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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第7章  科学技術システムの改革
第3節  優れた若手研究者・技術者の養成・確保
1  世界トップレベルの研究者の養成


 文部科学省では,平成14年7月に,科学技術・学術審議会人材委員会において,幅広い知識を基盤とした高い専門性を備えた研究人材の養成が重要であるとした「世界トップレベルの研究者養成を目指して(第1次提言)」を取りまとめ,これを踏まえて,若手研究者の支援など研究人材養成施策の有機的な連携を図りつつ,その拡充に努めています。


(1) 若手研究者の養成・確保

{1}ポストドクター等の若手研究者に対する支援制度の推進

 ポストドクター等の若手研究者の養成・確保に向けては,第1期科学技術基本計画等で提唱された「ポストドクター等1万人支援計画」に基づき,若手研究者が主体的に研究に専念できるよう支援の充実を図るとともに,若手研究者を積極的に登用して独創的な基礎的研究を推進する制度を創設,推進してきています。第2期科学技術基本計画においては,「ポストドクター等1万人支援計画」の策定により,「ポストドクターが研究に専念できる環境が構築されてきた」と一定の評価がなされるとともに,「今後は,ポストドクトラル制度等の質的充実を図る」とされています。

 このような中,文部科学省では,平成14年度より,日本学術振興会の特別研究員事業において,特に優れた若手研究者を発掘し,世界最高水準の研究を行う能力を有する者を対象に「特別研究員(SPD)」を創設するなど,本事業の質的充実に努めています。

 このほか,理化学研究所が独創性に富む若手研究者に同研究所において自発的かつ主体的に研究できる場を提供する基礎科学特別研究員制度など,若手研究者の自立性を尊重した多様な支援制度を推進しています。

表2-7-2 ポストドクター等の若手研究者に対する主な支援制度(文部科学省)

{2}リサーチアシスタント

 創造性豊かな研究者の確保とともに,各種研究支援体制の強化のため,国,私立大学や大学共同利用機関が行う優れた研究プロジェクト等に,大学院後期博士課程在学者をリサーチアシスタント(研究支援者)として参画させ,研究遂行能力の育成とともに,研究体制の充実を図ることとしています。

{3}競争的資金等による若手研究者の養成

 世界的に優れた研究成果を上げた研究者の多くは,30歳代にその後の研究の基礎となる研究を行っています。このため文部科学省では,柔軟な発想とチャレンジ精神を持った若手研究者が自立して研究できる体制を整備するため,科学研究費補助金において若手研究者を対象として約215億円計上するなど,若手研究者を対象とした競争的資金の拡充に努めています。

 また,競争的資金等研究費による研究の遂行上必要となる研究支援者を雇用する中で,ポストドクター,大学院学生等の若手研究者を研究に参画させ,研究人材としての養成を目指します(参照: 第2部第7章第1節1 )。

{4}国際的な視野を持った研究者の養成

 若い時期から,海外の優れた研究機関で活躍できる機会を拡大するとともに,海外の一流の研究者と切磋琢磨(せっさたくま)できる交流の機会の拡大が重要との科学技術基本計画の方針に基づき,ポストドクターレベルの若手研究者を海外の優れた大学等研究機関に派遣して,長期間研究に専念させる海外特別研究員事業(日本学術振興会)や,若手研究者を対象としたサマースクール形式の多国間セミナー(アジア学術セミナー,アドバンスト・サイエンス・インスティチュート:日本学術振興会)等を実施するなど,国際的な視野を持った研究者の養成に努めています。


(2) 研究人材の流動化の促進

 創造性・独創性豊かで広い視野を有する研究者を養成し,競争的で活力ある研究開発環境を実現するためには,研究者の流動性向上を図り,研究者が様々な研究の場を経験することが重要です。

{1}任期制及び公募制の普及促進

 国立試験研究機関等においては,平成9年に成立した「一般職の任期付研究員の採用,給与及び勤務時間の特例に関する法律」により,任期付研究員を採用できることとなりました。同法では,特に優れた研究者を円滑に結集・採用するための「招へい型」と,高い資質を有する研究者を採用し,創造的研究能力を涵養(かんよう)するための「若手育成型」の2種類の任期付任用制度が用意されています。同制度によるこれまでの採用状況は, 表2-7-3 のとおりです。

表2-7-3 「一般職の任期付研究員の採用,給与及び勤務時間の特例に関する法律」に基づく採用状況

 また,大学及び大学共同利用機関等については,平成9年に成立した「大学の教員等の任期に関する法律」により,各大学等の判断で任期付任用制の導入が可能となりました。この法律による任期付任用制の導入状況は, 表2-7-4 のとおりです。

表2-7-4 「大学の教員等の任期に関する法律」に基づく任期制の導入状況

 一方,平成13年度には,国の研究機関等における任期制の広範な定着を目指して,科学技術振興調整費に「若手任期付研究員支援」プログラムを創設し,若手の任期付研究員が任期中に自立的研究に専念できるよう支援しています。

 科学技術基本計画においては,「国の研究機関等は,任期制及び公募の適用方針を明示した計画を作成するよう努める」こととされています。文部科学省では,平成14年2月に「研究者の流動性向上に関する基本的指針」(平成13年12月総合科学技術会議決定)を関係機関に通知し,各機関において「任期制及び公募の適用方針を明示した計画」を作成するよう取組を促しました。今後,国の研究機関等において計画の作成が進み,研究者の流動性向上に向けて,任期制や公募制が普及することが期待されます。

{2}国際的な流動化の促進

 我が国の研究環境の国際化を推進し,優れた外国人研究者が我が国において活発に研究活動ができるようにするとの科学技術基本計画の方針に基づき,ポストドクターレベルの若手研究者を大学等研究機関に招へい,共同研究に従事させる外国人特別研究員事業(日本学術振興会),大学院レベルの若手研究者を短期間受け入れる文部科学省若手外国人研究者短期研究プログラムなど,優秀な若手の研究者を我が国の大学等の研究機関へ受け入れることにより,我が国の研究環境における国際的な多様性を高めるとともに,各種の学術国際交流事業を通じて,国際的な研究者の流動化の促進に努めています。


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