大きな役割を担い積極的に取り組んでいる分野,世界的に水準の高い独創的・先端的な基礎研究の分野等に係る研究施設及び国立大学等と地域との連携や国際学術交流促進のための関連施設について重点的な整備を実施しています。

図2-11-2 国立学校建物経年別保有面積 (平成12年5月1日現在)



{3}先端医療に対応した大学附属病院
(約50万m2 )

 国立大学附属病院は,先端医療の先駆的役割を果たすとともに,診療のみを行う一般 の医療機関とは異なる臨床医学の教育研究の場であり,地域における中核的医療機関としての役割も果たしています。しかしながら,施設の老朽化や機能劣化が進み,近年の医学の進歩に伴う医療の専門化・高度化への対応が困難になるとともに,医療機器の増大,社会の変化に伴う患者数の増加等により施設は狭隘となり,教育研究活動,医療活動及び病院の管理運営に支障を来しています。

 このため,逐次再開発整備を進めているところであり,引き続き計画的に整備を実施しています。


{4}老朽化した施設の改善整備
(約390万m2 )

 老朽化した施設の改善整備に当たっては,昭和45年以前の施設のうち,耐震性能が著しく劣るものであること,また,教育研究の活性度が高く,施設整備によりその一層の充実が期待されるものであることといった要件を総合的に勘案し整備を実施しています。

 なお,本計画は以下の方針により実施することとしています。

<具体的実施方針>

{1}整備に当たっては,当該施設の現況や利用状況の点検等を含む適切な評価・調査等を行い,それらの結果に基づき,真に重点整備を行うべき施設を厳選する。 {2}施設の利用に当たっては,既存の組織の枠を超えた施設の利用を推進するとともに,大学等の組織全体の視点に立った施設運営を推進するためのシステム *1 を確立し,既存施設の効率的な利用を促進する。 {3}研究棟の整備に当たっては,総合的・複合的な研究棟やプロジェクト的な教育研究活動に供するスペースなど,弾力的・流動的に使用可能な共同利用の教育研究スペース *2 に重点化する。 {4}国有財産処分収入や民間資金の確保はもとより,他省庁・地方公共団体との連携やPFI等新たな整備手法の導入を検討するとともに,コスト縮減を図る。

 文部科学省では,本計画に基づく整備を着実に進めることにより,科学技術振興のための基盤の整備を推進しています。


図2-11-3 弾力的・流動的に使用可能な共同利用スペース(弘前大学総合研究棟)


*1 施設運営を推進するためのシステム

 施設の利用者決定手続き,利用期間,利用料などを定めた施設利用規則に基づいた管理運営を行うなど,施設の有効利用が進むようなルールづくりを行うこと


*2 弾力的・流動的に使用可能な共同利用の教育研究スペース

 様々な分野の教育研究に対応できるよう,研究内容が変わっても空間を自由に設定できるように,固定壁を減らしたオープンな空間や汎用的な設備を備えるなどの工夫がされているスペース


(3) 「知の拠点」を目指した大学の施設マネジメント

 国立大学が世界に伍して活発な教育研究を展開するためには,前述の緊急の施設整備はもとより,保有する膨大な既存ストックの有効活用を図り,その機能向上を図ることも重要です。

 このため,文部科学省では,「今後の国立大学等の施設管理に関する調査研究」を実施し,「『知の拠点』を目指した大学の施設マネジメント」の報告を平成14年5月に取りまとめるとともに,「施設マネジメント」を確実に実施できる体制づくりなどについて,国立大学等に依頼しました。

 「施設マネジメント」とは,キャンパス全体について総合的かつ長期的視点から,教育研究活動に対応した適切な施設を確保・活用するため,{1}教育研究活動に応じた施設の整備及び管理に関する目標を設定し,{2}これに至る施設計画を策定し(Plan),{3}建物及び屋外環境の新築・増築・大規模改修,修繕,点検保守,清掃及び運転などを行い(Do),{4}これらの評価を実施し(Check),{5}評価結果を次期計画に反映させ(Action),教育研究環境の持続的向上を図る一連の取組みと定義しています。

 また,戦略的な施設マネジメントの方策として,施設マネジメントをトップマネジメント *1 の一環として行う体制の確立,プリメンテナンス *2 ,スペースマネジメント *3 ,安全と環境等に配慮したキャンパスづくりの推進及び施設の修繕等に関する財源確保などを示すとともに,これらの先進的な実践事例を提示し,国立大学等における施設マネジメントの推進を要請しています。


*1 トップマネジメント

 学部等の枠を超えて学内の資源配分を戦略的に見直し,機動的に決定,実行し得るよう,経営面での学内体制を抜本的に強化するとともに,学内の合意形成に留意しつつも,全学的な視点に立ったトップダウンによる意思決定の仕組み


*2 プリメンテナンス

 既存施設の要修繕箇所の蓄積(負の資産)を解消し,施設の安全性・信頼性を確保するために行う予防的修繕


*3 スペースマネジメント

 スペース配分の適正化,使用面積に応じた経費負担制度の導入などにより,全学的視点から施設の戦略的活用を図ること


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