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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第7章  科学技術システムの改革
第2節  産学官連携による研究開発成果の社会への還元の推進
2  地域における科学技術振興のための環境整備


 科学技術基本計画においては,「地域における科学技術振興のための環境整備」について,地域の研究開発に関する資源やポテンシャルを活用することにより,我が国の科学技術の高度化・多様化,ひいては当該地域における革新技術・新産業の創出を通じた我が国経済の活性化が図られるものであり,その積極的な推進が必要であるとしています。また,地域における「知的クラスター」の創成や,地域における科学技術施策の円滑な展開がうたわれています。このように地域における科学技術振興の重要性が高まる中,都道府県においても科学技術振興策を審議する審議会等を設置するとともに,43の都道府県及び3の市町村において,独自の科学技術政策大綱や指針等を策定するなど科学技術振興への積極的な取組みがなされています。


(1) 地域における「知的クラスター」の創成

 「クラスター」という言葉には,「ひとかたまりに固まって,育ったり存在したりするものの集まり」という意味があります。ちょうどぶどうの房のようなイメージです。文部科学省では,地方自治体と大学,公的研究機関等,さらに企業とが地理的にかたまって協力し,大学等に存在する知識を育て,その結果新しい技術や産業が次々と連鎖的に創出されるシステムを想定しています。

 文部科学省では,平成14年度から「知的クラスター創成事業」を実施しています( 図2-7-2 参照)。この事業は各自治体の自主性を尊重し,大学・公的研究機関等を核として,関連研究機関などが集積した「知的クラスター」の創成を目指すものです。14年度においては全国12地域で本事業を実施しています。これにより地域の経済を活性化し,さらに日本経済の再生を実現することを目指しています。

図2-7-2 知的クラスター創成事業の仕組み

 競争力のある知的クラスターを生み出すには地域ごとの個性が重要です。そのため,知的クラスターを構成するいくつかの要素には様々なものが求められます。例えば大学は,その地域特有の研究開発課題と能力を持っていることが大切です。また研究開発を円滑に進めるために,事業全体を運営管理する中核機関(地方自治体が指定する科学技術関連の財団など)には,それぞれの地域の事情に応じた強力な管理能力が求められます。


(2) 地域における科学技術施策の円滑な展開

 文部科学省では,地域における科学技術施策の円滑な展開のため,それぞれ状況が違う地域に柔軟に対応できるよう様々な施策を推進しています。

{1}都市エリア産学官連携促進事業

 知的クラスターよりも地理的に小さな「エリア」(都市エリア)に着目して,産学官で連携するための基礎づくりから研究成果の育成まで様々なメニューを用意し,自主的に産学官連携に取り組もうとする地域の様々なニーズに柔軟に対応するための事業です。平成14年度においては,全国19地域で事業を実施しています。

{2}地域結集型共同研究事業

 国が定めた重点領域の中から,地域が目指す特定の研究開発目標に向け,大学,国公立試験研究機関,研究開発型企業等が連携し,組織的・人的に結集して共同研究を行うことにより,新技術・新産業の創出に資することを目的としています。

{3}地域研究開発促進拠点支援(RSP)事業

 研究成果を創出するための基盤として,人的交流・研究情報等のネットワーク構築を目指す「ネットワーク構築型」,また,既にある研究成果の,特許化・実用化に向けての育成を目的とした「研究成果育成型」の2タイプの事業を推進しています。具体的には,科学技術振興事業団が委嘱した科学技術コーディネータにより,この活動を支援します。また,都道府県が地域の科学技術活動の活発化を図るために設立した財団等をコーディネート活動の拠点とします。

{4}研究成果活用プラザ

 研究開発能力の高い地域における産学官交流の拠点としての役割を担っています。周辺の大学等において優れた研究成果を掘り起こしたり,特許取得や起業などの研究成果の社会還元を一環して行います。現在,北海道,宮城県,石川県,愛知県,大阪府,広島県,福岡県の7か所にあります。

{5}地域先導科学技術基盤施設整備事業

 地域独自の科学技術の振興を図る上で,研究施設等の基盤の整備が重要です。本事業は,地方自治体が行う地域の特性を生かした先導的研究に役立つような施設の整備を支援しています。

{6}各地域間の連携や各種交流

 文部科学省では地域科学振興会議を開催し,関係機関と産業界,学界の関係者が,国と地域の意思疎通や各地域間の情報交換,当該地域等における諸課題に関する検討を行っています。

 また,(財)全日本地域研究交流協会は,地方自治体の出金拠出により,研究交流をはじめ,地域の科学技術振興を支援することを目的として平成4年6月に設立されました。全国規模の研究交流事業が展開されています。


(3) 研究開発拠点の整備

 現行の全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン」において,産学官の機関ネットワーク化や研究開発投資の重点的な措置により,筑波研究学園都市及び関西文化学術研究都市の整備を推進するとともに,広域国際交流圏の形成の核ともなる国際的水準の新たな研究開発拠点の整備を図ることとされています。

{1}筑波研究学園都市

 筑波研究学園都市は,首都圏の均衡ある発展に寄与するとともに,高水準の試験研究・教育のための拠点を形成し,科学技術の振興と高等教育の充実を図るため,国の施策として建設されたものです。国の試験研究・教育機関等33機関が立地しているほか,多くの民間研究機関等が進出しています。現在,都市機能の一層の充実と,国内外の科学技術振興・新産業創出拠点形成のための諸施策が推進されています。

{2}関西文化学術研究都市

 関西文化学術研究都市(京都府,大阪府,奈良県)は,創造的かつ国際的な文化・学術・研究にまたがった21世紀の新たな展開の拠点づくりを目指すものです。本都市の建設促進は昭和62年6月に施行された「関西文化学術研究都市建設促進法」に基づいており,着実に整備が進められています。平成14年12月現在,本都市には民間の研究施設等73の施設が立地し,研究活動等が行われているところです。


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