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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第9章  文化を大切にする社会の構築に向けて
第4節  文化財の保存と活用
2  国宝・重要文化財などの保存と活用



(1) 指定

 美術工芸品の指定については,平成14年度に,平安時代の彫刻で正統的な定朝様(じょうちょうよう)仏像の中で唯一銘記により製作の事情が判明する「木造阿弥陀如来及両脇侍座像(もくぞうあみだにょらいおよびりょうきょうじざぞう)」(彫刻),武家の勃興(ぼっこう)から消滅(平安〜明治時代初期)までの約700年に及ぶ武家文書郡である「島津家文書(しまづけもんじょ)」(古文書)を国宝に指定しました。

 このほか,限られた線描と色彩により構築する静謐(せいひつ)な絵画様式が同時代の画家たちに大きな影響を与えた「髪(かみ)」(小林古径筆(こばやしこけいひつ))(絵画),彫刻史上いわゆる鎌倉新様式が確立する流れの中で重要な位置を占める「木造不動明王座像(もくぞうふどうみょうおうざぞう)」(彫刻),王家伝来品ならではの製作であり,優れた琉球工芸品がまとまって遺存する「琉球王尚家伝来品(りゅうきゅうおうしょうけでんらいひん)」(工芸品),江戸時代までの和歌宗匠の家柄であった冷泉家に伝存する歌集で,和歌史研究の中核となる「私家集(しかしゅう)」(書跡・典籍),応仁の乱・正長の土一揆・山城の国一揆などの記述を含み,室町時代の代表的な日記である「大乗院寺社雑事記(だいじょういんじしゃぞうしき)」(古文書),八ヶ岳山麓(さんろく)の縄文時代中期集落跡から出土した資料で,中部高地における縄文土器の,一つの到達点を示す一括資料である「長野県藤内遺跡出土品(ながのけんとうないいせきしゅつどひん)」(考古資料),我が国の近代史研究上に貴重な行政文書「京都府行政文書(きょうとふぎょうせいぶんしょ)」(歴史資料)など,新たに41件を重要文化財に指定しました。

 重要文化財に指定された建造物の中から,極めて優秀で,かつ,文化史的意義の特に深いものについては,国宝への指定を進めています。平成14年5月には,知恩院三門,本堂(御影堂(みかげどう))(京都府)を国宝に指定しました。

 また,建造物の重要文化財への指定については,明治以降の近代のものについて重点的に進めています。平成14年6月現在,旧小坂鉱山事務所(秋田県),青砂ヶ浦天主堂(長崎県)などの2,220件が重要文化財に指定されています。


(2) 管理・修復・防災

 文化財は,一度その価値が損なわれると回復することのできない極めて貴重な国民的財産です。

 国指定有形文化財の管理・修理などは,所有者が行うのが原則ですが,所有者による管理が適当でない場合などには,必要な管理・修理などが適切に行われるよう,文化庁長官が地方公共団体などを管理団体として指定し,管理を行わせることができます。

 また,国指定有形文化財の美術工芸品,建造物は,それぞれ修理を必要とする周期などに応じて,所有者などへの国庫補助により計画的に修理を実施するとともに,保存・防災のための施設・設備の設置などの事業を行っています。

 さらに,文化財を火災などの災害から防ぐために,国や地方公共団体の協力の下,文化財の所有者などが文化財の適切な管理に徹底して取り組むことが必要です。平成7年1月の阪神・淡路大震災における文化財の被害状況を踏まえ,文化財建造物の地震時における安全性の確保の考え方を取りまとめ,具体的な耐震診断の指針と手引を策定しています。

 なお,重要文化財を国や地方公共団体などへ譲渡した場合に所得税が非課税とされるほか,重要文化財のうち建造物については相続税や固定資産税などの軽減も図られています。







(3) 活用

 美術工芸品については,重要文化財の鑑賞機会の拡大を図るため,博物館などが開催する展覧会について国が一部の経費を負担しています。

 また,建造物については,活用しながら保存することが重要であることから,文化庁では,「重要文化財(建造物)の活用に対する基本的な考え方」(平成8年12月)や,所有者が文化財の保存活用計画を策定する際に考慮すべき事項などを平成11年3月に取りまとめ,普及を図っています。


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